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輪っかの乗り物(読み飛ばし推奨


この話は蛇足です。飛ばしても何ら本筋には関係しません




ーーーーーーーーーーーーーー



 出発のため、城門付近にある宿舎で馬車を借りようとした。

 

 馬車。それは振動が多く、おせじにも快適とは言えないが、旅人や商人、冒険者たちの足となって活躍している。


 僕らは数か月異世界で冒険者活動をしている。既に馬車は成れたものだった。

 

 だが、その時思い出す。それよりも早く移動できる手段に。


 魔王討伐は迅速な移動が求められることもあるだろう。

 

「ちょっと皆、少し待って」


「なんだ?」


「これを使えば早く移動できると思うんだ」


 そして作り出したのは、先日作り出した輪っかの乗り物だ。


 形状はそのまま、身長ほどの直径の金属製の輪っかである。

 

 これならば最速で周囲を見回ることができるだろう。

 

 今は勇者三人と僕たちのパーティで、六人体制。


 人数分作り出し、問題なく完成する。

 

 そして、振り返って呼びかけた。

 

「みんな、これに乗って」


「えっと、これは・・?」


「乗り物だけど」


 みんなが怪訝そうな顔でそれを見ている。

 

 西園寺さんが尋ねた。

 

「もしかしてだけど、この輪っかを転がして移動しようっていうんじゃないでしょうね?!」


「・・・そうらしいわよ」


 この乗り物を知っているマージョリーさんが肯定する。

 

 引きつった顔のメンバーから代表したかのように東堂が尋ねる。


「優斗さん、少し、お手本を魅せてもらえないだろうか」


「分かった」


 この乗り物の優位性を伝えるために、乗り込んでから道外れを最速で移動する。

 

 ガガガガガガガガガッガッガ!!

 

 岩や植物を避けつつ、時に踏みつぶしながら移動して戻る。

 

「少し慣れるのに時間がかかるかもしれないけど、魔法が使えるならかなりのスピードが出せる。皆も使ってみてほしい」


「・・わ、分かりました!!貴方様がそういうのなら・・!!」


 一番に動いたのはアンジェリカさんだ。

 

「うおおおおおおおお!!」


 そう言って、先ほど僕がやったように手足を輪っかに突っ張らせた。


 そして、移動する。


 ぐるんぐるんと。


「その調子です!!」 


「あ、ありがとうご・・ぐふっ」


「!!」


 ピタッと輪っかが止まり、中から彼女が出てくる。

 

 四つん這いになって酔いを耐えていた。

 

 駆け寄って声を掛ける。

 

「・・大丈夫?」


「は、はい!!これしきのこと!!平気です!!」


「無理しないようにね」


 ・・だが中々はじめてにしたはいいスピードだ。

 

 このまま練習していけば完全にマスターするだろう。


 そう楽観視していたのだが、ふと他のメンバーたちを振り返る。

 

 すると、彼らは一向に動こうとしない。

 

 それどころか、数名が顔が先ほどよりも引きつって後ずさりまでしていた。

 

 彼ら次々と苦情を表明する。


「・・えっと、私船酔いする体質なんだよね」


「お、俺もあまり得意なほうではないな・・」


「優斗、こういうのもなんだけど、考えを改めたほうがいいかもしれないわよ」


「っていうか、そういう問題?!あんなのジェットコースターじゃん!!


 どうやらメンバーの大半が反対のようだ。


「・・・・?」


 そういうものなのか?

 

 スターテスが上昇しているゆえに、ある程度乗り物酔いの耐性はついているはずなのだが・・。

 

 ・・だが、そうか。

 

 自分は自身の考えの浅慮さを反省した。

 

「いや・・申し訳ないです。今のは聞かなかったことにしてください」

 

 自分は魔王討伐に少し勇み足になりすぎていたようだ。いくらスピードが速くても体調を損なえば意味がない。

 

 輪っかの乗り物を解除していく。

 

 それと同時に、その背後で安堵の息が聞こえた。

 

「ふぅ、、諦めてくれた・・よかったー!!」


「まあ、どうしてもというのならば仕方ないが・・体調はベストにしないといけないし、し、仕方あるまい」


「まったく、あんたほどの人でも言えどもこればっかりは聞けないわよ・・」


「同感だわ」


 というわけで、

 

 乗り物酔いで気分が悪くなったアンジェリカさんには申し訳ないのだが・・

 

 結局普通に馬車に乗って移動することとなった。

 

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