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ビートダウン開始!!

 

 

 あれから約一か月後・・

 

「ぎゃうっ!!!」


 その『奇妙な怪物』は、ドラゴンの首をやすやすと落とした。

 

 その見上げるような『鎧』の姿に、異形の特徴、爪、腕の数。眼の数、角、背中の翼がある。。

  

 それが人間であることを知るものは多くないないであろう。


 彼はほぼ原形こそないが、優斗の友人の成れの果て。

 

 生命奪取フレッシュスティール。彼が魔王の加護によって得た、最悪最強の能力。

 

 それによって、多くのモンスターを食らい、2か月前の貧弱な肉体とは、比べることもできない強さを手に入れたのだ。


 今や彼のステータス鑑定したものがいたら、一瞬目を疑うことだろう。


ーー


 生命力 200000000


 最大マナ 40000


 力 700000000


 持久力 3000


 魔法操作 300000


 敏捷 1300


 幸運 -999999999999999999999999999

スキル


 鑑定LvMAX

 言語LvMAX


 拳技Lv3

 剣技Lv2

 噛みつきLv5

 飛翔Lv6

 トランスLv5

 再生Lv3

 苦痛耐性Lv7

 忍耐Lv3

 剛力Lv8


ユニークスキル

 技能奪取スキルスティールLv1

  金属生成メタルクリエイターLv2


 生命奪取フレッシュスティールLv3


   鱗Lv3

   翼Lv7

   火炎袋Lv8

   毒袋Lv8

   電気袋Lv1

   酸袋Lv4

   副腕Lv1

   爪Lv5

   牙Lv9

   毛皮Lv5

   複目Lv8

   触手Lv8

   複口Lv6


ーー

 

 もはや、そのブレス、牙や爪の直撃でさえ、彼を傷つけることは叶わない。

 

 素のステータス値もあるが、全身にフィットするように金属生成メタルクリエイターで作られた金属の鎧もその強さに貢献しているだろう。。


 重いがその分重厚であり、さすがのドラゴンの牙も容易く貫けるものではない。

 

 手にした無骨な鉄の塊のような剣も併せ、重さは数トン。それを自慢の筋力で扱うことによって、一撃でボス級モンスターを屠る、超攻撃力を実現していた。

 

 その鎧の背中に彼は手を伸ばし、そして、何重にも重ね合わせたかのような恐ろしい声で言った。

 

「ででおいで」


 答えるのは、その声に似つかわしくないか細い声。


「は、はい・・!!」


 そう、鎧の背中のほうに作っていた個室に彼の奴隷、ポチを住まわせていいるのだ。

 

 この地において無力な彼女が生き残るために必要な安全地帯はここにしかない。

 

 ここは優斗がいる国から遠く離れたある山脈のふもと。

 

 そこはまさに地獄とも呼べる領域。

 

 多数の高レベルドラゴンや、多くの強力なモンスターが跋扈しているのだ。

 

 だが、そこで化物じみた強さを手に入れた彼が、ポチを保護していた。

 

 その獲物の肉の一部を腕力で毟り取り、口から「がぁあああ!」と、炎を吐いてこんがりと焼くとポチに手渡す。

 

「さあ、クえ・・」


「は、はい・・いただきます・・」


 自身は生のまま残りの死体をその牙で捕食する。

 

 ぶちゅっ!!ぐちゅっ!!

 

 それを青ざめた様子で見るポチ。

 

(ご主人様・・っ!なんてお姿に・・!!)

 

 彼女は一か月前を思い出していた。

 

 彼は、強いモンスターを求めて、草原や森を駆けていたのである。

 

 だが付近に自分が満足するだけのモンスターがいない分かるや、その羽で長距離を移動した。

 

 そして見つけたのが、このドラゴンの山。

 

 ここは強きもののみが生き残れる地獄、彼が食べるに値すると感じるモンスターがうようよいた。

 

 そう、ここで生き残れるのは、真に強き者のみ。

 

 すべてのステータスが万を超えたもの最低ラインなのである。

 

 だから、そこら辺を歩いていた草食のモンスターに何も考えずに拳で殴りかかると、

 

 バシッ!


「がっっっ!!」


 軽く尻尾の一振りで致命傷を負った。


 食物連鎖の最底辺のモンスターにさえ一瞬で勝てないと悟り、ポチを連れて逃げ出す。


 だが、生命奪取フレッシュスティールの力は偉大だった。

 

 そこから離れたモンスターを夢中で捕食しているうちに、かろうじて食らいつけるレベルにまで到達したのだ。

 

 彼の鎧はこの時に作ったもの。金属生成メタルクリエイターのスキルレベルはまだ低かったが、効率が悪くとも、莫大なマナ量によってごり押しのように作成したのである。。


 しかし、連続使用は疲れるので、液体金属としての運用はせず、もっぱら鎧や武器の補修用に使っているだけだ。

 

 そしてこのスキルによって両手武器を得た彼は、ついにはふもとのモンスターを討伐。


 捕食してスターテスが一気に上がってからは、狩りがどんどん楽になり、今では中位のドラゴンまで簡単に捕食できるようになっていた。

 

 それから彼はどんどんモンスターを自身の体に取り込んでいる。

 

 ゆえに感覚も鋭敏になってきたのだろう。遠く離れたモンスターも、魔力的なセンサーによって感知することすら可能になった。。

 

 歯ごたえが無くなってきた山のふもとのモンスターだが、それ以上の強敵の場所は知っている。


 それを捕食できれば、今以上の力を手に入れることができるだろう。

 

 居場所は、この山の頂点。今すぐ向かい、戦うこと自体は可能。

 

 だが、

 

(・・まだだ・・まだ『あのモンスター』には勝てない・・!!)


 そう、それは、まさしく神と言って差し支えないと思える存在感。

 

 彼はその感覚によって確信していた。

 

 もし悪ふざけで挑戦すれば、一瞬でその命を刈り取られるだろうということに。

 

 だからこそ、今彼ができること。

 

 それは、今いるふもとで、勝てる相手を捕食し続けることだ。

 

 

 だがそれは地道な作業。

 

  確実にこうしていれば、いずれはそのモンスターに到達できるとはいえ、毎日同じことの繰り返し。モンスターを殺し、食べて、寝る。ただそれだけだった。

 

 最初は興奮した中位のドラゴンの味も、今では飽き飽きするほど。

 

 それと同時に彼は心が渇いていた。

 

(ポチ・・!!まだなのか・・?!俺はこんなに強くなったのに・・)

 

 彼は目の前のポチの魔力を感じる。

 

 ここまで強くなったというのに、目の前のポチが、自身に向けて怯えているようなのだ。


 そしてその理由が、自身がまだ弱いからだと、勘違いしたまま。


 もっと強くなっていけば、いずれ彼女が自分になびいてくれると、彼は信じて疑わない。


 生のモンスターを捕食しながら、彼はさらなる強さを渇望する。

 

(そうだ。

 早く次のモンスターを狩らないと・・!!

 できるだけ多くできるだけ強いモンスターを・・!!)

 

 と、その時である。

 

 その願いが通じたのか定かではない。


 それは、常人には感じることにできない異変。


 ごぉおおおおおおおお

 

「っっ!!!???」

 

 彼の魔法的な感覚が、『それ』を感じ取る。

  

「いまのは・・!!!」


 まるで、大量のマナが一か所に固まっていくような。


 そう、それは彼が求めてやまない大量の質の高いモンスターの、


 出現の前兆だった。


「ボチッッッ!いぐぞッッ!!」


 ポチを自らの背中に乗せると、


「へ・・ひゃぁっ!!」


 翼を広げてその方向へと飛翔していった。

 

 そう、それはまさしくビートダウン。

 

 優斗と彼、『最後の戦い』の地へと向かうのだった。

  

  

 ーー

 

 

 ビートダウンが起こるとされる、当日。

 

 既に準備運動を終え、必要な装備アイテムはアイテム袋に補充してある。。

 

 僕とマージョリーさんは並んで目の前の地平線を見つめていた。

 

「そろそろ始まるみたいね」


「はい」

  

 ここにいるのは僕たちだけじゃない。


 周囲にも、大勢の他の冒険者たちが武器を手に盛り上がっていた。

 

「おーい!皆ー!!あと数分で始まるみたいだぞー!!」


「おう!!」「よっしゃー!!!」


「優斗!!この地区は俺たちに任せとけ!!」「あなたにだけは負けませんよ!!」「マージョリーさんは僕だけを見てくれているんだからな!!」


 荒くれで、なぜか恨まれている気もするが、同時に頼もしくもある冒険者たち。


 が、しかし彼らにあまり頼ることはしたくない。

 

 ログオさんやギルド長をはじめとする、実力のある冒険者はこの付近にはいないのだ。

 

 そう、ランクB以上の冒険者はそれぞれ担当する地区を割り振られている。

  

 実力のある冒険者が一か所に固まっていたら、時節現れる強いモンスターに対応することができないからだ。

 

 そして、今の僕のランクはSランク。僕はこの一帯を任されているのだ。

 

 ギルド長に比べればまだまだと思うが、しかし隣のマージョリーさんもこう言ってくれる。


「ふふ、優斗。こんな時に言うのもなんだけど、

 あれから短期間でよくもここまで仕上げたものだわね」


 そう、この一か月やってきたこと。

 

 冒険者を始めたたては、マージョリーさんの実力も含め、簡単に倒せる相手を選んできたが、


 ダンジョンにも足を運んで、少し難易度の高いモンスター討伐していたのである。


 僕のスターテスは今ではこういう風になっていた。

 

ーー


 名前 斎藤勇斗


 生命力 3280


 最大マナ 5350


 力 590


 持久力 1800


 魔法操作 4500


 敏捷 5000


 幸運 640000000


(10が平均的な成人の値)


スキル


神舌(全ての言語会話可能


神眼(あらゆるものの鑑定が可能


苦痛耐性Lv5(痛みに慣れやすくなる)


ステータス操作Lv7(意図的にステータスを操作できる)


命中Lv3(飛び道具の命中率に補正)


ダンジョン歩きLv2


研究Lv3


クラフトLv3


炎魔法Lv9


水魔法Lv9


雷魔法Lv9


土魔法Lv7


風魔法Lv8


ユニークスキル


金属生成メタルクリエイターLv9


ーー


 

 基本の戦闘スタイルはあまり変わっていない。

 

 飛び道具による遠距離攻撃

 

 縮地によって接近し、魔法剣による近撃、

 

 毒攻撃、液体金属、武器作成。

 

 ギルド長やログオさんのように、一点に特化したものは持たないものの、縦横無尽な戦い方ができるのが 僕の強み。

 

 その強みをそのまま生かすように、各スキルレベルを上げていったのである。

 

 既にベヒーモスなどと言った大型モンスターすら簡単に倒せるようになっている。それもマージョリーさんの補助なしで。

 

 そして、同時に、この個性以外にも別の強さを模索していた。

 

 そう、マージョリーさんは僕の腰を見てつぶやく。

 

「それにしても、その銃、本当にすごいわよね。まさか異世界の道具まで作り出してしまうだなんて・・」


「ええ、しかしマージョリーさんの魔法知識あってこそです」


 そう、その一つが、僕が元の世界の記憶を頼りに作り出したこの銃だ。

 

 内部に魔法陣が配置されており、そこに魔力を流しトリガーを引くことで起動する。銃弾も金属生成メタルクリエイターで液体金属を流し込めば型を取るようにセットできる。

 

 これは、道具を持つ必要があるものの、今までの飛び道具、属性魔法やナイフ投げなどと比べて、予備動作が少なくて済み、威力も数段高い。

 

 難点は全発打ち終わった後、再装填に少し時間がかかるという点だ。

 

 が、その点は毒針飛ばしや属性魔法で補っていけばいい。

 

 メインウェポンとしての使用はしていないが、いざという時の咄嗟の火力として役に立っている。 

 

 このビートダウンでも通用するといいのだが。


 そう考えていた時、

 

 ドドドドドドドドド

 

 地響きを伴った轟音が聞こえ始め、誰かがつぶやいた。

 

「来たぞ・・!!」


 目の前の地平線から、粒粒が見え始める。

 

 それらは徐々に視認できる大きさまでになっていった。

 

 そう、それは多種多様のモンスター。

 

 クマ型、猿型、馬型、牛型、

 

 ゴブリンオークオーガユニコーン・・

 

 有象無象のモンスター。見たことのあるものもいるが、そのステータスも通常の者とはワンランク上のものだ。

 

「これが・・ビートダウン・・!!」


 ちぐはぐなモンスターたちが、こちらへと一心不乱に押し寄せてくる。

 

「しかし、多すぎる・・!」

 

 こちらの数もいるとはいえ、安全にさばききれるのだろうか。少し自信がない。

 

 隣で僕の言葉を聞いてマージョリーさんが言う。


「私に任せて、優斗。この程度の大群なんて・・!!」

 

 そう言って、マージョリーさんは詠唱を開始した。

 

「『業火、空の炎、月の石、箒星・・』」

 

 まだモンスターと僕たちが衝突するまで数分は余裕がある。

 

 その間に詠唱を完成させ、彼女は

 

「『メテオストライク』!!」


 魔法を発動させた。

 

 ボウッボウッ!!

 

 空に巨大な魔法陣が表れて、そこから炎の塊が前方へと飛んでいく。


 そう、その魔法は絶大。

 

 当たれば即死の範囲攻撃が驚くほど広い領域にわたって展開されたのだ。

 

 ドガーン!!ドガーん!!

 

「ぎゃおぉおおおおお!!」「ひひぃいいいいいんん!!」


 モンスターの断末魔に、冒険者たちも歓声を上げた。


「魔法使いか?!」


「マージョリー様のお力!!」

 

 涼しい顔で彼女はこちらを見てしてやったとばかりに笑う。


「ふう・・こんなところかしらね・・」

 

「すごい・・!!」

 

 見えている範囲のモンスターの数は半分まで減っているだろう。


 もしかして彼女だけでいいのではないかと思ったが、そうもいかないらしい。

 

「この魔法は範囲、威力が高いけど、あまり連発はできないのが欠点ね」


「そうですか・・」


「でも、少し休めばまた発動可能よ。その間私も遠距離で援護するわ」


 それでもかなり助かる。ここまでの魔法は並大抵の魔法使いには無理だろう。


 僕は彼女に礼を言う。


「マージョリーさん・・ありがとうございます

 本当に僕のところに彼女がいてくれてよかった」

 

「もうっ!またそんなこと言って・・!戦いの前なのよ?!」


 そうだ。僕が師匠を頼りにしているように、冒険者たちも僕を頼りにしているのだろう。

 

 ならば、頑張るしかない。それが『人としてなすべきこと』。

 

 僕はマージョリーさんと彼らにうなづき返して、目の前を見た。

 

 ドドドドドドドドド!

 

 もうすでにモンスターの群れはすぐそこまで迫り来ていた。

 

 そして、両者は雄たけびを上げる。

 

「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」


「「「「ぎゃおぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

 モンスターVS冒険者たちの戦いが、今火ぶたを切って落とされた。

 

 

 

 

 だが、この時は知らなかった。

 

 この後すぐに戦うことになる、ある意外な人物の存在に。

 

「まっでいろ・・!!俺のぐいもの・・!!」

 

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