仲間たちの猛攻撃
「セイント・バレッド」
ダンダンダンダンッ!!!と。
まるで雨あられのような聖なるオーラをまとった弾丸が、
シュンシュンシュン・・!
東堂を守るように通り過ぎる。
「むっ・・・!!」
ジュウウウウウウウウ・・・と。
触手の断面が、まるで焼けこげるように反応し、再生が先ほどよりも格段に落ちてしまった状況を見て、『鎧』は瞳孔を開く。
「この聖なる気は・・!!!」
そして、その飛んできた方向を、鬼のような声とともに振り返ると・・
「大丈夫か?!東堂!!」
そこには、壁を破壊して現れた一人の聖騎士。
「アン・・・ジェリカ・・!!!」
彼女は、たった今構えていた、ケルト十字の装飾が施された金色の拳銃を腰にしまうと、
次にシュッ、と。腰から剣を引き抜き突撃する。
「助太刀いたす!!」
それに対し、横目で鎧は目を光らせる。
「ふんっ・・聖騎士・・!!!ゴミが・・・!!!」
過去に何かあったのだろうか。
「吾輩の天敵・・・!!!きさまはむごたらしく殺し・・」
言いながら、『鎧』は触手と飛ばすものの。
「セイント・オーラ」
「っ!!!」
彼女は全身に聖なる気をまとい、一部の隙も無くどんどんと距離を詰めてくる。
その空間に触れた触手は、なすすべもなく水につけた綿菓子のように消滅していった。
「ならば・・」
次に『鎧』は、
ぎゅいいいいいいいいいいいいいいん!!
目の位置に強大な魔力を集中させ、
一瞬後にその圧倒的な圧力でもってして吹き飛ばすつもりなのだろう。
だが・・
「ぐるうるるるうう!!!!」
いつの間にか、奴の背後には、巨大な獣臭を放つオオカミがいた。
『彼女』は、その胴体をかみちぎらんとばかりに咥える。
その力強さは鎧が変形するほどだった。
「なっ・・・?いつのま・・・」
「ワウーーーーーン!!」
そして、後方に投げ飛ばす。
今放とうとしていた闇のレーザー攻撃は、ちょうど斜め上空に放たれ、
ジュクシッ!!
天井付近を的外れに焼く。
「ぐっ・・・ぐうううううううううううううううう!!!」
投げ飛ばされたほうの『鎧』は、投げ飛ばされるその間も気を抜けなかった。
空中ですぐさま追いかけて、何故か人型に変形し、爪による連続攻撃を放ってくるオオカミ。
「ワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワンワン!!!」
無数の連続攻撃。
一つ一つは小さな切り傷なものの、無数に集まることで穴すら開きそうな勢いだった。
それに抵抗するためにも、
着地地点を後ろ手に受け身を取ろうと触手を伸ばす・・・
が
「ぬっ?!」
するっ、と。
その背後の手が空中をつかむ。
「っっっ!!」
驚愕。
そう、彼は微弱な魔力を常に放射状に放ち、目を使わずとも空間を把握することが可能。
それは常在的に発動する魔術の基礎の基礎ともいえる技術なのだが、
それによれば、先ほどまでそこには何もなかった・・はずなのに。
ガガガガガガッガガガガガ!!!と。
いつの間に彼は『顎』の中にいた。
そう、いつのまにか空間に『発生』した、ドラゴンの頭、
その内部には、まるでシュレッダーのように歯車がかみ合っており、鎧がどんどんと削り取られていく。
これは、まるでドラゴンの形を模した、機械。いや拷問器具。
「ぐっ・・!!」
ゆがむ。
がっちりと凹凸をつかまれ、内部でフレームをゆがませられる。
「ぐっ・・!!!ぐぐぐぐ・・!!き、きさま・・・!!!これは、一体・・・!!!」
そうやってとらえられている間・・
その周囲をメンバー全員が集まってきた。
斎藤優斗がみなにいう。
「よくやった。皆」
それに対しいち早く反応したのは。
「はい!!もったいないお言葉です!!!」
その言葉の発生源は、鎧を拘束しているドラゴンの頭。
そう言って、龍の上部から人型の上半身がぬっとあらわれる。
東堂がそれを不気味そうに、
「うわぁ・・なんか、やだなその形・・」
「うむ、できれば相手にしたくないであるな」
その上半身は、なまめかしい胸のある形。いわるゆ女形ではあるが、
ところどころどこか溝や配線などが体を通っており、どこか人には見えない。
それ以前に下半身がドラゴンの顔があるから一目瞭然なのだが。
だがそれでも全体的に見れば美人な顔で
「やりましたよ!!アタシが仕留めました!!ほめてください!!」
「うむ、よくやった」
「ふふふふ・・・」
「おぬし・・!また一人だけ高感度を挙げようと・・!」
そう言ってくねくね動かし、それを気味悪く見ている一行だが・・・
「ふんっ!!!」
「!?」
突然爆発。
そして、すぐさま内部から鎧が翼を広げ、
「覚えておれっ!!!!」
瞬く間に飛び去って行った。
「おいっ!大丈夫か!!北条!!!」
完全に見た目にはバラバラに粉砕されたように見えた北条ではあるが・・
「はい、大丈夫です!!!」
そう言って、周囲の砂粒が寄り集まり、人型になってゆく。
メイド的ないでたちの人形が現れた。
「この義体はナノマシンでできているんですよ?この程度問題ありません!!」
そう言って、メイドのスカートをぱんぱんとはたく。
それにほっとしたような表情をした優斗。
、
「そうか、それはよかったが、それと・・」
「ええ。大丈夫です」
その問いを最後まで聞かずに北条は言う。
「発信機なら既に取り付けております」
「でかした!それじゃあ後は俺が・・」
その時、最後の一人が現れる。
「・・いえ、それは私の役目よ」