プロローグ──駄女神
その女神は、女神らしからぬ程に慌てていた。
「あ〜、ど〜しよぉぉぉぉぉ」
「いつも監視しないでグースカ寝てるからでしょ?それにしても、まさか自分が送った勇者候補が魔王になるなんて、あなたも災難ね」
横から釘を刺したのは、その女神の同僚の大人の雰囲気を醸し出す女神。
「だよね〜だよね〜、やっぱ私ってクビ?」
「確かに貴方の責任問題だけど、クビかどうかは私にもわからないわ」
そう、この慌ただしい駄女神が頭を抱えているのは、女神が与えた恩恵を使い、勇者候補が魔王を討伐した。まではいいのだが、その後、勇者は何を思ったのか、魔王の後につぎ、ますます世界の平和が乱されていくという、なんとも珍しい事案である。
「や〜だ〜よ〜クビやだよ〜人間になんか戻りたくない〜」
女神というのは、もともと1年に一人、一番行の良かった(死んだ)人間がなるもので、女神がクビになると、本来の死んだ後のループ通り、新しい人間に生まれ変わる。
ちなみに、女神の寿命は1万年なので、その期間を過ぎると、自動的に人間へと生まれ変わる。
「騒がしいわね、そうだ、新しい勇者候補がでも送ってみたら?久しぶりにチート能力でも持たせて」
「それナイスアイディア!どんなチート能力にしよっかな〜──これとかは?」
「いいんじゃない?それより、人は決まってるの?」
「それがさ〜面白い子がいるんだよね〜」
「あの子には言っておきなさいよ?」
「もち!わかってるって」
「それで?どんな子なの?」
「確か名前は、龍崎翔?」
その頃、一人の少年は、お約束通り──