必要
本日、3話投稿。
2話目。
押忍!! ガクです。 麻酔というのはその効果は大人ならば知っているでしょう。痺れたり、意識が無くなったりと医療の現場では必須ですよね? ですが、あれって何で効果がるのか分かっていないそうです。
今日も真っ白な空間に気が付いたら立っていた。
毎度恒例となっているな。
「こんばんは。ナルミの事、ありがとう」
目の前に神様がいたが、声をかけられるまで気が付かなかった。
真っ白な空間がフィルターになってるのか?
「結構衰弱しているし、心が弱りきってる。まだ、お礼を言われるだけの事はしてないさ」
「でも、私の願いを叶えてくれたわ」
そんな笑顔で言われると恥ずかしいな。
「あら? あなた、私に気があるの? でも残念。私はみんなのモノだから一人に束縛されないの」
ウザいな。
頭お花畑か?
「そうだな。残念だ」
「うっわ~。全然心こもってね~」
ま、さすがはあの神様の友達だ。
類は友を呼ぶと言うしな。
うん。
「あのね。神様は心が読めるのを忘れてない?」
「おいおい。プライバシー侵害だ。胸を揉ませろ」
「嫌よ! 何で胸を揉ませないといけないのよ!」
チッ。
神ちゃんならこれで一発なのに。
あのチッパイは揉むというより撫でるってのが表現として正しいがな。
「それ、あの子に言ったら本気でなくわよ」
「そうだな。……って、あれ? 神ちゃんは? 今のでツッコミながら登場すると思ってたんだけど」
「……」
急に黙り込んだ情熱の神様。
「どうした?」
「あの子は神界会議で裁かれたわ」
「何やったんだ? 仕事でもサボってたのか?」
全く。
この前来た時はコタツでミカン食べてたし。
「そんな生易しいものじゃないわ!!」
ビックリした。
まさかボケに対してガチギレされるとは。
「あの子はあなたのせいでこうなったのよ」
「俺のせい?」
どういう事だ。
あいつに何があった。
「あの子は『神格剥奪』になったわ」
神様の世界をよく知らない俺でもその意味の重大さは分かる。
「おい! あいつはどうなった!!」
俺は情熱の女神に迫り、両肩に触れる。
「ちょ、ちょっと」
「あいつは無事なのか!」
「離れなさい」
「ぐぅぐぐ……」
吹っ飛びそうな威圧に気迫で耐える。
下がれない。
俺があいつの足をひっぱたのなら、俺はあいつに謝罪しないと……。
「ちゃんと話すわよ。まったく。そもそもなんであんたは私に触れる事ができるのよ」
「神ちゃんには触れられたぞ?」
威圧が消えた。
俺も少し距離を取る。
「あの子あなたにこの世界の食べ物を渡した?」
「ん? ミカンを食べたな」
コタツの時にミカンをもらったな。
美味かったな~。
「ふ~ん。なら、私が言う事は何もないわ」
「おい。話が違うぞ」
「私があげた石を使いなさい。まぁあの子も今すぐにどうこうなる状態じゃないからナルミの結末を見てからあの子を探した方が良いわね」
「探す? 何を言って―」
「ヒントはここまで。お礼も言ったし、さようなら」
真っ白な空間が情熱の神様を覆い隠す。
手を伸ばすが、届くわけもなく意識が飲まれ始め、意識がなくなった。
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起きるとサラもルアンもいなかった。
寂しいな。
隣のベット見るとナルミの姿もない。
どこに行ったのだろう?
ベットの上には着替えが置いてあるって事は出かけたのかな?
あ、手紙がある。
「読めないよ……」
まだ、文字を覚えてないんだって。
どうしようかな?
とりあえず朝飯にするか。
「あぁ、お客さん。彼女さんから伝えてくれと言われた事があったんだ」
「何ですか?」
「え~と。奴隷の契約をしてくるから留守番してろってさ」
サラはそんな乱暴な言葉使いしないぞ。
まぁいいか。
「ありがとうございます」
「確かに伝えたからな」
「はい」
さて、どうしようかな?
俺のなんちゃってバックも無いって事は買い物にも行ったんだろうな。
今日は一人行動か。
何しよう?
とりあえず飯を食べで部屋に戻った。
さて何をするかだが、とりあえず石を鑑定しよう思った。
【アイテム収納アプリ】にしまった石を取り出して鑑定。
~~鑑定結果~~
名前:不明
効果:不明
マジか。
鑑定不能って事かよ。
モヤモヤするな~。
神ちゃんに何があったのは確かか。
で、今はどうにもならない。
後は探せって言ってたよな。
って事は神ちゃんは俺のせいで『神格剥奪』されて、おそらくはこの世界にいる。
どうこう出来ないてのはまだ来ていないって事か?
いや、遠い所にいるとか?
探すって言ってもどうしろってんだ。
石も解析できない。
手打ちか。
問題ないってあの神様は言ってからそれを信じるか。
今は目の前の事に集中するか。
部屋で一人、ベットの上で足を組んで目を閉じ、魔力を練る。
強くならないと。
俺が修行を始めて四時間ほどしてサラとルアンとナルミの三人が帰ってきた。
ちょうどお腹が減ってお昼を食べている途中だった。
ご飯は食べてきたようで、部屋でゆっくりしていると言って部屋に行ってしまった。
少し寂しい。
そして部屋に戻ると三人とも寝ていた。
どうやら仲良くなったらようだな。
良かった。
俺は再び瞑想した。
一時間ほどしてルアンが起き、遊んでいると二人が起きた。
落ち着いてからナルミと自己紹介をした。
「あ、あの。私を助けて頂いてありがとうございます」
「いえいえ。どう? 身体に異常はない? ゆっくり休むんだよ」
「はい。……私、ナルミと言います」
「俺はガク。よろしく」
えっと。
どうしてサラの後ろに隠れて喋るのかな?
可愛いけどね。
「あの、ガクさんは転生者ときいたのですが……」
俺はサラにアイコンタクト取った。
簡単な説明をしたようだ。
おそらくは不安させないための考慮だろう。
味方がいると思ってくれたらいいけど。
「そうだよ」
そう言ってペンダントをスマホに変える。
「あ、ほ、本当に……」
急に泣き出してしまった。
安心したのだろう。
良かった。
「大丈夫?」
俺が彼女に近づく。
「イ、イヤ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「ナルミ……」
安心したような表情から急に恐怖が彼女を染めた。
スイッチが入ったように同じ言葉を連呼し、地面に頭を押し付け続ける。
「サラ……」
「はい」
サラの魔法によってナルミは眠りに落ちる。
ナルミをベットに寝かせるサラ。
表情は暗い。
「男性が怖いそうです」
サラが開口一番に言ったのがコレだった。
「迂闊だった。距離をいきなり詰めすぎた」
「いえ、私が事前に言っておけば、こんな事には」
ルアンはナルミの傍で泣きそうな表情をしている。
「別の部屋を借りよう。俺はそっちに寝泊まりするよ」
「ダメです。それではガクさんを守れません」
「サラ」
サラの目を見る。
これはダメだ。
絶対に曲げない目だ。
優先順位が彼女よりも俺を優先するのだろう。
「酷な話ですが、彼女には一人にする時間が必要かもしれません。部屋を新しく借りるのは賛成ですが、寝泊りするのは彼女にするべきです」
悩むな。
危険じゃなかろうか。
彼女が一人で考え込んでも思考がグルグルと負に入りそうで怖い。
だが、心を整理する時間は必要だよな。
「彼女に決めさせよう。不安なら別の宿に移動して広い部屋にしてもらおう」
「……そうですね」
サラの手を取って握る。
サラはまだ十六の少女だ。
彼女も心に動揺があるのだろう。
俺がしっかりしなくては。
ナルミが目覚めたのは三十分経ってからだった。
「おはようございます」
サラがナルミに声をかける。
身体をビクつかせ、飛び起きるナルミ。
「す、すいません」
謝るのが癖になってしまっているのか。
「大丈夫ですよ。体調は如何ですか?」
「も、問題ありません」
「……そうですか」
サラが困惑しているのが分かる。
おそらくサラが彼女の感情を見ると大半が恐怖なのだろう。
何を言っても返ってくるのは恐怖。
とても心を読むどころではない。
嘘を見抜く力も今はマイナスになってしまっているだ。
サラの能力は対象者が嘘だと認識していなければならない。
今のナルミは何が自分の本当の言葉か分かっていない。
これでは嘘も本当もあったもんじゃない。
ナルミはサラの質問や応答の全ての受け答えが問題のないように受け流す。
そして間違いなく俺の存在に怯えている。
同じ日本人だとか関係ないんだ。
男だからダメなんだ。
やはり、彼女には一人で考える時間が必要なのかもしれない。
次は16時に公開されます。




