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目覚めると……

 押忍!! 男の中の漢のガクです。異世界に来ると日本と同じモノや違うことをついつい考えてしまいます。コレは外国に行った時と近いと思います。俺、外国に行った事はないんですけどね。


 意識が覚醒すると真っ白な空間にいた。


「……あ。え? 俺って死んだのか?」


 そうだ。

 たしかここは以前に日本で死んだ際に来た空間だ。


 異世界に来てまだ半年もいないのにここに来たのが随分と昔に思う。

 懐かしいと思う程のモノは何もない空間だがな。


 う~ん。

 こんなに早く死ぬなんてな~。


 俺の死因って何だろう?

 爆発に巻き込まれたからかな?


「はへ? ……ゴクン。 学くんじゃないですか!? 何でここにいるんですか?」


 俺を学くんと呼ぶ存在は一人しかいない。


 目の前にいつの間に用意したのか分からないが、4畳程度の空間とコタツ、その上にミカンがご丁寧に乗っている。

 そのコタツに入り、袋から開けた煎餅をバリバリと食べる食べる幼女がそこにいた。


 まぁ、神ちゃんなんだがな。


「お前が知らん事を俺が知るか」

「……。ズズゥーー。入ります?」

「失礼します」


 お茶を飲んで一息した神ちゃんがコタツに入るか聞いてくれたのでお言葉に甘えて入らせてもらう。


「……ぬくいな~」


 久々のコタツは魔物だな。


 コタツの上に置いてあるミカンに手を伸ばす。

 中々良い趣味だな。


「で? 何でここにいるんですか? 死んだんですか?」

「だから知らないって。そっちで何か分からないのか?」

「冗談じゃなんですね。じゃ~今、調べますね~」


 冗談だと思ってたの!?


 あ、コイツってこんな感じな奴だったな。


「……あ」

「ん?」

「あ~。プププッ!」


 何笑ってんだよ。


「アッハッハッハッハ!!」

「何笑ってんだよ!? そんなに俺の死因が面白いのか!!」

「違いますよ~。昨日の録画したテレビが面白くて!」

「仕事しろ!」

「はいはい」


 死因を調べるって言って何で昨日の録画した番組を見てるの?

 お前が言い出したんだよな?


「出ました!」

「何だった?」

「サラクさんのタックルが原因みたいですね」

「サラ……」


 うっすらと『ガクしゃ~ん!!』って言ってヘトヘトの俺に向かって来たのを思い出した。


 あ、このミカン美味いな。


「まさか死んでないだろう?」

「う~ん。半死半生ですかね。あ、学くんの場合は九死一生って感じですけどね! アハハハ」

「笑い事じゃねーよ!? こっちは臨死してるんですけど!!」

「上手い!!」

「上手くねーよ! ちょっと誰か話の分かる神はいねーのか!?」

「え? 私の事ですか?」

「お前は毎回分かりづらいボケしかかまして来ねーだろうが!!」

「それを上手く返す学くんに脱毛しちゃいますね!」

「脱帽だ! 勝手に俺の毛を抜くな! ハゲるだろう!?」

「すいません。ちょっと何言ってるのか分かりません」

「いや、お前こそ何言ってんの!?」


 そこで落とす?

 お前、絶対飽きただろう?


 俺との会話を飽きるなよ!

 俺が悲しいだろうが!


「九死に一生って感じで生き返るとは思います。良かったですね!」

「まぁ、九死一生も意味的には一緒だがな」

「くっ! 分かりづらいとはこの事だったんですね」

「まぁな。話の流れ的には俺の状態を意味しているんだと思うけど、言葉の意味的には生き返る感じだしな」

「結果的には一緒ですからね」

「尚更分かりづらいな」

「神様にも間違いの十や二十はありますぅ~」

「そのドヤ顔がムカつくわ~」


 ベコピンを食らわせたい!

 ハナピンでも可だ! 鼻が凹めば良いのだ。


「それにしても十五歳の学君は可愛いですね」

「ん?」


 あ~そうか。

 俺と神ちゃんが会ったのは俺がナイスガイな三十六歳の時だったよな。


「お兄いちゃんって呼んであげましょうか?」

「やめてくれ……」

「え~!!」


 逆に何で呼ぼうとする?

 お前の方が年上だろうが。


「どんな感じで読んだら良いですか?」

「え? 今まで通りで良いよ」

「つまらない大人になりましたね……」


 あれ?

 この空間ってスポットライトってあったんだ。


 周りが暗くなって神ちゃんに光が降り注いでる。


 何故だろう。

 全然神々しくない。


「良いですか? 昔のアナタなら私の卑猥な言葉を言わそうとしたでしょう!!」

「お前は俺を何だと思ってるの? まずそのことから話そうか」

「そして私が恥ずかしがる姿を見て気持ち悪い笑みを浮かべた後、更なる屈辱を要求するのです!!」


 俺の言葉は聞いてくれないのね。


「あぁ。神様である私が恥辱のすべてを受ける。それをワイングラスを持って葉巻を銜えて鑑賞するのが以前のあなただったじゃないですか!」


 そこまで力説するなよ。

 それにもはや誰だよってレベルだし。


「神ちゃんってそういえば神様だったな」

「おかしいですね。いろいろと助言などしているんですけど?」

「ぇ……あ! 忘れてないよ! あの時は本当にありがとうございました!! 流石は神様だ!」

「絶対に今思い出しましたよね!!」


 い、いや~。

 そんなことはないよ~。


「あはははは」

「笑っても誤魔化せませんよ!」


 仕方ない。


「はい。あ~ん」

「あ~ん」


 チョロかった。

 みかん一欠けらでニコニコだ。


「神ちゃん。その、なんだ。いろいろとありがとうな。直接言いたいと思ってたんだが、本当にありがとうございました」

「学君……」


 俺はコタツから出て土下座をした。


 俺の気持ちを身体で表現するとしたらこれが一番相応しい。


「何か悪い食べ物でも食べましたか?」


 こいつは何故か直ぐに話をそらそうとする。

 それに助かる場合もあるが、今回はマジだ。


「神ちゃん。いや、神様。……なんて言ったら良いのか分からない。言いたいことはたくさんあるんだけど、口に出そうとするといろいろと考えちゃって……」


 思いつく言葉がどれも軽すぎる。


「俺! 今、とっても楽しいから! 生き返らせてもらって、あの世界に送ってもらって、めっちゃ楽しいから!! 今あるこの時は本当に神様のおかげって、神ちゃんが俺の為に泣いてくれたから……」


 俺が前を向くと神ちゃんが俺を抱きしめてきた。


「大丈夫ですよ。分かっています。あなたの気持ちは痛いほど伝わっています。ですから泣かないでください」

「……ありがとう。神ちゃん」


 勝てないな。

 本当に。


 いろいろとバカなことをしても目がとても穏やかなこの神様の近くは居心地が良い。


「あ、前回のあれは涙じゃなくて鼻水です」

「汚ねーよ!」

「じゃー汗です!」

「同じだ」

「涎です!」

「もっと汚ねーよ!」


 泣いたのを認めねーのかよ!


「時間ですね」

「え?」


 俺の身体が透けだした。


「良かったです。学くんと話せて」

「俺もだ」

「お元気で」

「あぁ。……何かあったら言ってくれ。お前の頼みなら何でも聞く」

「その時はお願いしますね」

「任せろ!」


 命を対価にしても神ちゃんの役に立つのなら素直に渡す。……比喩だよ?


 足がなくなって胴体も消える。最後は頭か。


「最後に」

「なんです?」

「愛してる。神ちゃん」


 笑顔を向けて完全に消え、意識が一瞬だけ途切れ再び身体の感覚を取り戻した。


 身体を動かそうとしたが何かが身体の上に乗ってるようだ。


「……サラ」


 目を開けて身体に乗っていたのは俺のお腹を枕にして寝ているサラだった。


「目が覚めましたか?」

「……トコンさん」

「やぁ」


 顔を横に動かすとそこにはローブを脱いだラフな格好のトコンさんがいた。


「目が覚めて良かった」

「ご心配おかけしました」

「いやいや。あの魚群を相手に被害が出なかったのは君の起点のおかげだ。誇って良い」

「ありがとうございます」

「まだ、病み上がりだし私も自室に戻るよ。それじゃ」

「はい。ありがとうございました」


 サラを起こさないように起きる。


 少し顔の血色が悪い。

 俺を回復させる為に少々無茶をしたのか。


 起こさないようにベットに寝かしつける。

 俺の少しはステータスが上がったのか、サラを余裕で抱き上げられる。


 サラを寝かしつけ、俺もその横で寝る。


「お休み。ありがとう、サラ」


 額にキスをして寝た。


--------


 学が居なくなった神のいる空間にポツンと残った者がいた。

 親愛の神だ。


「……最後にあなたにお会いする事が出来て良かった。私が消えてもどうかお元気で」


 何もない空間に突如真っ暗な穴が開く。


 そこから何者かが現れる。


「……親愛の。お前、マジなのか?」


 赤い燃え上がるような髪をなびかせ、親愛の神と同様の白いワンピースを着たグラマーな女性が話をかけた。


「拳闘の。……そうです。見ていたのでしょ?」

「あぁ。あんな楽しそうなお前を初めて見た」

「……彼は不思議なんです。見ているとハラハラして危なっかしい。なのに近くにいると落ち着く」

「人間に恋をするのは禁則事項だぞ」

「もうあの方には知られているでしょう。近々私は……」

「そうだな。神の位を剥奪され、何かしらの刑を科せられるだろうな」

「……入ります?」

「お邪魔しよう」


 コタツは神の世界でも魔物のようだ。


「お願いがあります」

「断る!」

「まだ何も言ってないじゃないじゃないですか!!」

「どうせ、あの人間が困ってたらそれとなく力を貸してやってくれって言うんだろう? 冗談じゃない! 俺までペナルティー課せられちまう」

「バレなきゃ良いんですよ~」

「ハァ~。一回だ。一回だけはアクションしてやる。だが、それだけだ」

「それで結構です。ハァ~心残りが消えました」

「そいえばあの人間に愛の告白されてたが、答えはどうなんだ?」


 茶化したように聞く拳闘の神。


「アハハハハ」

「笑って誤魔化すな!」

「うぅ~。そ、それは……」

「ん?」

「私も愛していますよ……」

「ヒュ~。お熱いね~!!」

「親愛の神ですから!!」

「いや、そう言う意味じゃなくてな?」


 親愛なる神は変わらないようだった。


 

 

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