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出港

更新されていませんでした。

すいません。

 押忍!!男の中の漢になるオトコの子のガクです。サラが時々見せるカッコイイ姿はいつみてもドキッとしてしまいます。更に好きになってしまいますね~。


「海だ~~~~!!」


 俺は今、船に乗っている。

 本来なら浜辺でやるんだがやる機会を逃してしまったので船の上でやる事にした。なお、周りの目があるのは気にしていない。

 乗組員や他の人達が俺を見て笑っていたとしても俺は気にしない。


 ……少し自重した方が良かったかな?


 まぁいいか。

 さっきちょろっと言ったが船には乗組員以外のお客さんが乗っている主に商売を生業としている人だ。人数は俺達を含めても十人やそこらだろう。

 こんな少人数しか乗せなくて利益が出るのかな?


 俺達は護衛の依頼で運賃は免除されてるからな~。

 多分、ギルドの方で何かしらの支援や船以外で利益を出しているんだろう。


 それにしても海が青いな~。

 船移動が初めてだから結構ワクワクしてたんだよね。その高いテンションの所為で先ほどの言葉を発してしまったが、中々爽快だった。


「ガクさん、どうかしましたか? 海に海と叫んでましたけど」

「……」


 イヤ、そうなんだけど。

 少し違うんだよ!


「やってみると分かるよ。結構気持ちいいよ?」

「そうなんですか?」

「うん」


 やっぱりこいうのは気分なんだよ!

 打ち上げ花火を見て『た~ま~や~』って言っちゃうのとかもそうだと思うんだよね~。

 ちなみにあの掛け声って地域よっては『かぎや』とも言うんだよね。由来は花火師の屋号だとか。あまり知らないけど、そうだった気がする。

 玉屋と鍵屋だったな。


 それ以外は忘れちゃった。

 調べたの結構昔だったし。


 海を見た時に『海だ~』って叫ぶ由来は知らないぜ。

 てかあるのかな?


「本当ですか~?」

「本当だよ。気分的なモノだけどね」


 最近、サラが俺に対して疑い深くなった気がする。

 何かやったかな?


 ……うん。思いあたる節は数々あるな。


 昨日の夜とか冗談で上半身裸で布団の中で潜んでたけど、サラが布団に入る時に俺が全裸だと勘違いした時に慌てようはとても面白かった。

 アレが駄目だったのだろうか?


 それとも今朝の全裸でおはようをしたのがいけなかったのか?

 どうせ下は履いてると思わせての全裸だ。サラも『その手には乗りません!』って言って布団を捲って結構焦ってたっけ。

 これは流石に怒られた。


 う~ん。

 どれだ?


「……どうやれば良いですか?」

「え? 普通に大声で叫ぶだけだよ。口の前に両手を添えると良いかもね!」


 どうやら、やる気らしい。


「やってみます!」


 そこまで気合いを入れる必要は無いと思うんだけどな~。


「すぅ~~。……海だぁ~~~~~~!!」


 中々筋が良いな。

 ……周りの人たちが何故か微笑ましい目で俺達を見てるのは気のせいだと思う。


「どうだった?」

「……良いですね! なんかこう……海って感じがします!!」

「おお!! この感じが分かるのか! 流石はサラ!!」

「そ、そんな事は……フフフ」


 照れてる。

 何この可愛い生物。


「な、何で頭を撫でるんですか?」

「あ、無意識に撫でてしまった……」

「無意識ですか!?」

「うん」


 そう言って頭から手を放すと少し残念な雰囲気を出すサラを心の中で微笑ましく思いながら船の前方を見る。


「……港に付いたら馬車で更に七日移動して都市に到着か」

「そうです。船の移動で約二日~四日程度はかかりますが、およそ十日前後で付きますね」

「楽しみだね!」

「はい!」


 俺は強くなる。

 脱童貞する為に!!

 あ、間違った。


 サラを守れるように!!

 目指せハーレム!!


 目指せハーレム王!!

 どっかで聞いたセリフだな?


「あ、ガクさん!! あれ見て下さい!!」

「え? ……ぉお~~!!」


 ザバ~ン。と音と水飛沫を立ててイルカの大群が船から四百メートル離れた場所を飛び離れている。


 スゲ~。初めて見た。

 結構感動モノだな~。


「キレイだね~」


 俺はサラに何気なく声を掛けたのだが、俺がサラの方を向いたらすでにサラの姿はそこには無かった。


 サラを探すべく辺りを見るが、カンカン!! と鐘の音が響く。


 これは確か海の魔物が現れた時の警戒音だったはず!!

 魔物はどこにいるんだ!?


「野郎ども~!! 船右側面に魔物群れが出現!! 正確な数は不明!! 魔法使いは中央舵に集合!! 客はとっとと中に入れ!! 落とされんぞ!!」


 船の右側って……イルカがいる方向じゃん!!


 え!?

 イルカって魔物だったの?


 動揺しながらも俺は舵がある中央の高台に行く。

 そこにはフローのギルドから連れて来られた魔法使いとサラ、お客の魔法使いがいた。ここにいたのね。


「あ、ガクさん。魔物ですよ?」

「う、うん。あの飛び跳ねてるヤツだよね?」


 あえてイルカとは言わない。

 名前が違う場合があるからね。


「はい。船に風を当てて推進力を上げてあの魔物から逃げ切ります」

「凶暴なの? あの魔物」


 イルカって温厚だったよな気がするんだけどな~。


「襲っては来ることはないとは思いますが、津波で船が転覆する可能性があるので……」

「津波?」


 何で津波が?


「おい、坊主。あの魔物の大きさは?」


 船長が俺に質問してきた。

 

「え? ……三~四メートルくらいですか?」


 ショーとかのイルカって三メートルくらいだし、あのイルカもそのぐらいだろう?


「アレはそんな可愛い大きさじゃねーよ。何百メートルもあるバケモノだ」

「……え?」


 ……ちょっと待って。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 あ……。

 ……。

 ……。

 ……え?

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 ハァ!?


「分かったか」

「全力で逃げましょう!!」


 距離感が分からない訳だよ!!

 量るモノが周囲になんだから!!


 界〇類かよ!?

 ここはグラ〇ドラインだったのか!?


 日本で最大の哺乳類はクジラだったはず。

 あのイルカはそれ以上だ。

 津波で船が転覆する訳だよ!!


「では、風を起こしましょう」


 テンパる俺を他所にサラは杖を掲げた。


「『大風』」


 強い風が吹き、船を先進させる推進力を得て先ほどとは比べモノにならない程のスピードが出ている。


 だが、無駄が多い。


「皆さんも風の魔法をお願いします!」

「「「はい!」」」


 これは言った方が良いかな?


「待って。サラ、俺に考えがある。任せて欲しい!」

「分かりました」


 即答!?


「え!? 良いの?」

「はい。お願いします」

「任せてくれ!」


 俺は指示を飛ばす。


「水の魔法が得意な方はいますか?」

「あ、はい」

「私も水の方が得意です」


 二人か。

 ちょうど良い。


「お二人は船の先頭に移動して下さい」

「「はい」」

「他の方はこの高台と先頭の間に移動して下さい」

「「「はい」」」

「ガクさん、私はこのままで良いですか?」

「うん。でもうまくいったらスピードが出過ぎるからその時は抑えてね」

「分かりました!」


 良い笑顔!!


 よし。頑張ろう。


「先頭に立った二人は船首に接する海水を割って後方に流して下さい。左右で分かれて行って下さい」

「は、はい『水流操作』」

「『水流操作』」


 俺の指示が正確に伝わっているかを確認する。


「範囲が広すぎます。海水が船首に当る場所を集中して左右に分けて下さい」

「「はい」」


 うん。コレで大丈夫かな。


「残りの方たちは向かい風を船に当らないようにして下さい」


 ハテナマークが浮かんでるな。


 俺はダミーのバックから紙とペンを取り出し、絵を書いて説明する。


「船の進行方向に一人が向かい風を『斬風』で斬ります。ただ、『斬風』の威力は高くなくて大丈夫です。他の方々は左右に分かれ『風流操作』で分かれた風を広げて船に風が当たらないように後方に流して下さい。分かりましたか?」

「問題ありません」


 一人の魔法使いが元気良く返事をした。


「では、お願いします」

「「「はい」」」


 一人が向かい風を斬り、左右で二名づつ別れた風を後方に流した。


 船は更にグンと速さが増した。……気がする。

 そう思いたい。


 俺はサラのいる舵のある高台に向かった。


「ガクさん、スゴイです!! 少しの風で先ほどよりスピードが出ています!!」


 キラキラした目で俺を見るサラを確信して成功を実感した。

 あ~良かった。


 まぁ実際に俺がやった事は簡単だ。

 風の抵抗や海水の抵抗を減らした。それだけだ。


 自信満々に言うつもりもないが空気抵抗や水抵抗はスピードを損なう原因になる。

 『水流操作』や『風流操作』でその抵抗を少なくし、サラの魔法の推進力を存分に発揮できるようにしたのだ。

 

 オリンピックの水泳選手の水着には水の抵抗を減らす素材を使ってるし、F1の車や飛行機もその応用だったり利用だったりする。


「本当にうまくいって良かった」

「スゴイです! ガクさん!」


 うん。

 俺の話を聞いて無いね。


「坊主! スゲーじゃねーか。魔法にこんな使い方があるとは思いもしなかったぜ!」

「思いついた事を実践しただけですよ」


 異世界人なら簡単に思い浮かぶ案だと思うんだけど、どうやら俺が最初にこの方法を行ったらしい。

 まだ広まってないだけかもね。

 その可能性の方が高い気がする。


「一時間はこの速さを維持してくれ、嬢ちゃん」

「は、はい!」


 サラが戻ってきた。

 良かった。


「サラ、大丈夫? 辛くない?」

「フフフ。大丈夫です。ガクさんが負担を少なくして頂いたので、私は大丈夫です」

「そっか。でも、俺にも力になれるだけの力があれば……」


 レベルが低すぎで長い時間魔法を維持できないし、出せてもそよ風程度だしな。


「行きは仕方ありません。帰りはお願いしますね!」

「もちろん!」


 帰りは空を飛んで帰れたら楽しそうだな!



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