付いている
久しぶりの更新。
次回はも少し早く上げます。
押忍!!男の中の漢。名をガク。三十六歳。肉体年齢は十五才。日本じゃ地元を出た事が無いので、外に行くのはワクワクします。
目の前にいるギルド長が少し疲れが見える。
一見すると美女の顔に目のクマがあるので、丁重にベットで休むように言う感じだが、俺は騙されない。
この人は男だ。
そう。男だ。
付いているのだ。俺にもついいてるアレが!
だから惑わされない。
惑わされないんだからな!?
「不始末を任せてしまい申し訳なかった」
「……え?」
怒られると思っていたが、ギルド長からの最初の言葉は謝罪だった。
「Cグレードの試験を免除になったのはお気持ちですか?」
サラがギルド長に言葉をかける。
表情は怒っている訳ではなく、真剣な面持ちだ。
仮面をしてるから分かんないけど、声からしてそんな感じだ。
「Cグレードの試験を受ける費用や手続きの料金などもこちらで負担させて頂きました。申し訳程度ですが、これもお使い下さい」
出されたのはお金の入った小袋。
……口止め料?
「このお金は何ですか?」
声のトーンが少し下がったな。
警戒かな?
いや、軽蔑?
声からはそんな感じの感情が分かる。
「……警戒をなさらずに。ただの気持ちです」
「……」
サラは無言でギルド長を見つめた。
「……そうですか。受け取っておきます」
そう言って小袋を手に取った。
いくら入ってるのかな~?
とか、気になるのは俺が庶民だからかな?
それからギルド長が捕まえた人たちの事を大まかに話した。
リーダーの女は口を開かずだんまり。
他の連中は助かりたいのか、聞いていない事までいろいろ話すらしい。
事情を聞いたのち、どうなるかは分からないが、軽くて禁固刑。重くて極刑らしい。
極刑は二種類あり、強制労働と首を物理的に飛ぶ方向のヤツ。
強制労働は首に奴隷の首輪を付けられ、強制的に働かせられる。死ぬまでらしい。
気分が滅入る。
「私、個人としても助けになる事なら可能な限りお力をお貸ししたいと思っていますので、よろしくお願いします」
おう。
かわいい笑顔するじゃねーか。
だが、目の前に居るのは男だ。
「早速ですが、魔法使いの方々をお貸しして頂きたいのですが可能ですか?」
「……あぁ。船の出港ですか?」
「そうです」
「う~ん」
借りを速攻で返させる。
サラの背後にスミスさんの影が見えたのは心の奥にしまっておこう。
「まぁ、大丈夫でしょう。首輪をつけて置けば逃げはしませんからね」
「ありがとうございます」
「いえいえ」
それから少しだけ他愛ない話をしてギルド長の部屋を出た。
船の依頼を受ける為に受付に移動する。
「あ~怒られると思った」
「フフフ。緊張した顔をしていましたが、そんな事を考えていたんですか?」
「そうだよ~。でも、何でギルド長はあんなに謝ったんだろう?」
「理由が憐火さんだからですよ」
「あぁ……。納得した」
ギルド創設者。加藤憐火さん。
本当に面白い人だ。
「すいません。ガクさん。お手洗いに行って来ます」
「分かった」
お手洗いって言葉は俺が教えました。
サラがおしっこって言った時は何かを漏らしそうになったのは記憶に新しいな。
受付前の椅子に座ってサラを待つ。
おや?
受付に人がいる。
こんな田舎のギルド会館に人がいるだな~。
三人か。
「マジで!?依頼が船の護衛だけって何なのここ?」
「平和なんだろ?」
「モンスターも周辺にはムミしかいないらしいし、本当に平和なんだよ。私も旦那と子供でここに住もうかな?」
うわ~。
強そうだな~。
あの三人。
サラが言っていた足とか身体の動かし方とかで強い人って分かるんだな~。
あの三人はサラと同レベルぐらいかそれ以上って事か。
……ん?
あの三人はどうやって来たんだろう?
船はまだ出港してないよな?
来たのかな?
「まぁいいや。帰ろうか。お腹減っちゃったよ~」
「そうだな。行くか」
「収穫は無かったね」
三人はそのまま帰った。
スゴイ人達もいたモノだな。
「お待たせしました」
サラが戻って来た。
「大丈夫だよ。行こうか」
「はい!」
癒させる~。
サラの笑顔は俺の回復アイテムになってる気がするな。体力ではなく精神面の回復に貢献してくれる。
俺はこの笑顔に支えられて頑張っていると言っても過言ではないな。
「……何かありましたか?」
「ん?どうして?」
「ガクさんが少し警戒をしていたので……」
あれ?
そんな事まで分かるの?
「強い人がさっきまで受付にいたからそれが原因かもね」
「強い人ですか?」
「うん。サラと同じ空気を感じたから間違いないと思う。……多分」
「フフフ。間違いないと思っていても多分が付くんですね」
話している途中で自信が無くなってしまいました。
「大丈夫ですよ。行きましょう。ガクさん」
「ははは。ありがとう。サラ」
まぁ、今度会ったら話しかけてみようかな。
良い人っぽいし。
さて、受付に行きますか。
「どうしたニャー?」
「依頼を受けに来ました」
「今は船の依頼しかないニャー」
「それでお願いします」
「分かったニャー」
受付のメイドさんが用紙をサラに渡し、サラが用紙に必要事項を書き込む。
俺は、文字を書いている綺麗な女性って何か絵になるよね~。っとサラが書いてる姿を見ながら思ってる。
その文字が達筆なら更に良し!
「これを」
「これが依頼の用紙ニャー。戻ってくるのかニャー?」
「いえ、そのまま帝都に進みます」
「そうのかニャー。寂しくなるニャー」
「また戻ってきますよ」
「その時は声をかけて欲しいニャー」
「はい!ぜひ」
サラが受付のメイドさんとお話をしている。
俺は空気だ。
だが特に嫌な気分はしない。
なぜならキレイな花が二つ咲き誇っているのだから。
と、思いながら自分自身を慰める。
「行ってきます」
「行ってらっしゃいニャー」
後を付いていきます。
「彼氏さんも頑張るニャー」
「は、はい!!」
不意に言われたから声が裏返ってしまった。
受付の人はニコニコとしていたので問題ないだろう。
声をかけてもらった。
よかった。
「あ!!」
サラが大きな声で立ち止まった。
「どうしたの?」
「洋服を試着していません!」
「あ~そうだったね。今から行く?」
知ってたけどね。
「あ、ガクさん!私が忘れてたのを知ってましたね!?」
「あ、しまった!」
サラには嘘を見抜く力があるから嘘をついたらバレる。
結構忘れる事が多いんだよね~。
「ヒドイです~。ガクさんが行こうって言ったのに……」
ガチ泣き寸前だね。
マジか……。
「言うつもりだったよ!?これは本当!!馬車を進ませる前に言うつもりだったんだよ!」
「うぅ~~!!嘘は付いてませんね……」
「ゴメンね?」
「許しません!」
「ええ!?」
サラが許してくれないなんて!!
土下座し方が良いのか?
「……今晩、一緒に寝てくれたら許します」
「……喜んで」
二人とも赤面で、しかもここはギルド会館のど真ん中。
何をやっているだか。
反省はするが後悔はない。
むしろ嬉しい。
この後、メイド服を試着した。
今回は人がいなかったのでサラは仮面を外して洋服を嬉しそうに選んでいた。
何故か流れで俺も着替えるように言われてしまった。
メイド服じゃないよ?
タキシードって言うのかな?アレを着た。
着たと言うより着せられてるって感じに見えたけど、サラは顔をうっすらと赤くさせていた。
もちろん写メりました。
俺のお宝が増えるぜ!
残念ながらお着替えシーンの動画は取れなかった。
近づくとバレるんだよね~。
この世界に段ボールがあれば身を隠して接近し、撮影が出来ると思うんだが……。
残念ながらこの世界には段ボールは無いからな。諦めよう。
今度、土下座して頼んでみようかな?
……引かれるし、説教されそうだからやめておこう。
二人でワイワイ楽しんでいたらいつの間にか真っ暗になっていたので本日はお開きとなり、帰宅した。




