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ハァ?

 押忍!! 男の中の漢。名を学。この世界ではガクと名乗ってます。冒険は良いですね!!……今は暇なんですけどね~。


 モックを出て早、数日。特に何事もなくフローに到着しました!!


 サラは俺に対してガードが緩すぎるってのが最近のトピックなのだが、数日前に、


「俺も男だから余りに無防備な姿を見せられてしまうと、襲ってしまうかもしれない……」


 と、正直に言ったのだが、


「私はガクさんに何をされても良いですよ?」


 とカウンターが返って来た。


 なので、


「え?良いの?」


 と聞いたら、


「でも、自分で言った事は守って下さいね」


 と満面の笑みで言われ、俺は敗れた……。


 今度、イタズラで胸をつつこうかな?

 怒るかな?……最悪、俺の頭が飛ぶかな?


 ……止めておこう。


 いつか、パンツを自分で洗う日が来るのではないかと不安です。


 まぁ、そんな事はいいか!


「おう。身分証を見せてくれ」

「あ、はい」

「これです」


 フローに付くといつもこの人が門番をしてるな。俺が心の中で勝手に呼んでるがサラのファン一号。


 俺とサラが身分証を見せた。


「どうも。ギルドの会員所ってあるかい?」

「あ、はい」

「これです」

「はい。大丈夫ですね~。どうぞ」


 イヤイヤ!!


 見てないでしょ!!


 絶対見てないでしょ!!


 せめて目線は移動させようよ。なんで、手元の書類を見てんだよ。大丈夫か?この街は。


「サラ、アレで大丈夫なのかな?」

「大丈夫なんじゃないんですか?」

「……ぉぅ」


 この子、時々凄まじく応じない時ってあるよね。


 今の時間は十六時だ。

 この後の予定は宿屋だっけ?


「サラ、この後は身寄りの翌日って宿だっけ?」

「ガクさん、緑の緑龍ですよ!どっから出て来たんですか!?」

「あ!そうだ!」

「もう!しっかりしてください」

「アッハッハ。ごめんね」


 自分でもビックリの間違えっぷりだね~。ワザとじゃないよ?


「明日の早朝に修理場だよね」

「はい」


 今からだと、夕食までに時間があるな~。


「宿を取った後、サラはどうする?疲れてると思うから宿で休んでても良いよ?」

「ガクさんはどちらか行かれるんですか?」

「うん。散歩に行こうかな~って」

「……そうですね。この街なら比較的安全ですからね」


 今の間は何?


 え? お前、弱いのに単独行動とかマジで言ってんの? 的な間だったような~?


「大丈夫だよ?危ない所には行かないからね」

「では、お部屋で休ませて頂きますね」


 なんか久々の単独行動だ。


 やましいお店には行かないよ?行きたいけどね。

 やっぱり、男たるもの一度はその仕切りを超えないと駄目だと思うんだよね。


 ……行きたいな。

 興味の方でね。やましい気持ちはないよ?四十九%しかね!


 その後、すぐに宿屋に到着。


 おぉ、緑の緑龍だ。これって緑色の緑色したドラゴンって事だろう? どういう意味だろう?


 馬車は預けて、荷物は部屋に。


「サラ?大丈夫?」


 顔色が少し悪そうだ。


「大丈夫です。少し休めば回復しますので」

「……何か買って来ようか?果物とか」

「お気使いなさらずに。ガクさんは散歩へどうぞ」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫です」

「分かった。じゃ~行ってくるね」

「はい!お気をつけて」


 下に降りる際に、受付でお湯をお願いして欲しいと頼まれた。


「すいませーん!!」

「うっさいぞ!!」

「うお!!居たのか。見えなかった」


 受付の台の陰に居たから見えなかった。


「なんじゃい」

「俺の部屋にお湯をお願いできますか?」

「お湯?構わんぞ。他に何か言ってなかったかい?」

「う~ん。あ、出来れば捨てても良いような手拭もお願いします。と言われました」

「ハァ~~。お前さんはバカやね~」

「ハァ?」


 イラっとした訳じゃないよ? 言われ慣れてるからね。


 それは冗談として、普通に驚いたってだけだ。


「お前さん。彼女の顔色が悪いのに気が付いたかい?」

「はい。それは気が付きましたが……」

「……お前さん。家族に母親以外に女性の兄妹は?」

「いませんね」

「なら、覚えときな!」

「は、はい!」


 何だ!?


 ちっこいばあさんが大きく見える。


「女の子ってのはある年齢に達すると子供を身ごもれる身体になるんだ」

「はい。……あ!!」

「分かったのかい」

「……はい。俺の考え至らずですね。申し訳ないです」

「分かったなら大丈夫だろう。お湯は持って行く。お前さんは二時間ぐらい散歩して来な」

「はい」


 俺はトボトボと宿屋を出た。


 そうだよ。何で俺は気が利かないのだろうか。


 女性なら月経があるのは当たり前じゃないか。異世界だからって事で意識が抜けてたのか。

 それに、最近はサラに色々と任せ過ぎな面が多い。


 彼女は俺よりも強いし、喧嘩とか力比べをしたら俺が完全に負けるだろう。


 でも、重要なのは彼女が女性で俺よりも年が離れてる女の子だという事が抜けていた。一六歳の少女に色々と任せ過ぎだ、俺は。


 ……ここはどこだ?


 あ、ヤバイ。


 道に迷った!!


 あぁああぁぁぁ!!どうしよう!!サラーーーー!!


 うん。落ち着こう。

 フ~~~。ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。


 よし。


 来た道を戻れば大丈夫。……のバズ。


 全然、覚えてないよ~。

 ここどこだよ~。


 怖いよ~。


 ……俺、の〇太くんみたいになってない?

 助けて、どらえ〇ーン的な?


 俺はそんな風に叫んだりはしないよ?


 あ、さっき盛大にサラーーーー!!って叫んでや。テヘペロ。ホシ。


 歩けど歩けど見慣れぬ街並み。……解せね。


 あ、今こそ〈地図スキル〉の使いどころ!!セイヤ!!


 おぉ!!分かる。分かるぞ!!


 門番の道が!!


 かなりあるけどね。


 しょうがないね。レッツゴー。


————————


「どうした少年?そんなに息を切らして」

「ゼェーー。ゼェーー。遠かったぞ!コンチクショウ!!」

「あ~~。なんだ。茶でも飲んでくかい?」

「……頂きます」


 美味しい。どこ産だろう?


「どうだい?その茶は」

「美味しいです」

「そうか。良かった。俺の実家の茶なんだが、同僚の奴らからは不人気だんだよな~」


 これは日本の緑茶にあたる飲み物だ。


 スミスさんの家で出てたお茶はミルクティーにあたる飲み物だ。


 同僚の人は単に甘くないから嫌がってると思うのは気のせいだろうか?

 でも、甘い緑茶はマズいだろうな。


「俺は好きですよ。このお茶も」

「おぉ、そうか。お茶菓子もあるぞ!!」


 お茶菓子も貰っちゃった。


 田舎のじいちゃん家を思い出すな~。


 それからしばらく、愚痴を聞いたり聞いてもらったりしてお邪魔しました。

 ちゃんと宿屋の場所も聞いたよ?


 お土産もらったからサラにもあげよう~。

 喜んでくれるかな~。


 ん?


 誰かが言い合ってる声が聞こえる。


 こっちか。


「おい!!爺さん聞いてんのか!!ぁあ!!」

「ホエ~~ヒック。何だって?」

「服が酒で汚れちまったんだよ!!」

「やっちまおうぜ~」

「ですぜ、ボス!!」


 おう。ガラの悪い人たちが弱そうな爺さんをカツアゲしてんな~。


 そして、ボスって聞くとどうしても俺が呼ばれてるんじゃないかと思ってしまう。あの三人のせいだな。

 今度、文句を言っておこう。


 この状況、どうしよう?


 何事もなく終わればいいんだけどな~。


「最近の若い者はキレやすくてイカン。頭が詰まっておらんのか?ん?」

「テメ~!!ジジイ!!自分の立場分かってんのか!!」

「ジジイ!!お前が悪いんだぞ!!」

「そうだ!!」


 取り巻きがウザいな~。


 爺さんも挑発しないで~~。


「そうだな。ワシが悪いな。すまんかった。これでいいじゃろう?

「誠意がこもってねーな!!」

「またな。バカ僧」


 あ!!


「爺さん!!逃げろ!!」


 男の持った剣が爺さんに振り下ろされる。


 後ろを向いた爺さんを攻撃するなんて、なんて奴だ!!


 間に合わない!!


「小童が……」


 瞬間、男三人が吹っ飛んだ。


「ハァ?」


 今日は何度目のハァ? だろうね。


「お前さん。よく声をかけたな」

「なんで?……え?」


 俺は近寄って来た爺さんと吹っ飛んだ男を交互に見て言葉が出ない。


「ファッファッファッファ」


 爺さんが突然、笑い出した事にびっくりして冷静になった。


「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃよ」

「……ですよね。大丈夫ですかね。あの三人」

「あの者も心配すのか」

「えっと、一応は」

「大丈夫じゃよ。手加減したからな~」

「そ、そうですか」


 俺には何をしたのか分かんないけどね。


「おぬし、中々見どころがあるな?」

「え……そ、そうですか?」

「うむ。これをおぬしに渡しておこうかのう」


 爺さんは懐から手紙を出して俺に手渡して来た。


「これは何ですか?」

「我が流派に入るための書状じゃよ」

「流派?」

「そうじゃ」


 怪しい勧誘か何かか?


「なんじゃおぬし、疑ってるのか」

「はい」

「素直じゃな。まぁよかろう。スキルを一つ使ってみよ」

「スキル?」

「そうじゃよ」

「いいの?」

「ええよ」

「本当に?」

「それを打ち消すのが我が流派じゃ」

「んじゃ……〈火球〉」


 爺さんに向けて魔法を放った。


 もちろん、加減もしてあるしまっすぐ飛べば当たらないようになっている。


「ほい」

「ハァ?」


 消えた。


「もう一回!!」

「ええよ」

「〈火球〉!!」

「ほい」

「スゲーーーー!!」


 何をやってんのかまったく分からないけど、魔法が消えた!!


「なんで?」

「そういう流派なんじゃよ」

「おぉ~~!!カッコいい!!」

「おぬしも分かるか!!」

「よく分かんないですけど!!」

「そ、そうか」

「どういう流派何ですか?」


 落ち込んでるところすまないね。


「『スキルを使わずにスキルを使う』流派じゃよ」


 トンチかな?


「近いうちにまた会えよう。その時にまた話そう」

「あ、はい」

「では、さらばじゃ」


 爺さんが暗闇に同化して消えた。


 以前にジュウソウが使ったヤツだな。


 それにしても、スキルを使わないでスキルを使うなんてできるのかな?


 後、名前ぐらいは教えてよ……。

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