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冬眠

 押忍!!男の中の漢。名は学。この世界ではガクと名乗ってます。俺の夢はハーレムです!!異世界に来て夢をたまに見ますが、子供の頃のトラウマが出て来て飛び起きます。


「見た事のある天井だ」


 当たり前だ。俺の部屋なんだもの。


 一ヵ月以上生活した部屋の天井ぐらい覚えますとも。


「……ガクさん」


 気が付かなったがベットの隣にサラがいた。何だか申し訳なさそうな感じだ。


「おはよう。サラ」

「もう夜です。ガクさん、すいませんでした。嬉しくて抱きしめたのですが、力加減が全くできなくて……」


 抱きしめて締め落とされる。なんなの? その急展開。


 感動の再会で抱き合うカップルが数秒後には修羅場とな。怖すぎる。


「大丈夫だよ。俺の世界では女性に抱きしめられて意識を失うのはよくなる事だからって嘘を付こうと思ったんだけどサラには分かっちゃうか」

「……はい」

「残念だ。間違った事を教えておこうと思ったのに」

「なぜですか!?」

「え?面白そうだから」

「そこは嘘でも違う事を言って下さい!!」

「嘘を嘘で塗り重ねるのは俺は良くないと思うんだよね」

「険しい顔で言ってもそれほどカッコ良くありせん」

「残念~」

「もう、ガクさんはそうやって直ぐに茶化すんですから」

「あ、ゴメン。サラ」

「あ、いえ。ガクさんが謝る事は……」

「本当にごめんなさい」

「もう、ガクさん!!」

「……ハハ」

「……フフ」

「アッハッハッハ」

「フフフ。体調はどうですか?」


 よかった。サラの顔が笑顔になった。


 俺の事で暗い顔になってたけど、サラには笑顔が良く似合うね。


「なんともないよ」

「そうですか」


 心配してくれてたのか。ありがたいな。


「ありがとう。サラ、心配してくれて」

「好きな人を心配するのは普通の事ですよ」

「ハハハ。そうだね。俺もサラが倒れたら絶対に心配するよ」

「フフフ。そうならないように気を付けたいですが、少し心配されたい気持ちもありますね」

「そうなの?」


 心配されたいってどういう事?


「ほんの少しですが、思いました」

「フム」

「ガクさん?」

「サラが風邪を引いた時はちゃんと看病するからね。した事無いけど」

「フフフ。楽しみしています」


 お粥ってどうやって作るんだっけ? 今度、サラに料理を教えてもらおう。


「起動。……今は夜の九時か」

「ガクさん?」

「サラ。明日の正午前にはモークの街を出るのかな?」

「う~ん。……そうですね。午前中に買い物を済ませて、馬車を借りて向かいます」

「分かった。ちょっと出かけるね」

「今からですか!?」

「うん」


 だったら今日中に行った方が良いよな~。


「……ダンジョンですか?」

「大当たり。スイさんに会いに行こうと思ってね」

「私も行きます!!」


 椅子から立ち上がって俺に迫って来た。……可愛い。抱きしめたい……


「夜だよ?」

「問題ありません」

「真っ暗だよ?」

「大丈夫です」

「う~ん」


 女の子をこんな夜中に出歩かせるのはいかがなモノか。


「私は強いので心配ありません」


 そうでしたね。


 力を加減しないと俺を締め落とすのも容易な程のスペック持ってるんだったね。地味にショックだね。


「んじゃ、行こうか」

「はい!!」


 サラの笑顔はいつも癒されるな~。


 一応、武器はしまって持って行く事にして、俺とサラはモークの中心にあるダンジョンに向かった。


 なんで俺がスイさんに会いに行こうと思ったのかと言うと港の街フローで彼のパートナーだった加藤 憐火さんの手紙でを読んだからだ。


 あの手紙のおかげで助かったからお礼と少し聞きたい事があったので、少し会いに行こうかな~と思ったんだよね。


 本当に加藤 憐火さんは謎が多いな。


 家を出る時にスミスさんにダンジョンに向かう事を言って出てきた。


 そして、何事もなく到着。


 この街はど田舎なのだ。

 田舎だからこそ平和なのだよ。


 どのくらい平和かと言うとスミスさん曰く、


「この街ならお前は安楽死できるが、大都ならお前は二日でバラバラになって出荷されてるな」


 バラバラに出荷の意味は身ぐるみを剥がされるだけじゃなく、内臓も売られるよ? って事らしい。


 大都には行きたくない。ガクガク、ブルブル。


 まぁ、そのくらい平和だ。


 サラが襲われた時に武器を持っていなかったのは携帯する必要がないからに他ならない。誘拐されたけどね。


 うん。平和だよ。


 ダンジョンの警備の人は寝てるんだもの。平和だよ~。

 ……大丈夫か? この街。


「ガクさん?入りますよ?今なら無料です!」


 君はたくましいよ。サラ。


 俺は良心が痛むから払おうと思ったけど、サラが「問題ありません」て言うからそのまま入ってきた。

 怒られたらヤダな~。


 さてと。


 ……あれ?


「道が分からない……」

「変遷ですね」

「変遷って作り変わるって言うアレ?」

「そうです。変遷をするとダンジョンは内部が大きく変わり、スキル系の効果が切れます」

「マジか……。どうしよ。スイさんに会えない」

「……えっと。モックさんを呼んでみてはどうでしょうか?」


 あ、その手があったか。


「さすが、サラ!!」

「お、お役に立てて良かったです」


 ……木に話しかける痛い人って思われないかな?


 ここには誰もいないよ? この後、俺が木に話しかけてるのを誰かが偶然目にしてしまったら?


 俺はこの街に帰れなくなる。


 ……小声で試してみよう。


「モックーー」


 ……。


 特に何もない。


 やっぱり大きな声じゃないと駄目か……。


「モック~~~!!!!」


 ……。


『うるさいぞ。なんだお前ら、まだこの街にいたのか』


 おぉ!!

 無事に俺の言葉が通じた!!


 普通の木から声がするけど、この声はモックだね。


「ちょっと用事があって帰って来たんだ。スイさんに会いたいんだけど会える?」

『そうか。……スイには会えないぞ?』


 マジで!


「何で」

『眠りに入ったんだ』

「眠り?」


 何ぞや?


『あ~~。スイの奴はお前には冬眠に近いって言えば分かるって言ってたが意味は分かるか?』

「あぁ。冬眠か。それって力を温存する為とか?」

『そうだ』


 やっぱり。 


「そっか~。スイさんには会えないのか~」

『すまんな』

「イヤイヤ。モックが謝る事じゃないよ」

『一応、伝える事は出来るぞ?返事は返って来ないがな』

「あ、じゃ~。また、憐火さんにお世話になりました。ありがとうございます。って伝えといてもらっても良いかな?」

『分かったぞ。しかと伝えとく』

「ありがとう。モック。それじゃ帰るね」

『ちょいと待て』

「ん?」

『これをお前に渡しておこう』


 ベキベキベキ!! って音と共に俺が話しかけていた木の幹の中心が開いた。

 前回も思ったけど、コレって木が駄目になると思うんだよね。後、ビックリする。


 サラもビクってしたし。


 開いた幹の中には拳程の大きさの水晶があった。


 アレ?これって……


「コレってダンジョンコアの結晶?」

『似てるが別物だ。これはスイの力の衰えを知らせるモノだ。正確な時間が分からんからな。これを目印にしてくれ』

「これがどうなるとヤバイの?」

『最初は白に変化して青、黄色、緑、赤となって最後は黒になる。黒になったらもうスイの身体はダメだな』

「そ、そうか。どのくらの色までに戻った方が良いんだ?」

『赤までだな。赤ならまだ助かる。余裕があれば緑がベストだがな」

「分かった」

『お前が帰った後にこれの存在を思い出してな。渡し忘れたんだ。ガハハハ』

「笑い事じゃないよね!?」

『まぁな』

「そんなノリで良いのかよ……」

『ん?最近、スイの奴の体調を詳しく検査したんだがいろいろと体力を温存する方向で生活すれば一年以上は保つ計算が出たんだ。だからお前らが一年以内に帰ってくれば問題なかったんだ』

「そうなのか。一応、余裕を持って帰れるようにしようと思ってたけどね」

『だと思ってたから、まぁ良いか~って思ってたんだ。渡せて良かった』


 だからそんなノリで良いのか? スイさんが死んでしまったらモックも多分死んでしまうと思うんだけど……。


「確認なんだけど、この水晶の色の変化は急激には変らないよね?今日は透明だけど明日になったらいきなり白とかにはならないよね?」

『もちろんだ。水晶の真ん中から色が変わるようになってる。速度もかなりゆっくりだ。力を使わなければな』

「使う場合は?」

『無いと思うがこの街が危険になった場合だな』

「完全に無いって訳じゃないよね」

『まぁ、そうだな。頭の隅にでも入れとけば十分だろう』

「分かった」


 これは大事なモノだからな。スマホの【アイテム収納アプリ】に入れて置こう。まだ、空いてたハズ……。


『達者でな』

「ありがとう。モック!!」


 俺はモックと軽い挨拶をしてダンジョンから出た。


 帰りにの際も警備の人は寝てました。落書きしたくなってしまった。


「ガクさん。少し良いですか?」

「ん?どうしたのサラ」

「スイさんには会えないんですよね?モックさんから何を貰ったんですか?声が聞こえなかったので教えてもらえますか?」


 あぁ……。サラをPTに入れるのを忘れてた。

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