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親愛なる女神の加護

 押忍!!男の中の漢。名は学。この世界ではガクと名乗ってます。異世界物語の大半はその世界の人は弱いのが相場ですが、この世界の人はかなり強いです!


 神ちゃんの一言でサラの目から光がなくなり、動きが停止している。……少し怖い。


「サラ、大丈夫?」

「あ、はい。……すいません。……一人ではしゃいでしまって……」


 見ていて気の毒だ……。


『サラクさん。少し誤解していますね~』

「ご、誤解ですか?」

『そうです。確かにさっき私は学……ガクさんとの心の繋がりを否定しました』

「はい」

『ですが、アナタと彼の間で繋がった絆が確かにありますよ?』

「それは何ですか?」

『愛です』


 サラの顔に生気が戻り、目がウルウルしてる。


 俺も感動してる。


 俺とサラの気持ちが繋がった確かな証拠だ。


「わ、私とガクさんの間で繋がったのは心ではなく愛という事ですか?」

『そうです。おめでとうございます。サラクさん』

「あ、ありがとうございます!!」


 サラが嬉しそうだ。良かった。本当に良かった。


『レベルは一ですがね』

「え?」

「ハァ?」

『何ですか?』


 この神は……本当に。本当に残念だ。


 下げて、上げて、叩き落とすとは。スパイクですか?


「神ちゃん。加護にレベルがあるのか?」

『もちろんです。私の加護、親愛なる女神の加護は人数と親愛度でレベルが決まります』

「確かに解説にはそんな事が書いてあったな」

『ふっふっふ。私の加護の強みは自分だけではなく相手にも効果が現れ、上限は特にない所です!!』

「スゴイ……のか?」

『すごいんです~!!』


 プンプン怒ってるな。


 怖くないけど。


「神ちゃん。強さの倍率が書いてなんだけど、どのくらい強くなるんだ?」

『無視ですか!?』

「神様。私はあなたを信仰した方が良いのでしょうか?」

『信仰ですか!!お願いします!!一週間に一回のお祈りとお供えをお願いします。出来れば甘い物が良いです』

「断るかと思ってたんだが……」

『信者を持つなんて神様らしいじゃないですか!!』


 お前は一体何なんだ!!っとツッコミを入れたい。


「分かりました。神様」

『学君!!』

「どうした?神ちゃん」

『サラクさんが良い子過ぎます!!』

「サラはいい子で優しくて可愛いぞ?」

『惚気ですか?爆発してしまえばいいのに』

「いきなりどうした!?」

『あ、すいません。少し前までリア充爆破しろなんて思ってた人がリア充ライフエンジョイしていてイラッとしただけです』

「ん?誰の事だ」


 俺は思った事無いぞ?


 リア充なんて都市伝説だと思っていたからな。付き合うって死語だとも思ってたな~。


 嘘だけどね?


「ガクさんは神様を信仰しないんですか?」

「しません」

『学君は心の中では私に感謝をしてますよ』

「そうだったんですね!」

『素直じゃないんですから』

「フフフ。ガクさんらしいですね」

『ですよね~』


 何だ。このガールズトークは……。

 この場から離れたい。


「神ちゃん。こっちから呼んでおいてなんだが、あまり長い時間俺達と電話してると上の神様に怒られないか?」

『……そろそろ電話を切ります』

「そ、そうか」

「また、お話ししましょう。神様」

『はい。また、お話しましょう。では、失礼します』

「はい」

「あぁ。またな。神ちゃん」

『はい!!』


 電話が切れた。


「あ!!」

「どうかしましたか?」

「倍率を聞き忘れた」

「あ、そうでしたね」

「まぁいいか」

「いいんですか?」

「うん。自分たちで分かる範囲で調べよう」

「そうですね」


 サラがニコニコしている。

 理由は分かる。


「ガクさんと私は繋がったんですね」


 文字だけを見るととてもエロく感じるのは俺だけかな?

 サラはエロい意味で言ってる訳じゃないけどね。


「そうだね。俺も嬉しいよ。サラ」

「私もです」


 俺とサラが見つめ合って、顔の距離が近くなっていく。


「お前らいつの間にやったんだ?」

「オワァ!!」

「ヒャア!!」


 いつの間にかテーブルを挟んで俺たちの前に座るスミスさん。


「ビックリした~。驚かさないでくだいよ」

「ん?すまんな。普通に入って来たんだが、お前らには見えていなかったんだな」

「ウゥ~~~~~」


 サラは両手で顔を覆っている。耳まで赤いな。俺も赤いと思うけど。


「そうか……。今日は色付き米にするか。……赤か」

「何ですか?それ」

「祝い事の時に出す料理だ」


 この世界の赤飯とか紅白饅頭みたいなものかな?


「そういうモノがあるんですね。初めて知りました」

「ガクさん……。少し話しにくいんですが……ゴニョゴニョ」

「え?なに?」


 サラ曰く、色付き米は何色かあって、その色で家族に言葉ではなくそんな事がありましたよ~って伝える為のモノらしい。


 成人祝いとかには桜色にするらしい。桜色は他にも大雑把に良い事があったら出すのが主流。


 逆に誰かが亡くなった時は黒い色にするらしい。死んだ人が天国に行けるように闇を晴らす為に食べて、無事に神様の場所に行けますようにとの願いが込められてるらしい。


 黄色や緑色もあったらしいが今はほとんど廃れたらしい。桜色を使うのが主流になってしまったのと、味が少し不味いらしく、人気がなくなったとか。


 スミスさんが言った赤の色は主に血を流すお祝い事を指すらしい。出産が主な祝い事とか。確かにめでたいよな。


 スミスさんが言ったのは出産を意味して言ったのではなく、裏の意味を込めて言ったのだ。


 裏の意味は大人の共通認識らしいが女の子、男の子が初めてを卒業した時などこの色の米が出るらしい。


 一般家庭では娘、息子が卒業した次の日にこの色のご飯が出て「誰か子供出来たの?」的な事を聞いた子供が親にニヤニヤされるらしい。


 そっとしてあげようよ……。絶対にグレるよ。その子供。


 そもそも何で卒業したのがバレるんだよ。親の観察眼凄すぎだろう。


 血を流す祝い事って辺りから薄々気が付いていたけど、凄く気まずさだろうな。俺なら一週間は家出するレベルだ。


「……スミスさん」

「なんだ?」

「俺はサラに手を出していません」

「そうなのか?さっきサラクが繋がったやら差し込んだやら言ってなかったか?」

「差し込んだなんて言ってません!!ガクさんと愛が繋がったと言ったんです!!私がそんな恥ずかしい事言う訳ないじゃないですか!!」

「ん?繋がったんならやったんだろう?」

「「やってません!!」」

「どういうことだ?」


 俺は隣で恥ずかしさのあまり、泣きそうになってるサラを慰めながら事情をスミスさんに話す。


「スミスさんは俺に親愛なる女神の加護があるのは知ってますよね?」

「あぁ。詳しい内容は知らんが、そんなのがあったな」

「その称号の内容は、親愛者が増えるほどステータスが上昇。相思相愛であるほど上昇率が高く、この効果は相手にも適用されると言う内容です」

「なるほどな。何となく分かった。つまりこの称号の効果がサラクにも適応されたって事か」

「そうです」

「神様とも話していたのだろう?」

「はい。アレ?聞いていたんですか?」

「最後に少しな。フム。やはり色付き米にするか」

「なぜですか!!」

「私はあの味が好きでな、ただ食べたいんだ」

「……嘘です」

「スミスさん?」


 サラが嘘を見抜いた。


 ちょっと目つきの悪いサラも可愛いな~。その目で罵倒されたい。


「お前とサラクの仲を見ていると俺もサラクが普通の女の子にしか見えなくなってしまった」

「サラは普通の女の子ですよ?」

「……フッ。そうだな」


 ん?俺は何か間違った事言ったかな?


「お前は何も間違ってないさ」

「そうですか?」

「あぁ」


 そうか。


 サラ?何で俺を両腕ごと抱きしめてるのかな?


 力強すぎない?俺の身体がメキメキ言ってない?


 腕の肘から指先に血が流れてないような気がするんだけど、気のせいだよね?


 多分、タワワが押し付けられてると思うんだけど、身体のいたる箇所がマヒしてて分からないんだよね~。


「スミスさん。助けて……」

「……まぁ、頑張れ。またな」

「え!!ちょ!助けて~~!!」


 あ、ヤバイ!!


 呼吸が!!


 息が吸えない!!


 全力で振り払うつもりで力を入れてるのに全くビクともしません。まいったねこりゃ~。

 なんて余裕は何だけど……。


 ダメだ。


 意識が……。


 多分、死ぬ事は無いだろう。うん。


 俺はサラに抱きしめられ、意識を失った。

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