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サラと加護

 押忍!!男の中の漢。名は学。年は三十六歳。この世界ではガクと名乗っています! サラの事は大切にしたいから俺が強くなるまで、俺は鉄の意志を貫くぜ!! サラから誘惑されたら一発で壊れるけどね。


 俺とサラはいろいろ売ってる市場に来た。サラにどこ行きたいか聞いたらここだった。

 俺も欲しい物があったからちょうどよかった。


 いろんな屋台やお店を冷やかしながら歩く、サラはとてもご機嫌だ。


 今も俺の横でルンルンと歩いている。今にもスキップしそうな感じだ。


 俺の心は今もピョンピョンしているよ?


 あ、このお店に売ってそうだな~。あるかな?


「あ、コレとコレとコレを下さい」


 お~こんなトコに売ってるんだね~。よかった~。


「ガクさん?何を買っているんですか?」


 サラがヒョコっと俺の後ろから覗いてきた。……なにコレ、可愛い。


「コレ?薬草と瓶と強化剤だよ」


 サラの頭に? が浮かんでる。


「あ~っと。ちょっとポーション作ろうかと思ってね」

「なるほど!」


 ? が! マークになったね。


「んあ~。おみゃーさんはポーション作れるんかえ?」


 お店のオーナだと思うが、ヨボヨボのおばあちゃんが話しかけてきた。

 いきなりだったから、言葉が耳に入ってこなかったよ。


「すいません。もう一度、言ってもらっても良いですか?」

「んあ~。おみゃーさんはポーション作れるんかえって聞いたんだ~よ~」


 あ~懐かしいな~。この訛り。

 子供の頃に近所のおばあちゃん達がかなり訛っていたからな~。


 マジで何を言ってんのか分からないんだよな、だけど近所のおばちゃん達同士の会話が成立いしているってのが、子供の頃は不思議だったな~。いきなり笑いだした時は泣きそうになったっけ。


「おみゃーさん。どうしかけ?」

「あ、すいません。ちょっと考え事してまして……」

「しょーか、しょーか。でぇ?作れるんかえ?」

「はい。作れますよ。と言っても初心者なので基本的な物しか作れませんがね」

「初心者かえ。匂いしなーからそうだと思ったがぇー」


 匂い? 匂いって何だ?


 俺、汗臭ったかな?


「んあ~。調合師の者は身体に薬の匂いがついちゃーんだ。だがら、おみゃーさんが初心者なのは分かったんらよー」

「なるほど」


 で? 調合師って何?

 俺が持ってるの錬金術師なんだけど。


 ヤベ~。何かカッコイイ~。


 俺、錬金術師。よろしく!


 俺の中のコスモを感じる!!


「んなら、コレはサービスらよ。あいよー」

「ありがとうございます!」


 わーい。サービスだ!


 で、これは本だな。何の本だ?


「それは、調合師が使う本ですね。内容は調合に必要な物や配合率などが書かれているとスナーチャさんが前に教えてもらいました」

「んあ~。そうやよー。買うと高いんやよなー。だがら、同業の若い後輩がいだら渡すのが薬師の中の決まりなんらよー」

「そうなんですか!!ありがとうございます!!」


 良い伝統だな~。

 俺もこの本を誰かに継承しないとな!


「頑張って覚えますね!」

「んあ~。頑張りなされ~。何個買うんだい?」

「はい!……えっと。十個ずつ下さい」


 俺のスマホの【アイテム収納アプリ】は現在、かなりの数の物が入っているから手持ちのバックに入れないといけないんだよね~。

 だから、数は少なめにしないと。


「んあ~。全部で……二百三十らよ」

「はい。これで」


 ちょうどだね。


「んあ~。あい、毎度あり~」


 バックに買った物を入れていく。


 バックはさっき買ったのだよ。安かった。

 サラが持ってるバックは結構入れやすく仕切りやポケットがあるけど、俺のは入れるだけもバック。袋に紐を付けただけと思いうがな。


「ごめん、サラ。お待たせ」

「フフフ。それほど待ってないですよ。ガクさんの楽しそうな姿を見れて楽しかったです」

「そ、そうかな?」

「はい!」


 満面の笑顔のサラ。ここが外で人通りが多くなかったら抱きしめてしまうところだった。


「サラはどっか行きたい所ある?」

「そうですね~。ガクさんの行きたい場所が私の行きたい場所です」


 そう言ってまた俺の手を握ってタワワが腕に当たる。無心だ!!


「サラ、最近かなり積極的だと思うんだけど……」

「ガクさんがハーレムをしたいと言うのは分かっているんです。それを応援したい気持ちもあります。ですが……」

「不安?」

「……はい。ほんの少し。私以外の女性を好きになったガクさんが、私を――」

「サラ」


 俺たちは近くにあるベンチに腰掛けた。ベンチ、あったんだね。


「サラ。俺はサラを裏切らないし、泣かせない。君を幸せにしたいし、後悔はさせない。って言うのは簡単なんだけどね」

「……」


 サラは俯いている。


「サラ、俺は君を守りたいんだ」

「……はい」


 少し、泣いているのか。


 俺はまた、サラを泣かしてしまった。クソッ!!


「サラ、今の俺が何を言おうと君の不安を完全に払拭するのは無理だと思う。だけど、これだけは信じて」

「……何ですか?」


 俺の今の気持ちは決まってる。


「俺は……君が大好きだ」

「……はい!」


 笑顔のサラ。だけど、仮面越しだけどわかる。泣いている。


 俺はその涙が嬉しい涙なのか、不安の涙なのか分からないけど、俺は君を守る。


 けど、言葉じゃない。言葉じゃダメだ。


 俺は、日本じゃ行動に起こした事がなかった。起こさないで三十六歳になって、死んだ。


 死んで思った。


 俺には何も無かったのだと。


 あの世界では俺はあまりにも大切なモノを捨て過ぎた。もう、拾う事さえできないほどに、やり直す事が出来ないほどに。


 だから、この世界で俺はハーレムを目標にした。何か大切なモノが欲しかったのかもしれない。ただの欲望かもしれないけど。


 若い身体になって、今の俺じゃ扱いきれないスキルも持っている。強くなる為の素材や環境はある。


 後は行動に起こすだけだ。


 俺はサラを守る。外だけじゃない、中の心も守ってあげれるように強くなりたい。サラと一緒にいたい。


 俺は心の底からそう思う。


(パンパカパ~ン)

「ウオゥ!!」

「ヒャン!!」


 懐かしいな~。コレ、いきなりだからビックリするんだよね~。


 ……アレ? サラもビックリしてなかった?


「アレ? サラ。さっきの音って聞こえた?」

「は、はい。あれはいったい何なのでしょう?」


 ……何故にサラまで聞こえているのか。


「音の正体は俺のスマホだよ」

「ガクさんのスマホ? ですか?」

「そうだよ」

「何故、私にも聞こえたのでしょう?」

「う~ん。中を確認すれば手っ取り早いんだけどな~。こんなに、人がいるところじゃスマホを出す分けにもいかなし」

「では、家に戻りましょう」

「……分かった。戻ろうか」

「はい!」


 俺の心はバーニングだ!

 意味は俺もよく分からないけど、燃え盛ってる感じが伝わればそれでOK。


 俺とサラはそれほど早くない速度で歩いて、スミス亭に到着。


「リビングに人いるかな?」

「多分、まだいないでしょうね。スミスさんも自室にいると思います」

「なら、リビングで確認しちゃおうか」

「はい」


 俺は首に掛けてあるブレスレットを起動させ、スマホにして電源を入れた。


 そこにはNEWのマークがピコピコしていた。


 マークをタップすると、


「何々~?えーっと『親愛の女神の加護がサラクさんに与えられました』……だって」

「親愛なる女神の加護ですか?」

「そう。この前、話した神様の加護だよ」

「神様のご加護が私に与えられたんですか!?」


 ビックリ!!って顔してる。あ、今は家だから仮面は外してるよ。


「俺、結構前からサラに付かないのが謎だったんだけど、多分だけどあの時に付いたんだろうね。この加護」

「私はガクさんの言葉で安心しました。それで、あの、その……更に好きになりました」


 サラだけに? あ、ゴメン!!今のは、間違い!!今、ブッコム事じゃないよね。場は弁えないとね。うん。


「あ、ありがとう。サラ」


 顔が赤いのが自分でも分かる。さっきのジャグで赤くなってるんじゃないらね?


「俺も、サラの心と身体の両方を守れる様に強くなろうって思ったんだよね」

「ガクさん。ありがとうございます」


 うっとりとしたサラの顔は俺の理性を半壊させる程の威力があった。心よ、持ってくれ!


「えっと。うん」

「フフフ。照れてますね」

「照れますよ。慣れてなんだから」

「私も慣れてないですらね!!」


 アレ?何で慌ててるんだろう?


「大丈夫だよ。わかってるからね」


 サラの笑顔を向けると安心したようにホッとしていた。


「サラ、この加護の効果って知ってたっけ?」

「知りませんね。加護はそんなのがあったような~ぐらいの記憶しかありませんでした」

「そうなんだ。えっとね、この加護の効果は『親愛者が増えるほどステータスが上昇。相思相愛であるほど上昇率が高く、この効果は相手にも適用される。』って内容なんだけど意味は分かるよね?」

「えっと、私とガクさんの気持ちが繋がったと思って良いのですね?」

「そうだね」


 ダイニングに座っているんだが、隣はサラ。


 サラが頭を俺の肩に乗せて体重を俺に預けてきた。なにコレ。何のご褒美? あぁ、いい匂い!


「サラ、何か質問ある?」

「えっと~。私は神様を信仰した方がいいのでしょうか?今まで神様を信仰した事がないので分からないんですが……」

「ん~。そこまで信仰はしなくて良いんじゃないかな?」

「適当すぎませんか?」

「多分、残念……じゃなかった。親愛の女神は断ろうと思うだよね」

「そうなんですか?」

「うん。あ、直接聞いてみようか」


 うん。それが良いかな?


「大丈夫でしょうか?」

「ダメだったら後でまた試そう」

「……分かりました」


 何か神ちゃんに電話するの久しぶりだな~。

 元気かな? 絶対元気だな。うん。


「神――」


 プルプルプルー。プルプルプルー。プルプルプルー。


 早いな、オイ!!


 プルプルプルー。プルプルプルー。プルプルプルー。


 どうしよう。出る気が失せてきた。


 プルプルプルー。プルプルプルー。プルプルプルー。


「ガ、ガクさん?出なくて良いんですか?」

「そうだね。そろそろ出ようかな?」


 ピッ。


 サラにも聞こえるようにステレオの設定にしてある。


『すいません。フライングしました。』


 いきなり謝るとは神ちゃんらしくもない。


「いや。いきなり呼んだのに中々電話に出なくてすまなかった」


 俺も謝っとこう。


「それにしてもどうしたんだ?」

『イヤ~。学くんにいろいろやってるのが上にバレまして、怒られました』


 どうしてだよ!!


「何故にそうなる?」

『ま、お堅いジジイの話は辞めましょう。気分を害します!!』

「お、おう。そうか」


 どんな怒られ方したんだよ。


「あ、あの!!親愛の女神様」

『はい。何ですか?』

「私とガクさんは心が繋がったんでしょうか?」

『違いますよ?』

「えぇ……」


 サラの顔から表情が消えた。


 何やってんだ!!神ちゃん!!


 サラ!!戻ってこーい!!


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