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遅れてすいません!!

押忍!!男の中の漢。名を学。三六歳です!!フローの海はキレイでサラと一緒に泳ぎたいです!!異世界はモンスターがたくさんいるので無理ですがね。


 俺とサラはスミスさんに付いて行き、木を取り扱うお店に到着。


 場所はモックの中心にある一般的にはタワー。真の正体はダンジョンの近くにある普通の家だった。


 ここがお店なのか?


 ……あ、ちっちゃく看板がある。


 木材売り場ザックラ店。


 ドアの横に表札の形で打ち付けてあった。


「失礼する」


 堂々と入るな~。

 自分の家であるかのように入ったぞ。


「お邪魔しまーす」

「失礼します」


 俺とサラも後から続く。


「なんじゃい。スミス。こんな場所に何の用だ」

「お前が店番とは……まだ生きてたのか、クソ爺」


 入ってビックリ。そこにはたくさんの種類の木の見本があった。

 そして、スミスさんに声を掛けた人物は……ガッチリした爺さんだ。爺さんだよな?

 首から下がアスリートの様なバリバリの肉体で顔が爺さんってスッゴイ違和感なんだが。背も曲がってないし、足腰の衰えも感じない。化け物か!


「まったく、口が減らんな。……ん?お前、また鍛え始めたのか?」

「チッ。普通、気が付くかよ」

「ワシは木を見抜く目を持っているんだ。人間の強さを見抜くのなんざ簡単な事よ」

「イヤ、普通は分からんよ。相変わらずの化け物爺さんだ」


 俺の思った通りの化物だった。


 スミスさんが化け物って言うんだ、相当な化け物なのだろう。


「で、スミス。今日は何の用だ」

「あぁ。今日は木の注文だ」

「お前がか?」

「俺じゃない。詳しい事はこいつらに聞け」


 俺が話そうと思ったらサラが爺さんに近寄った。


 離れろ!!サラ。食われるぞ!!


「こんにちは。お久しぶりです」


 何だ。知り合いなのか。


 それもそうか。サラはここに何年も住んでいるんだ。この街での知り合いは多いだろう。


「おう!嬢ちゃんで要件は何だ?」

「ギルドの依頼です。こちらがギルドから出された依頼書です」


 サラは鞄から依頼書を取り出し、爺さんに渡した。


 アレ?紙が爺さんが持ったら小さく見える。ミステリー。


「……船の木材が足りないのか」

「はい」

「どのくらい持って行くんだ?」

「あるだけ見せてもらえますか?」

「フム。持って行けるのか?」

「そこは心配ないぞ、爺。荷物持ちがいるからな」

「お前が言うんだから大丈夫なんだろう。付いて来な」


 向かうはお店を出てすぐのダンジョン。


 普通の人はタワーだと思っているがな。


 俺はなんと呼べば良いのだろうか。ダンジョン? タワー? 


 メンドイからダンジョンで統一しよう。会話の時だけはタワーにする様に心掛けよう。


 俺達は爺さんの後を付いて行き、ダンジョンに入った。入る際の入場料は払わなくて良いそうだ。


 入って向かうは木をたくさん置いた場所だった。


「オイ。船用の木材はどこだ?」

「あ、親方。……お店の鍵は掛けましたか?」

「忘れてた」

「ハァ~~。俺が鍵を掛けにお店に向かいますよ、用もありましたし。船用の木材はアッチです。番号は十二番から十五番です」

「分かった」


 オイ。爺さん。アンタ、家の鍵を閉め忘れてるって何でだよ。謝るぐらいしようぜ!


 お弟子さんなのか、お店に走って向かって行った。お疲れさんです!!


 そこからしばらく、お弟子さんに指を指された方に向かい、十二と木に書かれた場所に到着。


「ここだ!!」


 胸張ってどうだ!! みたいに言ってるけど、アナタさっきお弟子さんに場所聞いてたじゃないですか。


「大きくて、太いくて、堅そうですね」


 クソ!!今の言葉は撮りたかった!!


「ここで大体百五十本の木がある。この他に後、三か所あるぞ?」

「ガク。お前、どのくらい入る?」

「かなり入りますよ?場所は空いてるので木だけなら全部運べますね」


 俺の持ってるスマホの【アイテム収納アプリ】は別種が三十、同種が六十個まで入る。スミスさんにもらった樽は選別して、ちゃんと分けてあるがそれでも余裕はある。


 木が全部で六百本。……あ、十列埋まるか。


 余裕は持った方が良いよな? 木を全部入れたら分けた荷物をまた一緒にしないといけない。


「ガクさん、全部運べるんですか?」

「うん。だけど、流石に全部運ぶのは余裕が無くなるから半分ぐらいにしたいかな?」

「こりゃ驚いた。半分も持って行けるのか」


 爺さんがポカンと驚いていた。


 普通は驚くよな。


「嬢ちゃん。依頼者はどのくらいの数が欲しいとかあったか?」

「ありませんでした」

「そうか。船を修理する際に使う木材は多くて五十ぐらいだろう。なら、三百本程度なら持って行って問題はないだろうな」

「え~と。どのくらいの値段になりますか?」


 いくら運べるにしたってお金払えなければ問題外だ。


「ギルドの依頼なんだろう?なら費用はギルドに請求する形になるから坊主達は運べば大丈夫だ」

「そうなんですか?」

「そうだ。その方がお金のトラブルも無いし、不正もやりにくい。持ち逃げしてもギルドからの保証もある。まぁ、持ち逃げしたらギルドから追われるがな」


 木を持ち逃げしないけど、奪わたりした時も保証があるのだろう。


「そうなんですね」

「あぁ。で?半分持って行くのか?」

「はい。お願いします」


 あれ? サラが答えるの?


「運ぶのお願いしますね。ガクさん」

「ヘイ。喜んで!!」


 笑顔で頼まれたら断れないじゃん。


「くっくっく。お前、サラに頭が上がらなくなってるな」


 後ろでスミスさんが笑ってる。


 言い返したいけど、実際に頭が上がらない。


 馬車を操ってるのはサラだし、料理を作ってるのはサラだし、案内や交渉などもサラだし俺が活躍してるのって荷物運び位のモノだ。本当に頭が上がらないよ。


 サラが爺さんに依頼書を渡し、サインをしてもらっている。


 サラは依頼書と木を買った証明書をもらってバックにしまった。


 そして、俺の出番。


「クソ爺。ここで見た事は墓場まで持って行けよ」

「わかったよ。じゃがワシよりも墓場に行くのはお前だろう?」

「……ほう?面白いな。今ここで埋めてやろうか?クソ爺」

「出来るモンならやってみろ。ここでお前の恥ずかしい話をしてやる」

「クソ爺!!それは卑怯だろう!!」

「フン。力でお前には勝てんからな、お前に勝てるモノで勝負を仕掛けるのが普通だろう?」

「クソ爺が……」


 うっわ。スミスさんめっちゃ爺さんを睨んでる。コワ!!


 それにしてもスミスさんにここまで話が出来る人って何者だろう。この人。


「坊主。俺の事が気になるのか?」


 心を読むな!!化け物爺さん。


「ガク。このクソ爺は俺がこの町に来た時から爺さんだった」

「ハァ?」

「このクソ爺はこの街で一番の長寿なんだよ」

「……人間ですか?」

「ワシは歴とした人間じゃよ。ついでに年は秘密だ」

「何が秘密だ。気色悪い」

「失礼な奴だ」


 本当に化け物だな。この爺さん。


「ガク。仕舞って帰ろう。この爺さんとは早くおさらばしたい」

「ハハハ……。取りあえず仕舞いますね」


 ヤッベー。超同意だけど同意できないから愛想笑いしてしまった。


 俺はせっせと仕舞う。


 爺さんは最初は驚いた様だったけど、途中からなれたらしい。


 仕舞い終った途端にスミスさんが『帰るぞ』っと言ってそそくさと帰って行くので俺とサラも後を急いで追いかけた。


 爺さんに挨拶をしてスミスさんに走って追いかける。歩くの早くない?スミスさん。


 スミスさんは歩くスピードを変えず、俺とサラは小走りでスミスさんの後を付いて行く。足にローラーでもついてるんじゃないかな?


「うわ!!」


 スミスさんがいきなり止まった。


 小走りだったからスミスさんを抜かしてしまった。


「どうかしたんですか?」

「少し考え事をしていてな……」


 どうしたんだろう。


 少し暗い顔をしている。


「ガク。お前……」


 ゴク。


 何故か俺は生唾を飲む。


「サラクとやったのか!!」

「やってませんよ!!」

「なんだ。つまらん」


 つまらん。だと!!


 どんな気持ちで俺が自分の体を止めているのか知らないからって!!


 ……落ち着け、俺。


 このまま、この人のペースに乗ったらダメだ。


「……サラとは勢いとか、ノリでそういう事をしたくありません。大切な人だから、傷つける様な事はしたくないんですよ」

「フム。少しは成長したか。だが、まだまだな」

「え?」


 俺は周りを見たら人がたくさんいた。


 ヤバイ!!


 俺は恥ずかしくないが、サラが恥ずかしい思いをしてしまう!!


「ガクさん。ありがとうございます」


 と、思ったらサラは満面の笑みだった。仮面は付けてるけどね。


「チッ」


 ん?スミスさんが舌打ちしたように聞こえたんだけどな~。


「スミスさん?」

「帰るぞ」

「あ!!ちょと……」


 走って家に向かって行った。


 俺が追いつける訳ないじゃん!!


「ガクさん」

「スミスさん、早いな~。もう姿が見えない。……え?サラ、どうしたの?」

「何でもありません。ただ名前を呼んだだけです」

「そうなの?」

「はい!」

「サラ」

「何ですか?」

「動物のウンコ踏んでる」

「……嘘ですね」

「残念」

「フフフ。私に嘘は通用しませんよ」

「そうだったね。忘れてた」

「今度は嘘じゃありませんね」

「時々、忘れるんだよね」

「私の能力を忘れるのはガクさんだけどしょうね」

「そうかな~?」

「フフフ。そうですよ」

「そうかな~。……サラ、ちょっとブラブラしようか」

「デートと言う奴ですか?」

「そう。嫌かな?」

「喜んで」


 久々にゆっくりと散歩しようかな。


 手をつないでサラを歩く。


 あ、サラ。そんなに押し付けないで!!意識が飛んでしまう!!


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