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手紙

 押忍!!男の中の漢。名を学。三十六歳。サラに好きな人同士の事を何て言うのか聞いたら、特に言葉などはないそうです。照れたサラも可愛かった。


「知っているのかニャー?」

「う~ん。少しだけですね。風の噂程度です」


 本当の事は言えないしな~。


「彼女はもうしばらく洋服に夢中だろうからちょっと来るニャー」

「何ですか?」


 猫耳メイドさんに案内された場所は同じフロアーの試着室より更に奥に行った場所だった。


 何だろう? 日本に戻ったような感覚がするな~。……目の前を歩く猫耳メイドの尻尾がユラユラ揺れて無ければ本当に日本かも! とか思ったんだろうな~。


 てか、人いないな~。


 すれ違う人もいなければどこかに居る訳でもないし、暇って言ってた意味が分かるな。


「ここニャー」

「ここって?」

「この建物の設計図を作り、ギルドをこの場所に作った工藤 燐火さんの像があるニャー」

「へ~~」

「それと憐火さんが書いた手紙があるニャー」

「手紙?誰に向けた物ですか?」

「分からないニャー。文字が読めなくて内容がさっぱりニャー」


 ……スイさんに向けた手紙かな?


 でもそれだとここに置いてある意味が分からないし。


「手紙を見せてもらっても大丈夫ですか?」

「大丈夫ニャー。こっちニャー」


 向かう途中に像があった。


 大人の女性が剣を持ち、勇ましい姿の像だった。


 やっぱり日本人なのだろう。どことなく日本人っぽい部分がある。……と思う。


「これニャー」


 案内された場所にはクリスタルに入れられた手紙があった。


 普通にキレイだな。


「このクリスタルは物をしまって保存できるニャー」

「キレイだ」

「そうかニャー?クリスタルは全部で三つあるニャー」

「ありがとう」

「彼女のいる場所に戻ってるニャー。終わったら帰って来るニャー」

「はい」


 正直にありがたい。


 猫耳メイドがいる目の前で読む訳にもいかないからな。


「さてと、どんな内容か……」


 クリスタルを手に持って手紙を読む。……地味に重いな。


『初めましてかな?知ってる人も知らない人もいると思うから、自己紹介から入ろうかな。


 私の名前は加藤 憐火。こっちに来たのが十六の時だ。趣味はアニメに漫画に小説だ。多分、オタクと言ったら分かるかもしれないが、私はそんな人物だ。


 一応、性別は女性だ。だが、あまり美人に脳内加工しないでくれよ? クラスの底辺付近の女子だ。腐女子じゃないぞ? 守備範囲内だがな。


 さて、自己紹介はこのぐらいにして本題に入ろう。


 君は何を求めて私を探しているのかな?


 たまたま私を知り、たまたまこの場所に来たのなら?が浮かぶかも知れないが大体の人、転生者ならば私の情報を知りたがっているのだろう?


 ギルドを作ったのは私だし、色々な日本の物をこの世界に広めたのも私だ。少しやり過ぎたかもしれないが、気にしない事にした。


 そんな私の宝が欲しい転生者のみんなにこの言葉を贈ろう!!


 おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる……。探せ!! この世の全てをそこに置いてきた!


 う~む。一度は言ってみたい言葉をこうやって言えるのはいい気分だ。


 私の物は私の一番信頼し、愛した人物に全て預けた。どこにいて何をしてるか分からんがな。


 少なくとも手紙を書いてる今は私の横で内容を見て笑っている。


 この手紙を君が読んでる頃には消えてるかもしれんし、もう手元に無いかもしれんしな。


 まぁ、こんな田舎まで来て手ぶらで返すほど私は鬼ではないからな、一つアドバイスをやろう。


 【掲示板アプリ】を手に入れるのは簡単なので省略するが、開いても何もないだろう?


 そこで、数字を入力すると【掲示板アプリ】が起動する。ま、この程度の事は知っていると思うが私が作った掲示板を出す方法がある。


 通常の番号は一一九二二九六


 だが、


 オリジナル番号は、


 四五四五六九一九九九九


 だ。


 中々イケているだろう?


 下ネタはぶち込んでこそだろう?


 小学生並だとしても面白ければいいのだよ!!


 ま、私の掲示板を見て攻略のヒントでも見つけてくれ、お金の稼ぎ方や詐欺の仕方、魔法の倒し方や爪をキレイにする方法なども手広く書いてあるから何かの参考にしてくれ。


 では、何かの機会にまた会おう!!


 私の名は加藤 憐火。  最初の転生者にしてこの世界で満足し、生きた者なり。』


 ……相変わらずキャラがブレない人だな~。


 この人、最初の転生者なのか。だったら残念ロリ……親愛なる女神が言ってたようにこの人がいなかったら人類はヤバかったのかな?


 ……何年前だよ。


 気づいてたけど、この人何年前の人だよ。


 少なくとも、オタク文化は平成になってからだぞ?


 ……まぁ、考えても仕方ないか。


 背後に気配を感じ、振り向くとサラがいた。


「ガクさん?」

「あ、サラ。洋服は満足した?」

「はい!!」

「人がいなければ写メで撮ろうと思ったんだけどね」

「次の機会にしましょう」

「そうだね」

「……そちらは?」

「憐火さんの手紙だよ」

「憐火さんって確か……」

「うん。スイのパートナーだった人」

「内容は分かったのですか?」

「うん。日本語だったから俺でも読めた。……少し参考になったかな?」

「複雑そうな顔をしていますね」

「正直、憐火さんが俺の想像よりスゴイ人でビックリしてる」

「そうなんですか?」

「うん。ギルド作ったの憐火さんだった」

「えぇ!!」


 響くな~~。


 この建物って音が凄く響くね~。


「サラ。声」

「あ!……すいません」


 落ち込んだサラ、可愛い~。グヘヘヘ


 おっと。ヨダレが……


「それに日本の物を広めたのも憐火さんだし、スゴイ人だよ。本当に」

「そ、そうですね~」


 さてと、一階に戻って受付に戻ると俺と話してた受付メイドが上司の猫執事に説教されていた。


 猫の執事も女性。カッコイイ感じにスタイリッシュで耳が黒い。


 猫耳メイドさんかなりサボってたからな~。


 声が大きいので分かるけど、あのメイドさんサボり癖があるらしい。


 いつもいつも目を離すとどっかにサボりに行って~とか聞こえるけど、そっとギルドを出た。


「今からまた、港の修理場に向かおう」

「そうですね」


 馬車に乗り、再び港へ。


「こんにちは~~!!」

「おう。さっきの嬢ちゃんと兄ちゃんじゃねーか。どうした?」


 よっかた。俺の存在は確認してくれていたのか!!


「ギルドから依頼を受けまして」

「二人でか?」

「はい」

「大丈夫か?」

「任せて下さい!!」

「そうか。なら任せるが……」

「依頼内容の確認をお願いします」

「あいよ。まず・木は丈夫でしなやかな物だ。デカさは大きければ大きい程良い。加工はこっちでやるから丸々一本で持って来てくれても構わね」

「量はどのくらいですか?」

「いくらでも構わねーよ。依頼では船に使う木材。量は相談って事になってる。費用はこっちで出すし、余った木材は買取で構わん」

「分かりました」

「気を付けてな~」

「はい」


 俺も何か喋らんとな~


「行きましょうか。ガクさん」

「は~い」


 ……チクショウ!!


「……と言う訳で今日からモークに向かいます」

「そうかい。また来るんだろう?」

「はい」

「そうか。ならまた来な」

「ありがとうございます」

「気をつけて行ってらっしゃい」

「はい!行ってきます」


 宿屋のちっこいおばさんに宿が要らない事を伝えた。


 これで、ようやくモークに向かう事が出来る。


「おう。嬢ちゃんに兄ちゃん。もう、戻るのかい?」

「はい。依頼を受けまして」

「そうか。じゃ~ギルドの会員か。会員所って言って分かるか?ギルドカードなんだが」

「えっと……」

「はい。コレがサラの奴。これが俺のです」


 横から俺が二枚のカードを渡す。


「ちょっと待ってな」

「はい」


 サラが申し訳なそうに謝って来た。


「すいません」

「何が?」

「ギルドカードの事を忘れてました」

「俺もサラに渡すの忘れてたからお互い様って事で」

「はい!!……ありがとうございます」

「いえいえ」


 お互い顔を見て笑っていた。


 門番の人が戻って来た。


「これは渡すぜ」

「はい」

「そんじゃまたな~」

「ありがとうございます」


 馬車が進み今からモークに行く。


 あぁ。何だろう。スミスさんとマスに何か言われそう……


 俺は不安を胸にモークに向かった。


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