過酷
新章突入!!
押忍!!男の名の漢。名を学。歳は三十六歳です。……自己紹介が久しぶりに感じるのはなんでだろう?
俺とサラは帝都に到着した。長い旅だったよ。うん。
モックってやっぱり田舎だったんだね。
さてと、帝都に入りますか……
「……フガッ!!」
「フフフ。目が覚めましたか?」
……アレ?
「帝都は?」
「フフフ。寝ぼけてますね?まだ、旅に出てそれほど経ってないですよ?」
「……寝ぼけてた。そうだったね」
俺とサラはモックを出発して北を目指している。と言っても道なりを馬車で移動しているだけである。
日にち的には四日目の昼……よりちょっと前だ。
ぶっちゃけ暇である。
俺は荷台の空いてるスペースで寝てしまっていた。え? 手綱は誰が握ってるかって? サラに決まってるじゃん。……使えない男でごめんなさい!!
サラの話では今日中に町か村には到着するようで、そうなれば布団で寝れるかもしれない。
と言っても毛布と布団は荷物の中にあったけどね。……何故一組しかないのかな? 深く考えるのは止めよう。
馬車の旅は俺がイメージしたよりも過酷だったが、一緒にいるのがサラなので楽しいの一言に尽きる。
サラは料理が得意だし、食料は俺のスマホの【アイテム収納アプリ】にかなりの量が詰まっている。多分樽で三十ぐらい?
お風呂は流石に入れないけど、サラが生活魔法を覚えていてくれたので何の心配もいらない。体を拭いたり服を交換したりするくらいかな?
なんの問題もない。
そう思うが、問題は夜だ。
ここは田舎で魔物もほぼいないらしい。ムミぐらいかな?……俺、アイツ怖いんだけどね? トラウマなんだけどね?
なので二人で寝ている。
そう!! 二人でスヤスヤと寝るのだ!!
馬車の荷台で寝る時は隣、外で寝る時もあるけど隣。
旅がここまで過酷だったとは。主に俺の精神的にだが。
……隣に好きな人がスヤスヤと寝息をたて、しかも無防備な服装だぞ?
俺の理性は二日目から悟りを開きつつあるよ。頭の中で円周率を数えようと思ったけどもう忘れちゃったし、何か気を紛らわすけどサラが寝返りをする時には意味が無くなる。
……旅は辛いね!!
「サラ。そろそろお昼だけど、どうする?」
「では休憩しましょう」
「分かった!!」
お待ちかねのお昼だ!!ヤッホーイ!!
「フフフ。そんなに楽しみだったんですか?」
「もちろん!!」
「ありがとうございます!」
グハァ!! 笑顔が眩しい!!
サラの笑顔は太陽で出来ているのか?……さて、料理の支度をしますか~
「お前らもお疲れさま」
「ガガ~」
「ギギ~」
馬ってこんな鳴き声だったっけ?……ま、いっか。
ガガ~と鳴く奴の名前がガガ。ギギ~と鳴く奴がペルモッツって名前だ。俺とサラで一頭ずつ決めた。
ガガって名前を付けたのはサラだよ? 俺はペルモッツの名前を付けた。
何故かサラは俺が付けた名前を絶賛してたけど俺にネーミングセンスがあるのかどうか。サラよりはあるそうな気がする。
サラが料理を作ってる時は俺は馬の世話をしている。こいつらは噛まないし、比較的おとなしいから結構楽だ。
最初はおっかなビックリで触ってたけど、やっと慣れて来た。
「ガクさん。お料理が出来ましたよ~」
「は~い」
夫婦っぽいやり取り。……何か違うな。……何が違う?……俺が何もしてないダメ夫みただからか?……俺、頑張ろう。
サラの料理はやはり最高でした。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございます」
サラはニコニコしている。俺はそれを見てニコニコしてる。
……何このリア充!!
こんな充実は日本に存在していなっかったぞ?
アレ? 俺の夢って何だっけ? この子を幸せにすることだよな?
あ、ハーレムか。
……こんな良い子を泣かせたくはないよな。
この世界は一夫多妻なのかな?
「サラ。ちょっと変な質問していい?」
「はい?どういった質問でしょう?」
「……この世界って一夫多妻?」
「……ガクさん」
ドン引きだよ!! チクショウ!!
「えっと。一応、俺がこの世界に来た理由がハーレムって言って分かるかな? えっと。女の子にモテモテになりたいと思って来たんだよね……」
サラは純真無垢な目で俺を見ている。……心が痛い。
「俺って向こうじゃ全くモテなかったから、こっちの世界ではモテモテになるぞ!!って思ってたんだけど、サラを悲しませてまで叶えようとか思っていないし」
アレ? コレって言い訳じゃね?
「サラに聞くのはおかしいと思うけどサラの嫌な事はしないし、もしモテモテになる事が出来てもサラを一人には絶対にしないよ?」
うん。良い訳だね。浮気がバレそうになった男バリに言い訳をしてるね。
「王族や貴族などはそのような感じですが、一般市民はほとんどが一人ですね。稀に数人の奥さんを持つ方もいますが、かなりの裕福な層です」
「……サラ?」
「はい?」
「怒ってる?」
「あ、いえ、違いますよ?! ただ……」
「ただ?」
「もう少しだけ…………私が独占しちゃ……ダメですか?」
問題ありませーーーーーーーーーーん!!
サラが日に日に可愛さが増しているような気がする。……気のせいじゃないな。
……何故だ?
ま、サラはハーレムとかには寛容らしい。
俺もそれほど焦ってもないし、目指してはいるけどやらなくちゃいけないって訳じゃないしね。
多分、しばらくは増員なさそうだし。
とか言ってて俺ってモテないから増えなさそうだな。
サラにあんな事を言った手前、そうなったら悲しいな~。
片づけは俺が基本的にやるのでサラは出発の準備だ。
町に到着したのは四時頃。
それまで俺は〈魔法スキル〉のレベルを上げている。
〈魔法スキル〉のレベル上げの悪さは内容が複雑なのと使用者の練度が重要になってくるかだとサラの言葉を俺なりに解釈した結果、思った事だ。
俺はイメージが先行しているから問題なく使えているが、本来なら俺のレベルではちゃんとした魔法は使えない。
使えても自分の適正魔法のみ。
だけど俺の魔法も威力という面では皆無だがな。
なので俺は馬車に揺られながら目を瞑り、己の魔力と回路を意識し、素早く流れるようにコントロールする訓練をしている。
練度を上げる事は利き手じゃない手で字を書くのと一緒だと思う。簡単に言うと反復練習だ。
いきなり強い魔法を使える訳じゃないのが現実を感じる。
上がったレベルは二レべ。
四時間やって二レべなら十分だろう。
町はモックのような木を主体とした建物も多い。この近さで家の作りがガラリと変わる訳がないよな。
この町には門番はいないらしい。
中に入ってサラが町長の家の場所を聞いている。なる程、町長に挨拶に行くのか。
「こんにちは町長。本日、一晩宿をお借りします」
「お~お~。わざわざ挨拶に来てくださるとは何とも礼儀が出来た子じゃ。うむうむ。ゆっくりと泊まって行きなされ」
「ありがとうございます。では」
短いな。
町長って普通のおじちゃんって感じだ。子供の頃にあんなおじちゃんが近所にいたのを思い出したよ。
宿屋に到着。
……酒場じゃね?
「ここの二階が宿屋です」
「あ、そういう事か。ビックリした」
「田舎の宿屋は宿と酒場が一緒の場合が多いですね」
「なるほどね~」
中に入るとお客はいな。こんな時間にお酒なんて飲んでないか。
「酒場はまだだ。宿の方は大丈夫だが?」
「宿を一晩、お願いします。後、馬車と馬が二頭です」
「……馬車と馬の手入れはサービスだが馬の飯は二百。宿は一部屋八百だ」
「…………お願いします」
「分かった。全部で千だ。馬車の荷物は自己管理で頼むぞ」
「はい。これで」
「まいど。これがカギだ。馬車は外に置いといて良い」
「分かりました。では」
「あぁ」
……俺の空気感がハンパネー
アレ? 俺ってこの町に来てまだ一言も喋ってなくね? あ、ビックリしてたな。そう言えば。
サラの指示で荷台の荷物をしまう。……俺は荷物運びに徹しよう。
そして部屋。
「サラ?」
「何ですか?」
「ベットが一つしかないのは何で?」
「二つにするとその分の料金が増えます。なるべく安く済ませなくては」
「……」
サラの顔は仮面をしてて分からんけど耳が真っ赤だ。……うん。サラは嘘が苦手なのね。
どうしよう。サラはあえてベット一つにした感じがあるし、俺も男の子の訳で、抑えがきかない時もある訳で、俺とサラは好き同士の訳で……
とうとうこの日が来たか。
俺が真の男になる日が!!




