SS サラの激動の一ヵ月……2
SSは連日投稿できそうです!!
まずはお昼ご飯の準備ですね。
……先ほどスミスさんに、
『俺は今から出かけるからこの家には誰もいない。つまり奴を襲っても大丈夫だ。な~に、後片付けは俺がやる。楽しんだ方が良いぞ?
男なんてキスして胸でも押し付ければ獣になる。後は男に身を委ねれば良い。』
と言われ家を出ましたが、私はそんな事しません!!
目を褒められたからと言って好きになる程、軽い女ではないのです!!
動揺を隠しつつ、ガクさんと少しお話しをしました。
とてもかわいい笑顔をするんですね。もっと見ていたいと思ってしまうのはダメなのでしょうか?
突然、彼が苦しそうにしたので、この部屋から近い部屋に移動させました。大丈夫でしょうか?
横になった彼を見て、少し心配になりその場を動けませんでした。
寝顔を見て、先ほどのスミスさんの言葉が頭の中に流れました。
……体が勝手に彼の近くに寄って行き、顔を覗き込み、どんどん顔が近くなっていきます。
頭がボーっとして何も考えられません……。
「……問題あるか?」
「ガクさん!! 起きてらして!!」
彼は起きて目を開けました。
私は驚きましたが、体は私の意思に関係なくどんどん顔を近づけて行きます。
「……ガクさん」
彼の匂いが私の思考を更に鈍くします。……とても安心できる匂いです。
「ん? あぁ。サラクがガクを襲うところだったか。すまない。続けてくれ」
突如、スミスさんが帰って来ました。
私とガクさんを見て、少し驚いたような顔をしています。
「……ウヮ~~~ン」
私は次第に思考が回復し、今の状況を理解できるようになった事で物凄い恥ずかしさに部屋を飛び出しました。
……私は一体なのをやってしまったのでしょう?!
キ、キキ、……キスを、彼にしようとしてしましました。
つまり、私は彼を好きになってしまったと!!
違うんです!! 身体が勝手に動いただけなんです!! 私は彼にキ、キスをしようと思っていませんし、襲う事なんて考えてもいませんよ!!
……ハァ~~。
私は誰に言い訳を言っているのでしょう?
やってしまった事は仕方ありません。
心に正直になりましょう。
……私は彼が好きなのでしょうか?
嫌いではありません。顔もかわいいと思いますし寝顔もかわいい。少し大人らしい一面もあり、余裕もある。
背が私より少し高くて髪がサラサラしています。
笑顔もかわいいです。
何より私の目をキレイと言ってくれました。……本心で、です。
私はこんなに簡単に好きになってしまう子だったのでしょうか?
目を褒められれば誰でも良かったのでしょうか?
不安になります。……私はガクさんに目がキレイと言われました。
しかし、彼以外に言われても私は心が浮かれてしまうのでしょうか?
……私はそもそも彼に相応しいのでしょうか?
私の両親は目を恐れ、私を捨てました。……彼は私の目の事を知らないのでは?
でしたら、私の目の事を知ったら彼は私を……。
ダメですね。……冷静になって考えたらやはり私は彼に好意を持ってしまっています。
ですが、彼はどうなのでしょう?
少なくとも彼は胸を凝視するので胸は好きなのでしょう。……目もキレイだと言ってくれました。
ちょっとは可能性があるのでは?
……不安はたくさんありますが、彼を好きになってしまったのは事実。
前に進みましょう!!
まずは私の事をサラと呼んでもらえるように言ってみましょう。
さて、料理を作りましょう!!
しばらくして彼が来ました。
少し彼と顔を合わすのが照れくさいのでマスクはしたままです。
私の事をサラと呼んでくださるようにお願いしました。
………ただ名前を呼ばれる事がこんなにも嬉しいとは思いませんでした。
また、思考が鈍くなってしまい顔を彼に近づけてしまいました。……恥ずかしいです。
スミスさんの一言で冷静になった私はガクさんと共に料理を再開しました。
皆さんが帰って来てお食事をした後、ガクさんに頼まれ、お茶を運びました。……フフ。私のお茶が美味しいと言ってくれました。
すると、今の私の父であるマスさんがガクさんに文句? を付けました。
私が注意すると、どこかの弱い山賊のような喋り方をし、明らかに胡散臭い感じでバレバレの演技をし出しました。
これは……私が知らない間に父は変な人になってしまったのかと、余りに仕事が辛すぎて頭までおかしくなってしまったのかと思いましたが、途中から笑いそうになってしましました。
スミスさんや皆も真剣な表情なので笑う訳に行かないのでしょう。……必死に笑いを堪えます!!
すると彼が、
「フザケンナ!! サラは俺の嫁だ!!」
と言いました。
私はいつからガクさんの嫁になってしまったのでしょう?……エヘヘ。嬉しいですけどね。
「間違った!! 訂正しろ!! サラの目は幸福を運んでも不幸を運ぶことは絶対にない」
私は彼の顔を見ました。
怒っています。……少しカッコイイと思って見とれてしまいました。
「本気で言ってんのか? お前。本気でそんな事言ってんのか?」
「本気に決まってるだろう!! サラの目は醜くない。普通に考えて、何であんな綺麗な目を持つサラが不幸を運ぶなんて、呪わてるなんて考えるんだ? ちゃんとサラの顔を見ろよ。サラの笑顔がどんなにかわいいことか!! サラは笑顔が一番似合う。エプロンと仮面のコンボも惜しいがそれでも笑顔がないと意味がないんだぞ!!」
えっと……?
前半は意味が分かって嬉しいのですが、後半は意味が分かりません。
ガクさんはエプロンと仮面? マスクですかね? が好きなのでしょうか? ……変わったご趣味です。
多分、私を褒めてくださっているので嬉しいです!!
フフフ。ガクさんに嫁宣言を頂きました!! ……嬉しいです~~!!
その後、スミスさんも加わり話していましたが、マスさんがお仕事に戻るそうです。
そして、スミスさんがマスさんの事を話しました。
私とマスさんが家族なのが意外だったのでしょう。……驚いた顔もかわいいです!!
嫁宣言を彼に伝えたら、落ち込んでしましました。
嬉しいと伝えたらまた、身体が彼に近づいてしましました。
スミスさんの一言が無かったら……。
冷静にならないと、私!!
片づけをしてお店に向かいます。
道中、彼は私のしゃめ? を撮って喜んでいました。
空間をそのまま切り取ったような物を見せて頂きましたが、余り外では使わない方が良いと忠告をしました。
確か、映像記録の魔具の大きさは頭の大きさより少し大きいぐらいだったはず、あの様な小さな物で出来たらかなりの稀な物です。
盗まれる様な事があっては行けません。
お店に到着し、お店を紹介したら彼がいきなり泣き始めました。かなり驚きました。
彼はかなり感動しているような顔をしていました。
パッチを叱り、お店に入るとマーナ姉さんが掃除をしていました。
マーナ姉さんが私が彼にサラと呼ばせているのが意外だったらしく、からかってきました。
私はちょっと恥ずかしくなり、怒ったフリをして厨房に向かいました。
厨房に来た彼は目が赤くなっていました。
泣いたのでしょうか? ……そう言えばお店に入る時に泣いていましたね。
仕込みのお手伝いをして頂き、お店が開店しました。
ガクさんの動きはお世辞にも動けるとは言えませんが、頑張ってるのは伝わりました。……動けていませんが。
ヘトヘトなのでしょう。会話が出来ていません。
彼の受け答えは『あー』とか『うん』の返ししかありませんでした。
お疲れなら仕方ありませんね。……お疲れさまです。ガクさん。
内容的には七~九話にあたります。
キリが良い所で終わらせてあります。
少し短めですが、大丈夫でしょうか?




