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SS サラの激動の一ヵ月……1

学くん目線では分からない部分を彼女目線での物語です。


 私の名前はサラと言います。年齢は十六歳。最近の悩みは少し胸が大きくなって着る洋服が少なくなってしまった事です。


 彼がこの家に来たのはいつもの仕事を終え、私たちが就寝した後の事でした。


 何でも紛失の儀をしたい方なのだとか。


 『紛失の儀』


 それは大国家の非同盟国の住人が同盟国へ入り、住人になりたいと申請した時に行うモノです。

 

 集団でその人を観察や監視をし、スパイではない事や国に入れても問題ないと判断された場合は身分証が発行され、晴れて大国家の同盟国に住む権利が与えられますが、有害であると判断された者は奴隷として人の権利を剥奪されます。


 どの国から来たのか分かりませんが、こんな田舎の街に紛失の儀をやりに来るなんて、変わった方なのでしょうか?


 朝食の時に、スミスさんが私に『薬で眠らせたガキの様子を見て来い』と言われました。


 スミスさんが問題のある言葉を発したような気がしますが、聞かなかった事にして様子を見に行きます。


 スミスさんにその方が寝ている場所を聞いて驚きました。

 まさかスミスさんが倉庫だった場所だとは言え、一部屋をその人に使わせていた事に衝撃を隠せませんでした。


 理由を聞いたら、ご機嫌に『私が奴隷商だと当てたんだよ』と言ってました。スミスさんの楽しそうな顔を見て、私は紛失の儀をやる方の不運を心の中で同情しました。

 ……この人の暇つぶしに付き合わされるのだろうな。っと。


 そんな事を思いながら様子を見に部屋を訪れましたが、その人は寝ていました。


 男性で私と年は変らないような気がしました。……寝顔がとてもかわいいです。


 彼の寝顔は動物の子供に似た何かを感じます!

 スヤスヤと寝る顔には全くの緊張感も不安も無いような安心しきった顔をしています。


 ふと、無意識に彼の頬を振れてしまっていました。


 少しくすぐったそうに顔を傾けましたが、その時に彼の髪が私の手に触れました。……なんてサラサラした髪なのでしょうか!!


 正直、羨ましいです。


 私の髪はクシを使わないとすぐにゴワゴワになってしまします。


 この人は元からこんなにサラサラの髪なのでしょうか、何か使っているのでしょうか? 後で聞いてみましょう。


「……んん」


 余りにも髪と頬を触り過ぎたのか、彼がうっすらと目を開けました。


「………」


 目と目が合いました。


 そう言えば今はマスクをしていません!!


 私が硬直した瞬間、彼が小さく、でも確かな口調で言いました。


「キレイな瞳の色だ……」

「ぇ……」


 私は何を言われたのか理解できませんでした。


 え? この人は私の目がキレイと言ったのでしょうか?


 私の目を?


 パニックになった私はスミスさんのいる部屋に走って向かい、スミスさんに質問をたくさんしてしまいました。


 顔が真っ赤になっていたのを後で知りました。……恥ずかしいです。


 そんなはずではないのです。……でも、キレイと言ってくれました。


 私の目をキレイと。……フフフ。


 ……私の目は醜眼と言われ嫌われています。


 元々はそれほど嫌われる物では無かったのです。

 身体的な欠点の一つに過ぎませんし、髪の色と目の色が違う。


 ただそれだけなのです。


 ところが大国家が私のような目を持った者を醜眼者と呼び、不幸を周囲にまき散らし、見た者は呪われると宣言しました。


 それが約十年前になりますね。


 元々普通の小さな町で生まれた私ですが、その宣言が流れたと同時に私と家族は町から追い出されました。


 両親と共に町から町へ点々と移動したのち大きな都市に付きました。私は見た事もない数の人にめまいがしそうになりました。


 ここに住むのかな~っと考えてた私はその都市で両親に奴隷として売りに出されました。


 この時の私の感情は言葉にできません。なんと表現したらいいのか分からないのです。


 裏切れた。見限られた。捨てられた。嫌われた。言葉は頭を廻るけどあった言葉は出てきません。


 奴隷になるのかと思った私はスミスさんに会いました。


『俺の所に来ないか?』


 数件の奴隷商で私を買う事を断らてた時でした。


 スミスさんにその言葉をかけられた私は頷きました。


 それからは料理に勉強に魔法に戦闘にと目まぐるし日がたくさんありましたが、今や田舎の町のモックに暮らすようになりました。


 ここで、私は一人で生きて行くのだと思っていました。支えてくれる人たちがいるこの町が私は好きだから。


……私の目を褒めた人はいません。私の今の父でさえ、褒めた事はありません。もちろん貶すような言葉もそぶりも見せません。


 人生で初めて褒められた。


『キレイな瞳の色だ……』


 フフフ。……フフフフ。


 彼の声が頭の中を駆け回ります。ついつい顔がニヤけてしまします。


 私はこの目を憎いと思った時もありました。ですが、今はどうしようもない現実を受けて前に進もうと思えるようになりました。


 それも、皆が支えてくれたからです。私一人では無理でした。


 その日の晩ご飯は少し豪華だと皆から言われました。……気のせいです!!


 次の日の朝食後、皆が仕事場に向かったのを見計らい、彼を起こしに行くとスミスさんが向かいました。


 私は少しドキドキしていました。あの時のは勘違いかも、とか、間違いとか言われたら……。泣きそうです。


 起きた彼を見た時の印象は少し大人っぽいと感じました。


 背は彼の方が少しばかり上でした。


 彼が私の目ではなく、胸ばかり見ています。……凝視しても何も変わりませんよ?


 彼は面白い方でした。私の料理を涙を流しながら食べ、奴隷にされるかもしれないのに余裕もありました。


 ついつい笑ってしましました。


 笑うのなんて何時以でしょう?


 やっと私の目を見た彼は何故か驚いていました。


 私は少し落ち込みました。昨日の言葉は寝ぼけて言った言葉なのだと。


 何だか裏切られたような気がしました。


 この人も周囲の人と同じなのだと、私はマスクを取り出し付けました。


「なんで隠しちゃうんですか?」

「なぜって、こんな目。……あなたもこの目を醜いと思っているんでしょう?」

「イヤイヤ。ありえないでしょ!」

「冗談か何かですか?この目を見て同じ事が言えますか?」


 私は少しムカッときて至近距離まで近づき目を見ました。


 その時に能力を発動しました。ウソを見抜く能力です。


 この能力の前ではどんな嘘を言っても分かります。


「何度見ても綺麗な瞳だな~~」


 嘘を付いて……ない。


「……え?」

「…………声に出てましたか?」

「あぁ。ばっちりとな」

「……やっちまった!!」

「スミスさん。私は失礼します」


 私は自分が恥ずかしくなりました。


 私は彼にかなりの失礼をしてしまいました。八つ当たりで能力を使い、嘘を見抜くのは相手にとても失礼です。


 ですが、……彼は嘘を付いていませんでした。


 本心で私の目をキレイだと。……フフフ。


 嫌われてしまったでしょうか?


 嫌な奴だと思われていないでしょうか?


 そもそも、彼には彼女などいるのでしょうか?


 ……何で私はこんな事を考えているんでしょう!!


 話を盗み聞きしましょうか? ダメです!!


 ここは一旦、落ち着くためにお風呂に入りましょう。……お風呂掃除からですね。


 やっぱりお風呂は良いですね。


 心が安定していきます。


 おや? 誰かの気配がします。


 扉の前に二つ。この話声はスミスさんですね。


 扉が開いてスミスさんが来ると思っていたのに入って来たのは彼でした!!


 スミスさん!! 私が入ってるのを知っていて彼を入れましたね!!


 ……オヤ? 彼は身体を洗い始めようとしています。


 気が付いていなのでしょうか? 顔に生気が感じられません。


 それから少し話をして出ました。


 彼は以外にも筋肉質なんですね。もっと細いかと思っていました。……ヤダ!! 私は何を考えてるの!!


 大丈夫でしょうか?


 そうです!! 何か軽食を作りましょう!!


 身体と消化に良い料理を作りましょう!!


 彼が来て料理を出した際に私の裸を見ていないか確認をしました。大事な事です!!


 もし見ていたらスナーチャさんに記憶を消してもらわなくてはいけませんからね!!


 ですが、本当に見ていないようでした。良かったです!!


 彼と話してたいたらスミスさんが冗談を言って面白がっていました。


 私は恥ずかしくて部屋から飛び出してしましました。


 ……でも、彼が心配になってしまい扉越しに話を聞いていました。


 ですが、気配を消すのが不十分だったようです。……スミスさんにバレました!!


 ここは仕方ないです!!


 この前、パッチちゃんに教えてもらった誤魔化し方を使いましょう。


「にゃ~~~ん」


 これで、バッチリのはず!!


「早く入れ」


 スミスさんには意味が無かったようです。……恥ずかしい~~~~!!


 マスクで顔を隠しましょう。顔が熱いです。


 彼に恥ずかしい所を見られてしまいました。


 ですが、彼は私の手伝いをしてくれるようです。


 ちゃんと教えなくては!!


 

内容は五話~六話になります。


……長くなりそうです。

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