いざ、出発!!
サブ兼バックアップのサブアカを作りました!!
@inaro170
です。
メインのアカウントは
@soukaina176
です。
押忍!! 男の中の漢。年齢は三十六歳。名は学。夢はハーレムを目指し、強くなる事です。う~ん。俺の夢は先が長そうだな。うん。……地道に頑張ろう。
スミスさんとの稽古の後、俺とサラの為にちょっとしたパーティーをしてくれた。
俺は感動して少し泣きそうになってしまったが、俺とサラのパーティーなのに何故か料理を作ってるのがサラで微妙な気持ちになる。……アレ? 俺とサラのパーティーだよな?
スミスさんに負けて悔しい気持ちを引きずっていたが切り替えて楽しむ事にした。皆の気持ちは素直に嬉しいしね。
正直、楽しい食卓と言うモノをこの世界に来て初めて感じた。今日のこの夜は俺の記憶に大切に保存されるだろうな。とても楽しかった。
明日はそれほど早くはないが、早めに休めとの事をスミスさんに言われてしまったので少し早いが休ませてもらった。
そして、俺は一人になった部屋のベットで横になり、今日の反省をした。
「……やっぱり悔しいな」
部屋に俺の声だけが響いた。
反省を含めて今日の内容をおさらいしよう。
今回、俺が使った魔法は火と水と土と木。後、陽の光の魔法だ。
どれも初心者の魔法使いが使える魔法だ。俺はレベルが低いからすべての射程距離が短い。火球は三メートルも飛んだら消えてしまうのだ。
スナーチャさんの魔法訓練でいろいろ教えてもらった。
魔法に大事な事。それはイメージ。
なんか、イメージって言われて、ん? とか思ったけど、【アイテム収納アプリ】の使い方で残念ロリ神に教えてもらった時に言われたのを思い出した。
そして詠唱だ。
初心者魔法には詠唱が無い。なので、技名も唱えなくてもいいかな~? とか思ったけど無理だった。
仕方ないので、同じ名称で別々の魔法が使えるように練習した。
練習を見てたスナーチャさんが俺のやり方を見て驚いてた。
魔法使いにとって名称を言う行為は、ある程度のレベルがあると無視できるが、俺のような初心者は出来ない。だからレベルを上げて名称を無視できるようにするのが目標になる。……らしい。
そして、名称はイメージと直結しているので、同じ名称で複数の魔法を使う。っと言う考えがそもそもないのだ。
まぁ、対人戦もモンスター戦も声を出してたら相手に気が付かれるが、一番の問題は技名とタイミングなのだ。
技名はそのまま相手に自分が今からやる魔法を教えるようなモノだし、魔法以前にスキルは名称を唱えて発動する。魔法はその差が長い。
名称を唱える→発動。
ではなく、
名称を唱える→魔法を生成→発動。となる。
かなりの差があるって訳じゃないけど戦いにおいてその差はデカい。
そこで、俺はスミスさんから距離を離さない事が必須だ。
同じ名称で複数の魔法を使う事が出来たので後はどういう流れに持っていくかになる。
マスに言われたことを思い出し、ベストな流れを考えた。
今回、その流れは完璧に出来ていた。
俺の木の棒にスミスさんの意識を誘導する事。
火球と唱え続けて火球が来る事を刷り込む。
同じ名称で別の魔法を使い混乱させる。
泥水や光球を使い目つぶしをして背中から攻撃。
背中に攻撃が来てると悟らせないように出来るのが同名称別魔法の良い所だ。……同名称別魔法。俺が考えたけど中々に良い響きだと思わないかい? フフ。
名称を囮に使ったのだ。最後の最後、光で目つぶしをしたのは俺の動きがスミスさんから見えづらくするためでもある。
強い光が俺とスミスさんの間にあれば仮に目つぶしが失敗に終わっても俺の位置は影になる。スミスさんは俺が火球と唱えた事で、どの魔法が来るのか分からなくなっていた。……と思う。
それまでの戦闘で木の棒から魔法が出ると思っているスミスさんは正面からの攻撃に意識がいく。なので後ろからの攻撃が有効では? と思い、見事に出来た。
うん。……俺、これ以上何をすればいいの?
考えたし、実行も出来た。
戦いには負けたけど、勝負には勝ってる。……これは違うな。
そもそも、スミスさんは油断もしてたし手加減をしてたし俺を甘く見てたし、完全に余裕を出していたから作戦も上手くいったのだ。
スミスさんの回避のパターンが変われば俺は何もできないままMP切れだった。
ポジティブに考えるならあの人をあそこまで追い詰める事が出来るのはスゴイと自身を褒める。……無理だな。
ネガティブな考えは……うん。考えたらキリがない!!
正直に受け止めるのが一番か。
ぜってー次は負けねー!!
よし、寝よう~。
――――――――
おはよう!!
良い朝だね。……曇りだな今日は。
俺は身支度を整えてリビングに向かう。
「おう。起きたか」
「あ、マス。おはよう」
「ちょっと裏まで来い」
何だよ……。完全にカツアゲじゃん!!
普通について行くけどね~。
「なにこれ!!」
「んぁ? お前の荷物だよ」
「……」
どこにあったの? と聞きたいほどの樽が裏庭一面に置いてあった。何個だよ。これ……。
「あ~っと。……約百五十ある」
「よく準備できたね」
「そこは俺の仕事場にある奴隷を使ったんだ」
初耳なんですけど?
「ま、そんなことはどうでもいいから早く入れろ」
「……そうだね」
一番近い樽に触れて【アイテム収納アプリ】に入れる。……まとめて入んないかな?……メンドイ。
無理なようなので俺は一個ずつせっせと入れた。
誰だよ!! 三段にしたら俺の背が届かないじゃないか!!
……マスに取ってもらった。……早く背が伸びますように!!
ま、ただ入れる作業なのでそれほど時間がかからず終了した。
「本当にあの量が入るんだな~」
「俺もやっててそう思ったよ」
途中から爆発しないかな? とか思ったけどダイジョブなようだった。
「……おい」
「ん?」
「……帰って来るまでに少しは強くなって戻れよ」
「……どうしたの? マス……」
気色悪い!!
「……何でもねーよ。死ぬなよ」
「死なないよ!! でも、ありがとう」
オヤジのツンデレとか見たくないよ。うん。
その後、みんなで朝ごはんを食べて馬車に向かった。
スミスさんに荷物の料金を聞いたら、『餞別だから気にするな』と言われた。マジカッケーよスミスさん!!
お酒持って帰る事を約束したら喜んでくれた。やっぱりお酒が良いのか。
「行ってきます!!」
「皆さん、お元気で」
「あぁ」
「元気でな」
「……練習さぼらないように」
「サラ、ガク。達者でな」
「またね。サラお姉ーちゃん!! ガクお兄ーちゃん!!」
みんなと一時の別れの挨拶を済ませる。……泣きそう。
俺はサラと正門に向かった。
正門には馬と馬車が待機してあった。
馬が小さい。俺が知ってる馬よりはデカいが、馬小屋で見た馬より小さい。それに四足歩行をしている。
サラも安心しているようだ。
馬車には馬を予約した時にいた従業員の人がいた。
無事、馬車と馬を借りて、俺たちは乗り込み、目指すは帝都!!
「では、街の中で買い物をしますね」
「あ、はい」
だよな。荷台に何も乗ってないしな。
「マスからかなり荷物は受け取ったよ?」
「どのくらいですか?」
「樽で百五十ぐらい」
「……え?」
サラは油の差してない人形のようにギギギっと荷台にいる俺に顔を向けた。
首!! 首!! 首!!
首の角度おかしいから!!
明らかにおかしから!!
「何が入っているか分かりますか?」
「マスに聞いたけど必要な物が全てらしいよ?」
「……荷台に何を乗せましょうか」
「乗せないとダメなの?」
「ダメではないのですが、怪しまれますね。間違いなく」
「あぁ、なるほど。じゃ~スマホから出すよ。何を出した方が良い?」
「……軽い物で食べ物じゃなければ……」
「んじゃ、サラの洋服が入った……」
「私のは出さなくて大丈夫です!!」
何で俺が持ってるかだって? サラが重そうに持ってるのを俺が見逃すとでも? え? やましい気持ち?
フフ。俺をそんな馬鹿な奴だと思わないでくれ。やましい気持ちなどあるはずがない!!……少ししかな?
「んじゃ~どうしよ。荷台に積める物を買う? 空の樽とか」
「それなら何か買ってしまった方が良いですね。ガクさんがいれば腐らずに持ち運べますし」
よっしゃ!! 俺は荷物を運ぶぜ!!
それから、比較的日持ちする果物や野菜などを買い荷台を適当に埋めた。
樽を荷台に縛るのは中々勉強になった。ん? なんの勉強かだって?……あ、えっと。……俺の口からは言えないぜ!!
正門から出るともはや懐かしいとさえ思うあの草原が広がっていた。
とうとう旅が、冒険が始まる。
俺はドキドキと興奮して、道の先を眺めた。
これにて一章が終了になります。次回はSSを挟み、第2章が始まります。




