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サラ奪還計画開始

(8/12、9/2)更新しました。

 

「お前が指示をしろ」

「俺が?!」

「だな」

「マスまで…………なんで」

「お前が知ってる情報はお前が、一番理解しているだろう。時間があれば俺が聞くが、今回は時間が惜しい」

「……分かりました」


 サラを助けるために俺が、ざん・・じゃなかった。親愛な女神から教えてもらった事を自分の頭で整理する。


 場所はタワーの中。入って左の数キロ離れた捨てられた奥に山小屋がある。元々の用途は木を伐採する人たちの休憩所兼宿泊所となっていた場所だ。


 何でそんなとこにそんな物がと思うが、木材の調達には木の選別が必要になり、手当り次第に切れば良いと言うわけでもない。その為、木を間引いたり、木の選別をしたりと切る側も大変らしい。


 あのタワーには何千、何万を超える木がある。その全てを管理し、用途によって伐採。加工する。小屋の数件は出来るだろう。


 そしてタワーは広大。休む場所が必要になる。サラを攫った奴らはそこをアジトにしている。


 アジトは捨てられた山小屋を改築し、小屋ではなくもはや家の規模。


 アジトの人たちはタワーに入っても怪しまれないようにタワーの仕事を手伝ってその代わりに捨てられた小屋を借りた。


 怪しまれず、足も付かずに自分たちの家を借りる。手際の良い事だ。


 そして、敵の人数は八人。これが手伝いをして小屋を借りて怪しまれなく、身動きが取りやすいように考えられた人数。タワーの中で怪しまれない為に全員が近距離で戦うタイプらしい。


 見張りは二人。家の周りを常に散策し、人が来たらアジトに伝える。一人が時間を稼ぎ、もう一人が知らせる手はずになっているらしい。まず、これをどうするかだな。


 アジトを作る際に窓は光が漏れないように塞ぎ、外から見える一見閉まっているように見える窓は偽物らしい。無駄に精巧に作られているらしく、その技術を別の何かに使えと言いたくなる。


 侵入方法は正面か裏口。もちろんどっちもカギはかかっている。どっちを選び、カギをどうするか。


 サラの場所は一階。裏口から近い部屋に監禁されている。監視は部屋の前に一人。


 これが神様からの内容だ。


 よし、頭の中で整理が出来た。サラを助けに行こう。


「ガク。家の前の監視はどうなっている?」

「正面を監視してますね。マーナが戻ったのも知らせてあるようです」

「そうか。では我々は裏口からタワーに向かうか」

「ボス。敵に対しての手加減は?」

「もちろん。問答無用だ」


 それぞれがニヤリと笑みを浮かべる。怖い!!怖い!!怖い!!


 パッチちゃん!!そんな笑みを浮かべてはいけません!!


 そして、俺もダッシュで着替えてタワーに向かう。タワーに向かう道はスミスさん先導で行く事になった。近道をするのもさることながら人と全く合わない。スゲー!スミスさん


 俺も地図スキルで同じような事は出来るが。全く合わないのは無理だ。どっかしらで急に人が現れたり、後ろと前を挟まれたりと。多分、無理だな。


 道中は無言のままタワーに向かう。タワーに着いたら受付の人がいる。そこもスミスさんが話を付ける。


 事前に受け付けは敵の仲間ではない事は伝えているのでお金を握らせ、武器の持ち込みをすんなりと許可された。マジでタワーの管理甘いな~


 タワーに入って左に進む。


「ここから先に敵が二人います。一人は囮兼時間稼ぎ、一人は連絡係です」

「分かった。シャス。お前に任せる」

「分かりました。ボス」


 先頭交代。先頭がシャスに変わった。彼は何が出来るんだ?怪しい占いだぞ?


 しばらくしてシャスは止まり、俺達も止まった。俺は最初なぜ止まった?と思ったがシャスは敵二人を見つけたらしい。俺は全然、分からなかった。


「シャス。殺すな。あいつらは利用価値がある」

「分かりました」


 ひそひそ声で話す、スミスさんとシャス。


 シャスは意識を集中しているのが後ろにいる俺でも分かる。小声で何かブツブツ唱えている。何をする気だ?


「〈怠惰の風〉」


 シャスはそう言ってフーと息を吐く。周辺はそよ風程度の風が吹き抜けた。


「……大丈夫ですね」

「よくやった」


 そう言ってシャスは敵に近づく。え?何で!!と思ったが敵は寝息をたてていた。


「シャス。何をやったんだ?」

「え?魔法で眠らせてんだよ?」


 さも当然のように言いやがって、その程度常識でしょ?みたいなのがちょっとムカつく。


「そ、そうか」


 シャスは怪しい占い師ではなく、魔法使いだった。マジかよ。魔法あったのか。使ってみたい。


 俺とシャスが喋ってる間にもスミスさんとマスが二人を縛り上げる。なんと手際のよろしい事で。


「ボス。こいつらをどうするつもりで?」

「ガクの情報を信用していない訳ではないが確認とすり合わせ、俺たちの行動がこっちに入ってないかの確認と突発的な事で何か変更になってないか、などだな」

「分かりました」


 ここで、俺が詳しく詳細を話すと俺が泣いてしまうので少しだけ何があったか話す。


 片方を起こし、親切に情報を提供してもらい。今度は物理的に眠ってもらい。もう一人も同じ方法を取った。

 親切に聞いた事で嘘や偽りなどはないと思うし、二人は同じ事を喋ったので良しとなった。


 スミスさんはもはやこの人が敵の親玉なんじゃないかと思えるほど迫真の演技?で敵の下っ端、AとBの全身から液体が漏れ、俺は少しちびった。


 そんなこんなで敵のアジト。残る敵は六人。一人はサラの部屋の前に待機。二人は二階で寝ている。三人は一階で待機中。


「俺とマスは正面からけし掛ける。お前たちは後ろからだ。シャスは増援が来た場合、直ちに知らせてくれ」

「「「「はい!」」」」


 俺はパッチちゃんと裏口に回る。後ろからパッチちゃんを観察。忍者だな。どう見ても忍者コスだ。


 いつもの天真爛漫とした元気なパッチちゃんなら俺の中のセンサーが発動するかもしれないが、今のパッチちゃんからは迸る殺意が滲み出ている。正直に言って俺はこの子に勝てない。


 十二歳の女の子に負ける三十六歳のおっさん。なんかのプレイ? みたいに思うがプレイした瞬間にコンボくらってKOだぞ? こっちのがHPギリギリになったところで必殺技を当ててくるよな残虐仕様。


「ガクお兄ちゃん。そろそろ裏口。集中して」

「はい!すいません」


 怒られた。パッチちゃん怖いんだもん。しかたない。


「騒がしくなったら侵入する。カギは、わたし……拙者が開けます」

「わ、分かった」


 言い直したね。パッチちゃん今、言い直したよね。……あ、顔反らした。恥ずかしいのか。


 良かった。パッチちゃんはパッチちゃんだった。それだけで俺の中の世界は少しだけ平和になるよ。


 瞬間。正面の方でドカン!!っと爆発音がなった。どっちかと言ったら衝突した音みたいだったが、マスかな?


「侵入する」

「はい」


 パッチちゃんはモノの数秒でカギを開け侵入。サラのいる部屋に向かう。


「テメーら何もんだ!!殺されたくなかったらガ!!……」

「うるさい」

「……パッチちゃんマジカッケー!」

「…………本当?」

「うん。本当!本当!」

「…………よし!」


 パッチちゃん敵の一人を瞬殺。後ろにいた俺はパッチちゃんの動きが全く目に追えなかった。一瞬動き敵の目の前に移動。何かをして敵を物理的に眠らす。マジカッケー!


 俺とパッチちゃんはサラがいる部屋を開ける。


「サラ!!よかった無事で!」

「……ガ、ガクさん?」

「今、縄をほど……」

「切った。……どう?カッコイイ?」


 パッチちゃんは一瞬で縄を切った。正直にメッチャ怖いな!!


「パッチちゃんも……うぅ」

「私たちだけじゃない。スミスさんもマスさんもシャスくんも来てる」

「皆さん……私の為に……」

「行こうサラ。みんなが待ってる」

「……はい!!」


 泣き止んだサラは俺達と一緒にスミスさんのいる所に向かう。合流をする方が良い事前に打ち合わせておいたからだ。サラを奪還したら合流。出来なくても合流をすると。


「うわぁ……」

「お前らか。サラク無事でよかった。帰るか」

「ありがとうございます。スミスさん!!」

「スミスさん。この人たちは……」

「多分、生きてるだろう」

「そうですか」


 寝ていた二人も駆けつけたのだろう。大人五人が血みどろで横たわっている。数人手足がおかしな方向に曲がっている気がするが気のせいだろう。…………気のせいじゃないだろうな。


「戻るぞ。ここにはもう用はない」

「はい!!……ここには?」

「あぁ」

「ここの奴らは弱すぎる。こいつらだけの犯行ではない」

「弱い?」

「あぁ。この程度の奴らならマーナが不意打ちをくらっても余裕で撃退出来るだろう」

「マーナさん。マジ男前」

「これからこいつらの上司の元に向かう」

「でも、それじゃ……」

「大丈夫だ。奴らは俺たちを敵に回した。その怖さを骨の髄まで分からせてやろう。敵に回しただけならまだしも、俺の仲間に手を出し、傷つけ、攫い、監禁。このツケは相当高くつく。フフフフフ」


 ヤッベ~。スミスさんが真っ黒な笑みを浮かべている。うわ~もうどっちが加害者で被害者か分からないや~アハハハ。


「サラ!!すまなかった!私が付いていながらお前を攫われてしまうなど!!」

「マーナ姉さん。自分を責めないでください私を守るためにこんなに傷を……私は無事ですから……」


 家に帰ってマーナが待っていた。後、知らない奴が縛られていた。誰こいつ?


「こいつは?」

「……ん!」

「あぁ、あいつらの使者か連絡係か」


 なぜ分かる?スナーチャさん、ん。しか喋ってないよ?言葉はどうしたのか?この人喋ったところ一度も見たり聞いたりしたことないな。この人は謎だ。


 俺たちはサラを取り返した。良かった。無事で。


「さて潰しに行くか」

「おう」

「あ!私も行きます!!装備を着てきます」

「分かった」

「サ、サラ?……装備?」

「ん?サラクは戦えるぞ?言わなかったか?」

「初耳です!!」

「サラクは装備がなければ弱いからな」

「マス。……なければ?」

「サラおねーちゃんは強くてカッコイイですよ?」

「僕とパッチちゃんが二人で戦っても勝てませんからね」

「お待たせしました」

「修道着に杖……」


 サラは少し恥ずかしそうにしている。そして、その装備を完全に着こなしている。


 俺の中にあるサラが崩れそうだ。


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