地縛霊
久しぶりの更新。
押忍! 日本語って世界でも難しいらしいですね。ですがひらがなとカタカナと漢字を組み合わせて更に海外の言葉をもじった言葉も使い、記号をも言葉にしてしまうのは最早日本語と呼べるのか疑問です。マジ卍。
幽霊、もとい地縛霊を助ける決意をした俺氏だが、除霊魔法とかで案外簡単に事が済みそうである。
「さて、そろそろ出口を出してくれないか?」
「サラ心配してないかな~」
心細いのかな?
俺がいるじゃないかって俺といるから心細いのか?
え、ショック。
「何言ってるっすか?」
「ん? 出口が無いのってお前が何かやってるんじゃないのか?」
「いやいやっす。ただの幽霊にそんな事出来るわけねーっす」
「え? じゃあ何で出口がなくなったの?」
「さ~?」
「さー!」
いやいや、お前。
アメリカ人のような両手を上げて意味分からない的なジェスチャーをするな。マジでイラっとする。
ルアンは可愛い。
え?
どうやって戻ろう。
「と言うか、ここって地下っすよね?」
「そうだぞ」
デカい城みたいな家だ。
「防衛用の魔具が発動しちゃったんじゃないっすか?」
「防衛用?」
何、そのカラクリ。
「はいっす。地下は基本的に金品を隠したり置いといたりするに適してるっす」
あ~。
金品とかか。
確かにそうかだね。
こんなジメジメした場所に食べ物は置いとけないよな。
ネズミやGの温床になってしまうし腐るよな。
で、物置として使うって事か。
てかそんな魔道具あったのか。
防衛用魔道具?
何も置いてないんだから解除しとけよ。
まったく。
「捕獲されたのか」
「っすね」
「ふぁ~」
ルアンが話に飽きているが、つまりじっとしていればサラが見つけてくれるって事だな。
ポルターガイストかと思ってガチで焦ったわ~。
「まぁ即死系ではないのでマシっすよ~」
「いや、冗談じゃねーよ!」
青白い表情で言われると冗談じゃ済まねーからな!?
「あ、サラの声だ~」
ルアンの声と同時に目の石壁が溶けて木の扉が現れた。
こんな感じで扉が現れるのか。
流石は異世界。
何でもありだな。
「ガクさん? お戻りが遅いようですが、どうかしましたか?」
「閉じ込められました。ありがとう、サラ」
「てへぺろ~」
「っす」
俺以外が軽いな~。
「えっと……」
あ、地縛霊を見て硬直している。
サラに説明をしないと。
「あ、サラ。この子は地下で会った地縛霊。成仏させてあげたいんだ」
「え? じ、地縛霊ですか?」
「はいっす! 自分、地縛霊っす」
サラの様子が少し変だ。
焦ってると言うか自分の予想した答えじゃない返答が返って来たみたいな感じだ。
サラは一体何だと思ったんだ?
「れ、霊体って事ですか?」
「はいっす!」
「……」
あ、サラが絶句している。
口が開いちゃって本当に可愛いな~。
「ガクさん。場所を変えましょう」
あ、声がマジだ。
「分かった」
そう言って俺たちは外に移動した。
そう言えば俺たちを家に入れた女性がいないのは何でだろう?
俺が地下で閉じ込められている間にどっかいっちゃったのかな?
などと思いながら表玄関ではなく裏口を出でて裏庭である。
あまり手入れされていないが荒れ放題って感じでもない。
「ガクさんはアンデットを知っていますか?」
サラが開けた庭の中程で止まり、俺に背を向けたまま話をする。
「死霊系モンスターの総称、だったかな?」
「そうです」
サラが俺の方に踵を返す。
「ガクさん。はっきり言いますが、上位の死霊系モンスター以外にはっきりとした自我のある霊は存在しません」
「え?」
そんな事を言われて思い出した。
スナーチャさんが一通りのモンスター講座で言っていた。
確か……。
「霊を見たら即座に倒せ」
サーチ&デストロイが死霊系の一般的な戦闘方法。
そもそもアンデットや上位の死霊系の偶発的な遭遇は稀であり、それこそ相当な怨念が集まる場所に足を踏み入れるなければならない。
「その地縛霊はモンスターです」
俺は後ろにいる霊を見た。
彼女はサラの話を聞いて呆然としていた。
「悪霊化であるならまだ救えた可能性がありましたが、モンスターでは……」
普通の霊が負の感情でモンスターとなる悪霊は浄化すればいいのだ。
だが、彼女は違う。
彼女はモンスターだ。
死霊系のモンスターは見つけたら即座に殺すしかない。
「じ、自分はただの地縛霊じゃなかったんですか?」
「あなたはモンスターです」
俺は彼女に鑑定を使った。
~鑑定情報~
名前 ファントム Lv五十以上
説明 様々な負の怨念の集合体。
スキル【鑑定】のレベルが上がり相手のLvも見えるようになったが、まさかの五十以上とは。
これではっきりしてしまった。
彼女は殺さなくてはいけない存在である。
放置も逃がす事もできない。
「『サンクチュアリ』」
サラが霊体を逃がさない結果意を張った。
上位結界魔法『サンクチュアリ』。
霊体を閉じ込め、閉じ込めた対象を弱体化させる。
もう逃げる事は出来ない。
「うぅぅ……。ぐうぅあぁぁぁあああああ!!」
彼女が苦しみだした。
身体から黒い煙が噴き出す。
「は、はは……」
苦しみながら笑いだした。
「何を笑っているんですか?」
「これを笑わずにどうしろって言うんっすか」
身体から靄を出し、足に力が入らないのか地面に倒れ込む。
「笑うしかないじゃないっすか。記憶もなく散々彷徨ってやっと話を聞いてくれる人に出会って希望が見えたのに、突き付けられた真実は自分が化け物という事だけ。これを笑わずにいられますか!?」
片目から赤い涙をしながら苦しみながら声を荒げる。
「すぐに楽にします」
サラが彼女に片手を翳す。
「ガク~。良いの?」
「ルアン」
ルアンが俺の顔を覗き込んできた。
何でそんな綺麗な目で俺を見るんだよ。
本当に。
「『聖火』」
「本当に『なにやってるんだか』」
瞬間、サラの手の魔法も周囲に張っていた結界がガラスを砕く様な音と共に破壊、霧散する。
それをやったのはもちろん俺だ。
「ガクさん。何を!?」
「ゴメン。サラ」
俺が地面に倒れている彼女に膝を折り、優しく問う。
「何を泣いているんだ。約束しただろう。俺はお前を成仏させるって」
「な、何を言ってるんっすか! 自分、化け物っすよ!」
「その程度で俺が諦めると思うなよ。お前は死んでも成仏するんだ」
「は、はは。バカじゃ……ないっす……か」
そう言って気を失った。
「バカなのは自分で知ってるっての」
バカは死ななきゃ治らない病気らしいからな。
「ガクさん。この子を本気で成仏させる気ですか?」
「うん」
「難しいですよ?」
「て、手伝ってもらえないかな?」
現状、どうやって成仏させるか方法が分からないからな。
「しょうがない人ですね」
「面目ない」
「いえいえ。そういう所が好きですよ」
何だろう。
好きと言われて嬉しい反面、喜んだら負けと思う自分もいる。
「で、この子どうしようか」
話題を変えよう。
「そうですね~」
「サラ、このこいじめたの?」
「ル、ルアン!? ち、違いますよ!?」
「え~」
おぉ。
サラがショックを受けるとこんな反応をするのか。新鮮だ。
いろいろ取り繕ってはいるが、言い訳みたいにみたいになってる。
もはや泣きそうな声を出している。
「ルアン。サラは悪くない。不甲斐ない俺がダメだったんだ」
「ガク。ぎるてぃー」
「グハァ!」
有罪か。
てか即答で判決を下すな。
俺に弁護する時間が全くないぞ。
「これで手を打とう」
俺は思い出した救済アイテムを取り出す。
「わ~い。ガク、むざい」
「ありがとう、ルアン」
こうして俺はお菓子を渡してなった無罪となった。
「ガクさん。ありがとうございます」
「俺こそありがとう。これからどうしよう?」
「どうしましょうね」
さて、自称・地縛霊のファントムのこの子はどうしたら良いのだろ?
とりあえず毛布でも掛けとけば良いのかな?
長らく更新しなくてすいませんでした。
これからはコンスタントに上げます。




