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数日更新が滞ってしまい、申し訳ございませんでした。
押忍!! ガクです。子供の頃にスゴイと思った事の一つに消しゴムがあります。小学生の頃なので鉛筆で文字を書いていましたが、何で消えるのかが不思議で仕方なかったです。
声からして男性の声が一人と女性の声が二人かな?
「はは、は、ははは。だ、誰かな~? ちょと見てきます」
「あ、はい」
普通に表情がテンパってたけど、どうしたんだ?
嫌な先輩が家に遊びに来ちゃった的な表情だな。
サラはルアンからお菓子をもらっている。
写真を撮りたい、この一瞬。
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ガクが部屋でサラクとルアンのホノボノを写真に収めたい衝動に駆られている時、アーサルが尋ねて来た者たちを対応していた。
「……何で来た? ねぇ、何で来た? カケルさん」
アーサルが目に怒りを込めて尋ねて来た者たちを威圧した。
「いや~。このバカが皆に広めちゃって収集付かなくなったから俺たちが代表で来る事に……」
アーサルの威圧を受けても少し冷やさ汗を浮かべる程度でカケルが口を開き、ミンミンを指さした。
その態度に更に怒りが込み上げるが、アーサルは少し息を吐いて言葉を発した。
「……アナタたちは『あの事件』の事を知っているでしょう?」
「「「……」」」
アーサルのその一言で遊び半分の三人の表情に影が出来た。
「アナタたちが作ったルールをアナタたちが破るのは他の派閥の奴らに付け入るスキになりませんか?」
「……そう、だな」
カケルが重い口を開いた。
ミンミンとペッチンは視線を下げ、下唇を少し噛んだ。
「今日は帰って下さい」
「分かった。……すまなかったな」
「いえ」
来た時の明るさとは変わり、暗く重い雰囲気を醸し出す三人。
そしてトボトボと帰るのだった。
その際にミンミンがアーサルに尋ねる。
「本物のボスだった?」
か細く、今にも消えそうな声を出したミンミンに多少動揺したアーサル。
先ほどの怒りは既に無くなり、素直に優しく答える。
「本物でしょうね。ルアンちゃんもいましたから」
「……そっか」
その一言を残し、去っていった。
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アーサルが扉を閉めると同時にサラが俺に話しをかけてきた。
「ガクさん。ちょっと良いですか?」
「ん? 良いよ。どうしたの?」
あ、サラの顔が近い。
ドキドキしちゃう。
「あの方は私を知っているようです」
「……と、なると俺と同じ人だな」
「どうしてですか?」
彼はルアンを見ても驚かなかった。
それに、この世界に新聞は無いんだ。
「このお菓子、サラは知ってる?」
「えっと……焼き菓子ですか?」
「クッキーとバームクーヘンだよ。俺の世界で食べられていたモノだ」
探せばこの世界にも似たようなモノは存在しているだろうが、この街に来てコレといって見なかったモノがここで見れるモノだろうか。
コレだけ美味しいモノならお客さんはたくさん来るはずだ。
まぁあの雰囲気は俺たちと同じ世界の住人だよな。
以前、モックの町に現れたジュウソウが似た雰囲気を出していた。
絶対とは言えないけどおそらくはって感じだな。
「では、どうしますか? 断りますか?」
普段なら断ろうとするだろうが、今回は別だ。
相手の好意から俺たちを助けようとしているのか、それとも悪意か。
「好意なら受けよう。悪意があるなら断ろう」
「それは嘘はあっても悪意がなければ受けるって事で大丈夫ですか?」
「もちろん」
馬鹿正直に言うのならそれはそれで信用できないだろう。
俺とサラが話を終えると同時にアーサルが戻ってきた。
少し表情が浮かないようだ。
「どうかしましたか?」
俺の言葉に少し微笑むアーサル。
本当にどうしたのだろうか。
「何もありませんでしたよ。迷惑な勧誘でした」
俺でも分かる嘘だ。
だが、彼はこんな表情をするんだな。
アーサルは机の上の自分のお茶を一気飲みして一息すると先ほどと同じように話し出した。
「……どうしますか? 一緒に行きますか?」
「私たちでは行けませんのでよろしくお願いします」
「分かりました」
……この人、俺が気が付いた事に気づいたな。
それでもなお一緒に同行するように勧めるって事は裏はないのか?
いや、裏はあるのだろうな。
だけど、悪意はないのか。
サラが動向を認めるって事は悪意はなかったって事だ。
なら問題はないか。
「今日はもう時間的に遅いですから、そうですね。……明後日のお昼過ぎに来て下さい。その際に宿がこの近くではないのなら移動した方が良いですね」
「分かりました」
明後日か。
それまでは別の噂を探るか。
帰りにお菓子を大量にもらった。
初めてバームクーヘン一本分を見た。
当分はお菓子に困らなそうだ。
帰りにダンジョンに寄った。
人が多くて馬車の移動が制限されている程だった。
「人多いな~」
「ですね。あ、あの建物ですよ」
そこにはローマにある宮殿を彷彿とさせる建物が建っていた。
スゲーな。
周辺のある建物と縮尺が違うから距離感に違和感が凄いぜ。
「モックの町にあったのもダンジョンでしたので分かると思いますが、あの建物の中に扉があります。その中に入ればダンジョンですね」
「ほえ~。武器や防具を身に着けてる人も多いけど、身に着けない人も多いんだね」
「あ~。アレはおそらくあの建物の中にあるギャンブルをする人だと思います」
マジか。
この世界にもギャンブルあったのか。
やってみたいな。
面白そう。
「詳しくは知りませんが、レアなアイテムが交換できるそうです」
「なるほどね~」
ギャンブルって何だろう?
スロットとかカードとか?
「一段落ついたら行ってみようか」
「そうですね。何があるのか楽しみですし」
ルアンが寝てしまっているから馬車から移動するのも不便だからそのままグルッと馬車で宿屋に向かった。
馬車が宿屋に到着したが、部屋には向かわなかった。
俺は一人、騎士の宿舎に向かう。
ルアンはサラに預け、部屋で待ってるようにお願いした。
俺に何かしらの魔法をかけたので居場所は分かっていると思う。
宿舎にはすでに人が戻っていた。
出入り口にいた人に話をかけ、二人を呼んでもらった。
「お待たせ」
「どうした? 大丈夫か?」
外で待っていると、エンドルとシャルルが来てくれた。
「大丈夫だ。あの時はすまなかったな。いろいろと動いてもらったし、八つ当たりもしたし……」
二人には後日お礼とお詫びで尋ねようと思っていたんだ。
少し時間が空いた今なら大丈夫だろう。
「顔色も大丈夫そうね。あの時は本当にひどい顔してたわよ」
「大丈夫そうでよかったぜ。……あ、これ」
エンドルが一枚の紙を渡してきた。
「なんだ? これ」
「……ナルミさんのお墓の場所だ」
そうか。
「そこまでしてもらったんだな。本当にありがとう」
「まぁ友人が大変な事になってんだ。助けるのは当然だろう?」
「サラクからのお願いでもあったしね」
本当に良い友人を持った。
「ありがとうな。今度、みんなでご飯でも行こうか」
「そうだな!」
「えぇ!」
もう少し長く話そうかと思ったが、すぐに帰る事にした。
俺の顔から水が流れる。
満月が綺麗な夜だが、どうやら雨が降ってるようだ。
泣く事はもうしないと決めたが、雨ならしょうがないよな。




