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1日3話投稿。

3話目。

 押忍!! ガクです。月って地球に対して同じ面しか見せていないそうです。案外、月の裏側には宇宙人基地があるかもしれません。まぁ月の裏側はボコボコらしいですけどね。


 時間は必要なのは仕方ない。

 焦らずにゆっくりと行こう。


 ナルミはどうやらサラの服をおさがりしているようだ。

 少しダボッとしている。


 俺と喋るとメチャクチャ不安そうな感じで喋るので俺はとりあえず部屋の隅で座禅を組み、瞑想している。

 俺の膝の上でルアンが同じようにしている。


 可愛い。


 サラに頼んで写メを撮ってもらった。


 中々に素晴らしい。


 ナルミはサラの後ろから俺をジトーっと半分顔を出して見つめていた。


 チラッと目を開けて見るとサラの後ろに隠れる。

 徐々に俺という存在に慣れてくれればいいが。


「あの……」


 ナルミが俺に声をかけてくれた。


「どうかした?」


 優しく返答をする。

 表情は笑顔で。

 コレ重要。


「な、なにしてるんですか?」

「スキルのレベル上げだよ」

「……座禅のですか?」


 座禅スキルってあるのかな?

 レベルを上げたらどうなるんだろう。

 少し浮けるとか?


 おっと。

 ボケをすくってしまうところだった。


「あははは。座禅のスキルじゃなくて魔法だよ」

「魔法?」

「そうだよ」


 俺はバックから杖を取り出すように見せた。

 実際はアプリから出したけど、いきなり現れるとビックリするからね。


「〈光〉」

「うわぁぁ……」


 人は赤い光を見ると興奮していまい、青い光を見ると冷静になるようのだ。

 公園や人が多い場所で夜のイルミネーションが青いキレイな光の場所があるが、アレは犯罪を犯す人を冷静にする効果があるそうだ。


 そういう事を知っていたので、俺は青いキレイな光を杖の先端から眩しくないぐらいに出した。


 ナルミは少し笑みを浮かべて光を見ている。


 その笑みを見てサラもルアンも笑顔になった。


「キレイでしょ?」

「はい」


 言葉が続かない。

 どうしよう?


 痺れを切らしたようにサラが口を開く。


「ナルミさん。相談なのですが、一人部屋で休まれますか?」

「え……」


 引き離す。

 と、言うより拒絶されたと感じてるのかな?


「えっと。君が俺と一緒にいると疲れちゃうかなって思ってね。それに一人が心細いなら無理しないでいいよ」

「は、はい」


 まだ落ち着いているようだ。

 さっきみたいにパニックになったらどうしようかと思った。


「どうしますか?」

「……もう少し居させてください」

「分かった」


 と、なると俺はサラとルアンで一つのベットかな?

 グヘヘヘ。


「ガクさん。ナルミさんが心配なので私はナルミさんと一緒に寝ますね」

「ルアンもいっしょにねてあげるの~」


 ここで俺がワルノリして俺も一緒に寝ようかな~とか言ったらナルミがパニックを起こしそうで怖いから自重。


「そっか。……そっか」

「が、ガクさん。あからさまに落ち込まないで下さい」

「あはははは。ガク。なきそう~」

「いや、泣いてないよ? 俺、強い子だから泣かないよ?」

「フフ。……フフフ」


 ワイワイと楽しんでいるとサラの後ろでナルミが声をだして笑っていた。

 三人が見ていると気が付いて顔をサラの背に埋めてしまったが、耳まで真っ赤になっていた。


 笑えるじゃないか。

 良かった。


 良い笑顔が見れた。


 それからは俺とルアンで遊び、サラはナルミの髪をすくっていた。

 俺は常に壁側を意識し、移動していた。


 ナルミの髪はサラの魔法と物理の常識を覆し、サラサラになっていた。あ、ダジャレじゃないよ。


 マジかよ。

 メッチャ美人さんじゃないですか。


「どうですか? ガクさん」

「うん。美人さんになったね」

「そ、そんな……」


 照れてると思う。

 少し笑っているから。


 その晩は俺は一人で寝た。

 寂しいと思ったが、隣のベットを見てニヤニヤしながら寝た。


 別に涎は垂らしてないぞ!


----------


 息苦しさで意識が覚醒する。


「カハァッ!!」


 首を絞めつけられているようだ。

 部屋は真っ暗で何も分からない。


 半分パニックになっている俺は首を絞めつけるモノを解こうとするが、力が凄まじく解く事が出来ない。


 徐々に意識が遠のいていく。

 手にも力が入らない。


「キャッ!」

「ゲホッゲホッ!!」


 俺の首を絞めつけていたモノが急に解けた。

 むせかえりながらも新鮮な空気を肺に取り込む。


「〈光玉〉」


 サラの声だ。

 サラが光の魔法を使い、部屋全体を明るくする。


 すると、俺の近くにサラがいた。


 そしてその腕で抱えているのは。


「ナルミ……」


 魔法で眠らされたのか、物理で眠りに付かされたのかは別にしろ、大人しくしているナルミがいた。


 ナルミの手の甲にはひっかき傷がある。

 おそらく俺が付けたのだと思う。


「すいません。すぐに止めても良かったのですが……」


 ナルミが正気に戻る方に賭けたのか。


「俺も多分そうしたと思う。気にしていない」

「ガクさん……」

「だから泣かないで、サラ」

「はい」


 苦しかったのだろう。

 俺が首を絞められているのを只々見ている事が。


「握りこぶしに力を込め過ぎて血が出てるじゃないか……」


 爪が肉を裂いてしまったのか。


「ガクさん。私は……」

「大丈夫だよ。大丈夫」


 サラの頭を撫でる。


 サラは落ち着くとナルミをベットに寝かせた。


「彼女は『排除』の言葉をずっと口にしていました」

「そうか」


 俺を排除、殺そうとしたのか。


 それが彼女の本心ではない事は分かる。

 だが、そうやって生きて来たのは事実なのだろう。


 あの力は頭のリミッターが壊れてしまっている。

 俺はこれでもステータスが昔に比べればビックリするぐらいに伸びている。


 普通の女の子の力に負けるはずがない。


 異常だ。


 俺は首を撫でながらそう思う。


 そして考えてしまった。

 一番考えてしまってはいけない事を。


 それからサラは俺のベットで寝てしまった。

 ルアンも危険があるので俺のベットに移動させた。


 俺は寝る気がしなく、椅子に座り朝を迎えた。


 朝の朝食を終えてナルミに昨晩の事を伝えた。


 もちろん俺にもナルミにも傷はない。

 サラが治したからだ。


「わ、私……」


 案の定、泣いてしまった。


 言うか言わないかを迷ったが、結局言う事にした。


「俺もサラもあの出来事が君の本心でない事は分かっているから落ち着こう」

「は、はい」


 しばらく沈黙が続く。


 しばらくして口を開いたのはナルミだった。


「きょ、今日から一人で寝ます」


 俺とサラは目を合わせた。

 このままの方が良い。


 そう思った。


 だが。


「分かった。そうしよう」

「はい」


 その日のうちに宿屋の店主に隣の部屋も借りる事を伝えた。

 空いていたのですんなりと鍵を借りてナルミの渡した。


 だが、基本的な行動は俺たちと一緒だ。

 まだ自由行動はさせられない。


 ある程度準備をしてサラとルアンの洋服を取りに行く。


 馬車に乗るが、ナルミはサラの隣に座っている。

 俺は出来るだけ距離をあけて座った。


 しばらくして服屋に到着。


 せっかくなのでナルミの服も買う事にした。


 最初は謙遜していたが、サラが連れていった。


 やっぱり女の子だ。

 笑顔で洋服を選んでいる。


 俺は店員さんに注文した服を貰った。

 ルアンの服だけだ。


 サラのブラを俺がもらうと後でパンチを食らうからな。

 

 ルアンの洋服の一着はすぐに着せた。


「よくお似合いですよ! ルアンちゃん」

「えへへ~。ガク、にあう~?」

「あぁ! 可愛いぞ、ルアン」

「やった~。あははは」


 ワンピース型の服であまり装飾に派手な色は使わず、質素な感じで作らている。

 ルアンの可愛さがグンっと上がる一品ですな。


「そうだ。この子のパンツも作ってもらって良いですか?」

「あ~。そうですね。分かりました」


 ルアンはクルクルと回り洋服が嬉しい気持ちを表していた。

 

 ルアンにやっと服を作ってもらったが、下がスッポンポンじゃ痴女扱いになってしまうからな。

 ちゃんと作らないと。


 回り過ぎて目が回ったのか、大の字で横になっている。


 サラ達も服が決まったようで、持って来た。


 そして俺の検品をくぐったモノが購入になった。


「ガクさん、酷いですよ~。私が選んだ洋服を戻しちゃうなんて……」

「俺には股間に白鳥を付ける趣味は無いの。どこで見つけたんだよ、あれ」


 あんなモノマジで見るとは思わなかった。


「だって、ナルミも良いて言ったんですよ~」

「え、えぇ!? わ、私は独創的な洋服としか……」

「褒め言葉ですよね」

「え、えぇ~!?」


 独創的な洋服ってなんだよ……。


 それに言わせてるって感じがするぞ。


 ま、会計はカードで済ませて一旦帰る事にした。


 その後は女性陣によるファッションショーが開催された。

 隣の部屋で着替え、俺がいる部屋に来るだけのものだが、思いのほか楽しく、時間を忘れてしまった。


 ナルミも恥ずかしながら着替え、サラと一緒にポーズを決めていた。


 もちろんカメラ担当は俺。


 一段落してから晩ご飯を四人で食べた。


 俺に対してまだ警戒心はあるが、どうやら少しは俺を信用してくれているようだ。


 今日は早く寝ようと思い、俺はベットに入った。

 ルアンも今日は俺と一緒に寝るそうだ。


 サラはナルミが心配なので寝るまでは一緒にいると言って隣の部屋に行ってしまった。


 今日の様子を思い浮かべる限りでは問題なさそうにも見える。


 そう思っていたらサラが戻ってきた。


「ナルミさんはお休みになられました」

「そうか」


 少しサラと他愛ない話をして寝た。


 次の朝、サラがナルミを起こしてくると言って部屋を出て行く。


 俺は何も知らなかった。

 ナルミの心も考えも。


 それを思い知ったのは、戻ってきたサラの言葉だった。


 サラはフラフラと部屋に戻り、こう言った。


「ナルミさんが……。冷たくなっていました」


 俺は頭が真っ白になった。

 

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