入学初日
今日、四月七日、春の花が咲き乱れるその日、そうここ魔法学園エンデュミオンの入学式あり、そのため私は少し早めに寮を出て講堂へ向かったのはいいが・・・、まだ準備中だから中庭で花を眺めながら待っていたら寝ており、起きて講堂に行けば入学式が終わっていた。でもなぜか私たちの一年Gクラスはまだ講堂に残っていた。
「全員、集まったところでGクラス特別オリエンテーションを始める。まずは俺の自己紹介だ。俺は、お前らGクラスの担任のコンゴウ・マーメイルだ」
この担任、一言で言うとマッチョ、ものすごいマッチョ、筋肉で服が破けるのではないかと心配になるくらいのマッチョ、そしてなぜか仮面をしている。この人、堕天したりハガンになったりしないよな。
「遅刻してきた女、お前だ、今回は見逃すが次は無いと思え、そして答えるときの挨拶はサー、イエッサーだ」
「サー、イエッサー」
「よろしい、では今から旧校舎へ行くぞ」
どうやらここで行うわけではないようだ。私たち先生を含め十一名は旧校舎へ移動した。
「君たち十名は、これより旧校舎の地下ダンジョンにもぐり、奥にある君たちの生徒手帳を取ってくること。なお、地下には我々が放った訓練用魔物がいる気をつけていくように、それと入学初日から大怪我なんてしてたらこれから先、Gクラスなんてやってられないぞ。あと校門前で君たちから預かっていた武器はそこにおいてある。準備が出来次第、一人で行くもよし、パーティを組むのもよし、君たちの好きなやり方で行きたまえ、俺からは以上だ」
校門前で武器を預かっていただと・・・私が校門を通ったとき誰もいなかったぞ、どういうことだ。まあいい素手でも訓練用魔物ぐらい倒せる。一応、私が持つ装備を確認しておこうと、いっても回復薬が入った小型のアイテムボックスしかないが、まぁ、必要になったら次元倉庫から武器などを引っ張り出してこればいいだけしこんなもんでいいだろう。
「イセリア、一緒に行きましょう」
「ん?ああ行こうか、リンデ、君もいいか」
「ええ、わたしは姫・・・ユーリとともに」
ともに寮に入ってからユーリのやつ、自分のことは名前で呼ぶようにと迫ってきたときはどうしたものかと思ったが、まさかリンデにまで強要していたとはな。案外全員に王族としてのユーリ・エンディミオンではなく一個人のユーリとして認識させる気かな。
「どうやら他の奴等もパーティを組んで地下に降りるようだな」
「そのようですね。イセリアちょっと聞きますが武器は何ですか」
「私は訓練用魔物ぐらい素手で倒せる。私が持ってるのは回復薬が入った小型のアイテムボックスぐらいだな」
「アイテムボックス?どこにありますの」
「このポーチがそうだ」
「すごい、まだこのサイズのアイテムボックスは試作されていてもまだ完成されていないはず、いったいこれをどこで、それと訓練用とはいえ魔物を素手で倒せると本気で言っているのか!!」
リンデの声で皆がこちらを向きながらなんか言っているが聞き耳を立てないことにする。聞こえてくる内容はまた歳のだったから。一応制服着ているから歳相応に見えるよな。いや気にするな、歳は気にしない、歳は気にしない、歳は気にしたくない。
「このアイテムボックスは自作だ、そして本気か冗談かと聞かれたら本気と言っておこう。これでも武器を無くした時でも戦えるよう師匠たち鍛え上げられたのだから。それで、えぇとユーリそんなので戦う気か、リンデと同じく剣とかじゃなくて」
「?このナイフじゃだめですか?」
ただの市販のナイフじゃなぁ、護身用の武器にもならないからなぁ、ユーリに前衛はできないから後方から術で援護でも、いやだめかユーリは術が使えないから、よし、アイテムボックスを持たせて、アイテムによる支援をまかせるか。
「そのナイフではすぐに折れるから、私のアイテムボックスを使って私たちを支援してくれ、はいこれ、中身は、初級、中級、上級の回復薬がグミ状のやつが計四十五個とポーションやつが計四十五個、他は霊薬エリクシル十五本ぐらいかな」
二人は霊薬エリクシルの名を聞いて驚愕していた。
「いっ、一本がエンデュミオン一年分の国家予算に相当する。れ、霊薬エリクシルが十五本・・・、でもこれは、ほ、本物か?」
「こ、これを持たせてくれるということはそれだけ信頼してくれている証、無くさないように、無くさないように、無くさないように・・・」
二人ともかなり動揺しているようだ。そして他の奴等は身がもたないと思ったのか、すでに出発しているようだ。
「お前たち早く生徒手帳を取りに行けよ。他の奴等は行ったぞ。それとなんでそんなに動揺しているんだ。何かあったのか?」
「え?先生は聞こえてないんですか?」
「ああ、突然お前たちの声が聞こえなくなったからな、消音の魔法でも掛けたのかだとするとすごいな、この俺に発動を感知させずに魔法を使うとは、このクラスの今後が楽しみだ。ハッハッハッハッハ」
これを気に私たちは旧校舎の地下の奥にある生徒手帳取りに行った。
「地下に入る前に確認しよう。リンデは前衛、私は後衛、ユーリはアイテムによる支援、ところどころで私とリンデは前衛と後衛を入れ替える。これでいいな」
「はい!!!」
「そうそうユーリにはこれを渡しておく」
私はスマホ状の物をユーリに渡した。
「これは何ですか?」
「これは自動マッピング装置と言って、持っている人物の神霊力を糧に起動する。使い方はこれを持ってダンジョンに入るとダンジョンを自動でマッピングしてくれるという物だ。過去にいったことがあるダンジョンのマップも見れるから、もう一度入るときに入ったときのマップデータを呼び出せばいいだけから、マップが破けて使い物にならなくなったりしないからかなり便利な代物だ」
「またとんでもないものが出てきましたね。これがあれば冒険者が新たにマッピングするさいかなり楽できますね。これも自作ですか」
「いや、これはもらい物だが、作ろうと思えば作れる。使い方は簡単だからすぐ使いこなせると思う」
そして私はユーリに使い方をレクチャーした。
「使い方はわかりました。行けます」
「旧校舎地下ダンジョンの奥にある私たちの生徒手帳を取りに行こう」
「「おー」」
私たちは旧校舎の地下ダンジョンへ挑んだ。
ふと思うと今更ながら何で私が指揮取ってんだろう?
イセリアは異世界の技術を出し始めました。
次回、旧校舎地下ダンジョン