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序章的な邂逅

はじめての投稿です。拙い文章ですが、読みにきていただいて感謝です。

ぐるりぐるり廻ってまざる――


手と手と羊と足が上で頭から落ちる。

落ちる、黒い霧の中をもやもやもやと

目の前が真っ黒な、霧、霧、霧に囲まれて、もやもやもや__


「おはよう、今日も最悪の寝起きだよ」


 誰に言うまでもなく、ひとり呟きながら眠たい目をこすり、まわりを見渡すと

寝起き様に振り回しまくったせいなのか、

あたりの木々はメッタメタだが、仕方ないよね運命だ。

気分は最悪だけど、調子は良いのがいつもの日常。


「さて、今日は――何しようかなぁ」


 体にまとわりつく黒いわたのようなもくもくしたものを払いのけると

徐々にあらわれてくるのは白いローブのような服を着た姿

ちょっと大きすぎるローブに隠れるように、埋まっていた手をのばしても

まだ裾はあまり気味で、指は半分みえるくらい。

 足元は結構ごつい黒光りするようなプレートがあわさったブーツを履いているが

足取りは軽やかだ。


「んっじゃぁ、今日も壊しに行こう!」


 目的が決まり、早くも走り出した白いローブがバタバタと風になびくと

これからの景色を先取りするように――ギリギリギリィィィイイ――と何かがぶつかりその度に

横に並んだ木々に亀裂がはしる。

そんな不吉な傷跡を刻み込みながら走る先には――町がみえてきた。




……にわかに慌しくなってきた門の前に何人かの武装した者たちが配置につく姿をみて、またかと町の人たちも状況を把握して、足早に身近な建物にすべりこんでいく。


「来たぞ、いつもの時間より少し早いが、配置につけ!」


 門の脇にある、少し高い位置に組まれた足場の上にいた、見張り役から合図をもらった武装集団の長が、

手にもった槍でまだ遠くにある目標を差しつつ呼びかける。


「……まったく、なんなんだいったい」


 肩にかついだ弓をおろし、弦の張りぐらいを確かめながら1人の男がもらすと、つぎつぎとそこら中から声があがる。


「だな、何が目的なんだあれは」


「どこから来てるんだ、調査はどうなったんだ」


 ぶつぶつと言いながらもしっかりと準備は進めている隊員達のことを確認した隊長格の男が、再度見張り役に目線をやると、ちょうどこちらに合図をおくっているところだった。


「きましたァ、いつもの黒い奴です、今日もアレをもってますぜ!」


そう叫びながら指差す先には、黒い――


――黒い黒い黒い黒い雲がもくもくと噴出してさながら墨汁をまきちらしかたのようにあたり一面、真っ暗に染まるが、そこだけ、そう、走る後だけ黒く黒く暗く染まる。


 町の門からまっすぐに伸びた街道に少し離れた位置に順番に植わっている街路樹との間を、ソレは町へ向かって駆けてきた。


 ずっと先からすぅ――――と、一筆書きしたかのように黒い線が、黒い雲状のもやもやしたものが町に向かって伸びてきていた。


 その先端にひときわ黒く、黒い、暗い真っ黒な丸焦げになったような黒いぐしゃぐしゃしたものが、動いている、蠢いている、ただひたすらに町へと近づいてきている。


 もくもくとつづく雲をひきつれながら、せまる黒いものの姿が、町へと、門へと近づいてきたときにふと目にはいるのがその黒雲からするりとのびた金属的なものの存在。


 どこかで見たことあるソノ形状は、先端が緩やかにとがりながら、根元が幅広く、広がった三角の金属の反り返った板がついた灰色をしたソレは棒のようなものに形をかえてするすると伸びて黒雲へと収まっている、その姿は、

――そう! 土を掘ったり、岩を砕いたり、門を破壊したりするのに? 便利な金属的なアレだ!――


「アレだ! スコップだ!」


 ひとりの男が叫ぶ声を掻き消すように、黒雲が門にぶつかってきたかと思うと

――ガキィィイイイイイイイぃぃぃいいぃいいいいんんん――


 と、甲高い金属音とともに、分厚い石を積み上げてつくった門から東西に伸びる石壁の一角を

 ぶち抜くスコップ! 先端がスコップ! 石壁からスコップ!

 

 ものの数秒で、砂煙があがった壁には、ふらりと立ち寄った旅人も思わずくぐってみたくなるような無骨で巨大な穴が黒々と現れた。


「囲め、囲め、ただし近寄るな、距離はとれよぉ」


 隊長格の男がそう口早に指示をだすと、武装した男達が砂煙のたちのぼる石壁へとわらわらと移動する。





「んん? なんだ、騒がしいな」


 ちらりと遠くの、町の入り口のある方へと顔を向けるがここからは、遠すぎて何も見えない。なんとなく金属音が聞こえたような気がしたが、なんだろう。


「ここ数日、町で聞くアレが来たのか、なんだ? 気になるな」


 すっともちあげた手で耳の上に少しのびてきた金色をした髪のひとたばをくるくると巻きながら頭をかるく斜めに倒しながら考えるが、やっぱり気になる。


 くるくるとまわす、すらっとのびた指は意外と白くてあまり日に焼けてはいないようだ、そのまま白くつづく手首から先は、更に真っ白なそでをもったシャツにつつまれて肩口までいくと今度は濃い青色をしたベストに切り替わる。

 

 なかなか綺麗な生地を使っているベストはその下にあるシャツとぴったりとあわさってあまりガッチリとはしていない身体には、とても似合っていた。


 白いシャツと青いベストと対象的に下には黒いスラックスのようなズボンが丁度いいくらいのサイズで足をつつんでいるようだが、すぐに目につくのはその細い腰周りにぐるりとまわされているごつい皮のベルトと、ちょうどベルトの横の部分にささっている円筒形の細長い筒が数本、そのまま後ろへ回ると腰からお尻のあたりをガッツリと覆うようにベルトにひっついているなんだか無骨な金属製の物体。


 綺麗に磨かれているのか、表面でかるく光を反射しているが、ソレとソレがついているベルトが巻きついている身体とのアンバランスでとても目に付く品だ。


 後ろ手で腰にぶら下がる金属製のソレに触れて、少し安心したのか。

くるくるとまわす指をおろすと、……ふぅと軽く息を吐き、きゅっと淡いピンク色をした口元を引き締めながら


「よしっ! やっぱり見てこよう、何かつながるかもしれないしな」


 少しトーンの高い声で決意をみせると、昼間なのに人気が少なくなりつつある大通りを町の入り口へ向けて駆けていった。




『……穴を掘るぅ、穴開けるぅ、ぶっさすぅ、ぐっさすぅぅうう、ぐりっとぐりぃびじぇいりじえぃじ』


 真っ暗な分厚い闇の中を激しく振り上げる金属の棒状の何かがぐりぐりと道のようなものを創り出しながら、ぐるぐると黒く黒く黒いめぐるましく動き回る思考が延々とつづいて――


――カッシャーンという鋭い音が、何か金属が落ちて跳ねたような音が、黒い雲がそれを聞いて、黒くもやもやとした雲をまとう姿が、土砂をぶちぬき地面から飛び出してきた。


 古いレンガ造りの教会の前、町の入り口からは数百メートル離れた場所は

教会のまわりに生えて大きく育った木々と、大通りからは少しはいった住宅を数軒はさんだ先にあったこともあり、まったく人気もなくひっそりとしていた。

 

 そんな平和な場所に突然の、地面に――


 大穴、土煙、


 黒くもやもやして湧き上がる雲と、


 黒いぐしゃぐしゃした布が集まったような何かと


 地面から少し浮いた位置にずらっと水平に構えられた灰色の三角形の金属板が反り返ったところから伸びる棒状の何かを掴む


 ――手。


 その手がある黒布のもくもくした雲が立ち上がり地面から湧き上がる頂点の付近に、赤く紅く黒紅い硝子のような赤暗い二つの双眸が、ギラギラと見据えているのは、先ほどの鋭い金属音の発生源。




「うわぁっ、つっ、何、何、何、黒いの何? アレ何? ……もしかしてヤバイのか」


 駆け出してすぐに、後悔へとつながるとはなかなかに珍しいこともあるものだと、ふんふんと心の中で何度もうなづきながら、右手で拾って必死に構えた金属の塊が何とか、慌てまくった心に平穏をつなぎとめていた。


 ちょっと落としたものを拾っている間に突然地面から大穴を空けて現れた黒い奴に一抹の不安を隠しきれないながらも気丈に話しかけられたのは、右手の信頼をよせる品と、いっぱしの好奇心からなせるものなのか。


「おい、黒い君、アレは君が掘ったのか、凄い穴ができてるぞ」


 突然地面からできてきた黒い雲が、のそりと蠢いて、こちらに向けられた灰色の三角形の金属板が、すこし浮きあがったように見えた。


「町の入り口のあたりが騒がしいのも、君の仕業だろ、――もしかして掘ってきたのか? ここまで」


 よくみるとこちらを向いている金属板はスコップ? ってあの、なんていうかスコップ? なんで……


「話はできるんだろ、手と目がみえてるし、その黒いもくもくしたのはなんなんだい? 煙?」


 じっと黙っていることができずに、つい質問してしまっているが、実は気を逸らす事が出来ればという思いもありつつで、その間に、左手は腰のベルトにつけた数本の筒のうちのひとつをうまく掴んで抜き取ることができた。


『…ううっ、装填しておくのを忘れてた、うまくできるか? こんな緊迫した場面は、想定外だな…』


 意識が左手の筒に流れて目線が一瞬手元に動いたその瞬間――

白いシャツと青いベストに覆いかぶさるように黒い雲が迫っていた、


「なっ、早っ、と近いっ、これは何? 綿? 黒いっうッ……」


 右手は握り締めた金属のものごと、一瞬にしてギリギリと強い圧力をもったスコップで、地面に押し付けられ体勢は無理やり片ひざをつき、左手は筒とあわせて黒い布からのびた手に掴まれていた。

 

 もくもくと立ち昇る黒い雲のようなものがまわりをぐるりと取り囲みつつあり、視界がまるで闇に埋まるようにじわじわと黒く黒い暗い夜のような、まわりが侵食されて


『黒いのが何でこんな、息苦し、くっ、手がうごかな……ヤバイ』


 赤い紅黒い黒いローブの奥にある双眸と、黒い雲の合間から、かすかに目があったとき、黒い奴はこう言い放った。


「ねぇ、ソレ食べてもいいィ?」


――――――――――――――――――――――――


読んでいただけるだけで、もう、感謝、感謝です。

なんとかつづきを書いて、勉強していきたいと思います。

また読みにきていただけると幸いです。

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