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エルフの里1-3出発準備は完了なのですが


 とりあえず話が纏まった後、一同は木の中を案内された。話を聞くと一本の木だけでなく、根の部分が繋がっていて用途により色々な場所があるらしい。


 日が落ち始める頃、装備を整え終わり出発の準備に掛かっていた。


 作戦はこうだ。最初に陽動部隊が城の付近へ奇襲をかけ、衛兵の気を引く。その間に別働部隊が城への隠し通路を使い進入。王女の身柄を確保して逃げる。


 王女の身柄さえ確保出来れば良いので、直接大臣を狙う必要は無いとの事だ。


 作戦を聞き終え、服装を闇夜に紛れやすい黒へ着替える。


 「ナんだー?  こんなのが別働部隊の主力で大丈夫ナのか?」


 着替え終えたソウタに声をかけたのは、小麦色の肌に黒髪の少女。自分と同じくらいの年だろうか。明らかに白い肌に金髪のエルフとは姿が違う。


 「なんだお前、エルフじゃないのか?」


 「ハッハッハッ、土霊族(ドワーフ)の事も知らないナんて、お前よっぽどこの世界に来て日が浅いナー?  異世界くささが丸出しナんだナー」


 そう言って、ドワーフの少女は高らかに笑う。


 「つっても、何でエルフの国なのに他の種族がいるんだよ? 」


 「ハッハッハッ、ドワーフは建築に長けた種族ナんだナー。ここら一帯の樹の根を繋いだり、工事したり、皆んな私達の仕事ナー!」


 なるほど、エルフが木の中に高度な家を作った訳では無いのか。とソウタは考える。


 「それで、そのドワーフさんが何の御用だ? 」


 「コラコラ、ちゃんと私名前あるナー。エリーナ言う名前ナー。何て事はないナー」


 唯の暇つぶしだナーと言い、颯爽にエリーナはその場からいなくなった。


 何だったんだ……とソウタが呆然としていると、またも来客が来た。


 服を着替え、用意を終えた後のリリスだった。


 「ねぇ、ちょっといい?」


 「なんだよ、妙に改まって」


 ソウタがそう言うと無言でリリスは隣へ座る。


 「本当に……また戦うの?」


 そう言うリリスはいつものような強気な表情と態度は見て取れず、とても弱々しかった。その髪が赤くなければ悪魔などとは違う、普通の女の子のような。


 「そりゃ、戦うしかないだろ。そもそも俺が異世界に呼ばれた理由はその為なんだから。今更どうしたんだ?」


 俺の言葉を聞いてからリリスは黙り込んでしまう。


 「……うん、そうだよね。やっぱり」


 少ししてそう言った後、リリスは立ち上がり「もう行くわ」と、そのまま行ってしまった。


 「一体なんだったんだ?  変な訪問者が随分多いな……」


 ソウタから離れ、聞こえなくなった位置でリリスは一言呟いた。


 「……死ぬのが怖いなんて……ダメよね……」


 後にフィリアから召集がかかり、戦う全員が広場のような場所へ呼び出された。


 「なっ……お前も行くのか?」


 ソウタが驚くその先には、同じく全身を黒い格好を纏った少女。先ほどと同じように高らかに笑うエリーナの姿があった。


 「ハッハッハッ、同然ナ!  これでも私、ここでドワーフの族長やってるナ!  なめてもらっちゃ困るナー」


 一同が騒めく中、フィリアが姿を見せると全体が静まり、広場に

緊張感が走る。


 「何であんな女の子がリーダーをやってんだよ?」


 ソウタは疑問を横に並ぶエリーナへ投げ掛けた。


 「何でもナー、彼女は城で下働きしながら王宮内の事を探ってたらしいんだナ。彼女の情報が無ければ私達、何も知らないまま戦争に駆り出される所だったナ。おっと、そろそろ無駄話も終わりだナ」


 フィリアが左手を掲げ、振り下ろす。


 「出発です!」


 フィリアの合図で広場の人数が別々に動き出す。ソウタ達はフィリア、エリーナを加えた何時ものメンバー。ソナタは残ったほうが良かったかも知れなかったが、本人が離れるのは嫌だと言って聞かなかった。


 そんな訳で木の根の通路を通り城の中へ向かう。しかし、この時誰もが知る由も無い。危険な火種が起こる前兆が潜んでいることを。


ーー時は少し遡る。ソウタ達がエルフの国へ入った少し前、木っ端微塵の瓦礫と化した城の片隅にその二人は座っていた。七大罪、サタンとベルフェゴールだ。


 「酷いっ!  いくら何でも他にやり方があったんじゃないの?  私に魔蒼炎を使うなんて荒技!  傷口ごと私の魔法で消さなきゃ今頃灰になってたわよ!」


 ベルフェゴールは、そう言って怒りながらサタンの頭を叩く。なお、サタンは神化の影響により魔力を使い切ってしまった為、殆ど動けない状態だった。


 「仕方ないだろ、流石に絶対法則相手じゃあ中途半端な攻撃は吸収されちまう。あれしかなかったんだよ」


 「うるさいっ!  あーあ、聞こえませんっ!  大体私が居なかったらここら一面吹っ飛んでた所よ!」


 馬鹿野郎、何言ってんだよと、サタンはベルフェゴールに向き直り、


 「お前ならやってくれると信じてたぜ!」


 思いっきりキメ顔でベルフェゴールに言った。次の瞬間、サタンの顔に先ほどまでのポコポコと言った擬音の聞こえて来そうな攻撃では無い、全力のベルフェゴールによるストレートが打ち込まれた。


 「ぐふっ……殴ったね……父さんにも……」


 再び左ストレートがサタンの顔に放たれた。


 「古いネタ使ってんじゃねぇよ!  このクソ魔王が!」


 「そんなに怒るなって……悪かったっば……」


 サタンは頭を下げて謝る。


 「悪かったってばよ」


 「もういい、死ね」


 今度は真剣に魔力を拳に込め始める。リリスがソウタに使った物と基本的には変わらない。魔力を纏わせて攻撃力を上げる基本魔法。だが、ベルフェゴール並みの魔力の持ち主が使うとその破壊力は尋常では無い。


 「お前が古いって言うからだろ!  俺はNARU○TO好きだったんだよ!」


 補足になるが、四賢人の一人、彼のもたらした発展、勿論それは魔法の発展もある。それ以外の大きな功績として彼のスキルにより、異世界にも多量のラノベや漫画が流通する事となった。なのでサタン達異世界人もこのようなネタはご存知なのだ。


 ふう。と、ベルフェゴールがひと息ついて本題に入る。


 「それで……行くんでしょ?  エルフに会いに」


 「ああ、お前の言う事が本当なら放って置けない事件だからな。結局、獣人族の城には王も王女も全く居なかったんだからな」


 「じゃあ、行きましょう。転送の準備は……」


 そんな二人の声に、突如足音が聞こえた。


 「いやぁー、相変わらずやってるねー。アツアツじゃないか二人共」


 金髪の髪だが、確かに人間の少年。異世界の服を纏い、銀色の杖を持つ小柄な少年は微笑ましい笑顔で二人に話しかけた。


 「何の用だ……レノウ。ランキング1位様がこんな所で何してる」


 この少年こそ、見た目に反しこの世界の頂点、最強の天才、レノウ・アルティミシアである。


 「にひーっ、そりゃ、僕は一応管理者だからね。一位としての責任がある。だから、二人を止めに来たのさ」


 「止めにだと?」


 「ああ、今は君達の出る幕じゃ無い……徐々に世界がうねり始めているん……」


 「じゃあ、サタン。この円の中に……」


 喋る一位を無視して二人は魔法を展開させようとしていた。


 「ええっ!  ちょっと!  まさかの無視?!  久しぶりの再会だってのに酷くない?」


 半泣きの少年を二人は腫れ物でも見るような目で、


 「はぁ?  何が世界がうねり始めているだぁ?  厨二病発言も大概にしとけよ、痛いだけだぞ」


 「ねぇ、レノウ。それかっこいいと思っているなら言ってあげるわ。ダサいだけよ それ、痛いだけよ それ」


 「え?  つか何?  その杖。いるよねー異世界デビューする奴。使えもしないのに豪華な物持ちやがって。お前などひのきのつえで十分なんだよ!」


 「本当、ガキが異世界来て、管理者だのどうだの止めてくれない?  そんなのは自分の設定ノートの中だけにしといて欲しいわ不愉快よ、目障りよ」


 折れた。一位の精神は二人の悪魔によって文字通り折れた。ガックリと膝を項垂れ一位、レノウ・アルティミシアは地面に崩れ落ちた。


 「うううっ……ひどい……僕はやるべきことをやってるだけなのに……僕は……」


 「ホラッ、すぐ泣く。そんなのはな少女漫画のいじられ役のキャラなんだよ!  この場でそんなキャラの需要はねぇんだよ!」


 「いるのよね。こういう女性読者から可愛いとかいわれて支持を得ようとする奴。ハッキリ言ってゴミね。モブキャラ以下よ。颯爽と登場し、回想場面が流れて死ぬモブキャラ以外の存在よ」


 こんな感じの二人のイジリが永遠と、飽きるまで続けられるのであった。


 


 


 一位です。はい。急に出てきましたが一位です。彼の強さは後々分かるので……多分

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