人喰いの森1-8 終幕と始まりは同時のようですが
部活の公式戦終わったので、年末にかけてこれからも頑張ります!
「さて、作戦会議は終わったかしら? 隠れているお二人さん」
向こうにこちらの存在は知られている。
「上等だ、望むところだぜ。ルナっ!」
ルナがスキルを発動させ、高速の風が茂みの向こうを切り刻む。凄まじい音と共に、強烈な突風が付近全ての草を吹き飛ばし、初めて敵の姿が目視出来た。
その姿は黒いドレスに同じ色の黒髪、自分より背丈がある為、少し年上だろうか、手には白い杖を持っていた。顔はフードを被っていて見えない。
突風は彼女を捉えた筈であったが、彼女の後ろには草木が残っていた。本人も無傷である。
その後ろでは魔法陣のようなものに傷だらけのロゼが座っていた。見た所、少しづつ魔法陣の光が強くなって行く。
ルナの攻撃に続けて女に剣を向け、走り出す。用は魔法陣が完成するのを防げば良いのだ。なら俺のスキルで魔法陣に触れれば破壊出来る筈だ。
距離を詰め、残り数メートルまで近づき、剣を握る手に力を込める。
ここで女が杖をこちらへ向ける。
『火炎』
女の一言で杖が赤く光り、杖が炎の剣と化した。俺の剣を受け止める。
魔力の通ったものならば切断出来る、現に剣を受け止めると同時に炎の剣は消滅した。追撃の為に剣を振り上げる。
『氷結』
一言、女がそう呟くと同時に空中に氷の柱が出現した。女を叩き切ろうにも今では氷柱の雨で串刺しになる。急ぎ落下点から体を滑らせ緊急回避する。
回避行動と同時に十数本もの氷柱が空から地面に降り注ぐ。かなりの攻撃範囲に、回避が遅れたせいでよけきれなかった一本の氷柱が腕を貫いた。
激痛が腕を襲うが、今はそれを気にしている場合では無い。しかし、攻撃はこれで終わりでは無かった。突然痺れと痛みが体全体に走った。それが電撃による攻撃だと数秒の後に気づき、体に走る攻撃を切断する。
『電撃』
「ぐうっ……あっ……」
俺のスキルは魔力を切断する。しかし、既に受けたダメージを消せる訳では無い。先ほどの氷柱にしても、魔力を通わしている剣か腕で触れれば破壊出来るが、その前に体を貫かれた場合ダメージは残る。
体の痺れとダメージが残り、立ち上がる所にルナが来て体を支えてくれ、そのまま距離を取る。
風の刃で敵の攻撃を封じつつだが、風の刃は敵に当る前に何故か消滅してしまっていた。
「ルナ、あいつは何者だ?」
「正体は分かりませんが……魔術師ですね。これほど多彩な攻撃がスキルによるものだとは考えにくいです」
炎と氷と雷撃の同時攻撃に風の打ち消し。確かに、多彩な魔法を覚えていると言うならば納得できる。
こちらが攻撃を中断した事で、フードを被ったまま女が口を開く。
「もうずく魔法陣完成するけど……あなた達どうするつもり?」
地面に描かれた魔法陣が先ほどまでより大きくなり、光もより一層強くなっていた。
「ふざけんなよ……お前らを逃がすわけにはいかねぇんだよ……動けなくしてでも捕まえてやる!」
その一言にルナも改めて剣を握り直す。
「まあまあ、落ち着きなさいって……もうずくってのは私の感覚でどれぐらいだと思う?」
そこで一気に魔法陣の光が強くなり、ルナがそれを見て叫んだ。
「いけない! 少年!」
俺はルナの声と同時に走り出していた。後ろからルナの風を受けて、一気に加速し、斬る。
が、既に時遅し。
俺の剣は空を切り、二人の姿は少しづつ消え始めていた。下の魔法陣を剣で突き刺すが、発動した後のようで、魔法陣は一人でに光を弱めて行く。
消えて行く二人の残像から最後の声が聞こえる。
「まあまあ落ち着きなって、この作戦の本当の狙いはお前らじゃあないんだ。私を捉えなくとも目的は達成出来るだろうよ……次会う時は……」
そして女の姿が完全に消える寸前に、
「リリスに宜しくね」
そう言って二人の姿は完全に消えた。
諦めと疲れで俺とルナは同時に倒れこんだ。夜通しの戦いに二人共疲れ切ってしまっていた。
「少年よ、私は魔力切れだ。もう動けない……ソナタ様は無事か?」
「そうだっ、リリス! 大丈夫か?」
不安混じりの呼びかけの返事は二人の足音と共に思いの他早く帰ってきた。
「ソウタっ⁈ 無事なの? 魔力の反応がしたから駆けつけたんだけど……」
今度こそ、四人が無事だと言う事実。思わず安堵の溜息が出た。
「今度こそ……大丈夫だ」
リリスの横にいたソナタもルナの元へ駆け寄り、思わず泣きついていた。
「ルナぁぁっ! 無事なんだよね? ねぇ? 良かったあっっーー」
「……ソナタ様」
全員が座り込み、互いの無事を喜びあった。
「ルナ、俺もうクタクタなんでさ……色々あったけど、とりあえず寝てもいいかな?」
その一言にルナも頷く。
「同感です……ここは……ひとまず……体力を……」
俺とルナは同時に眠りに落ちた。
そして、戦いで平野になった森に朝日が出た頃、4人は皆、体を寄せ合い寝静まっていた。
ーーーー
豪華な白の中、巨大な会議室の中でベルフェゴールとサタンの二人は座っていた。
裁判だと言うのにそんな雰囲気は微塵も見せないベルフェゴールは緊張する獣人族の議員数十人は唖然とその光景を眺めていた。
なお、先に2人を連れてきた獣人族の犬耳武官、名をフォルスと言う。
彼は即座に任務を終えた為に報告へ行きたかったのだが、ベルフェゴールに帰る所を捕まり、この国を案内しろと言い出したまさに悪魔たる発言により、2人の横に座っていた。
この件は上司に報告したものの、7大罪の発言を課長クラスの物が決められる筈も無く、こうしている次第である。
そして、2人は公衆の面前だと言うのにラブラブであった。
「はい! サタンっ! アーン」
そう言ってベルフェゴールが手に持つプリンをスプーンで掬い、サタンの口元へ近づける。
「……いい加減にしろよ……お前ここがどこだか分かってるのか?」
全力拒否するサタンを無視して笑顔のベルフェゴール。
「えーっ、私には場所とか関係無いしーっ、それともサタンはこっちがお好き?」
そう言ってベルフェゴールは自分の胸元を見せてその上にプリンを零すような仕草を取る。
「こんな風にーっ、私直接からご飯を食べる方が好きだったりするのっ?」
「うん、そっちの方が好みだ」
サタンは真顔でベルフェゴールの問いに返答した。
好みなんかーい! 何だよっ! やってみてぇよ畜生!
と、フォルスは心の中で突っ込んでいた。
「だが場所が場所だ。そう言うのは外出中の時だけにしてくれ」
やっぱ場所の問題かよ! 後でやるのかよ!
こんなツッコミをフォルス は何度も入れ続けて心の中で勝手に疲労しきっていた。
「その調子でっ! 私の事も食べちゃって良いのよっ! 性的な意味で」
ベルフェゴールの魅惑たっぷりの誘惑に、サタンは初めて首を横に振った。
本人もそれで何かを悟ったようで、
「……やっぱりまだ……そうだよね、抜け駆けはダメか」
先ほどまで、出会ってから初めて彼女の陽気な勢いが失われた。何かあるらしいと悟ったフォルスだが、その事を知る由もない。
2人が落ち着くと同時に、突如扉を開き、黒ずくめの2人組が入ってきた。身長も体格も平均的、服装以外に目立った特徴は無い。
その2人に獣人族の議員が騒ぎ出す。
「何者だあれは……」
「また変な奴を入れたのか……入り口の番兵は何をやっている」
「裁判員はまだか……」
そんな声が聞こえる中、魔法道具のマイクを持った一人が口を開いた。
「えー、お待たせして申し訳ありません皆様方……とりあえずは」
男の声。低くも無いが高くも無い。そんな声の主はそう言って一礼し、一言言った。
「死んで下さい」
サタンとベルフェゴールの掛け合いや話、もっと書きたいです。過去編を入れるかそれとも話を進めるかで迷っております。




