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人食いの森1-4高速の攻撃対颶風高原

 黒煙を纏う少女は四つん這いのような体制を取り、こちらへ突進してくる。


 「しっかり構えてね。すぐに死なれてはつまらないから」


 刹那、目の前の少女が消え俺の横腹に強烈な衝撃が走った。バットで殴られたような痛みが走る。


 「んなっ、一体何を……」


 打撃を受けたらしいが、痛みを感じ、攻撃を受けた方向へ向いた時にはもうその姿は見えなかった。


 「あー、せめて反応ぐらいして欲しいんだけど。遊びにすらならないじゃない」


 赤髪の少女は目の前で冷笑しながら言った。


 何とか受け身を取り、少女の攻撃に備える。


 「少年、私の風で奴を止める!  時間を稼いでくれ」


 ルナがそう告げると周りに風が吹き出す。


「颶風……」


 「遅い」


 そう聞こえた次の瞬間、少女の体が消えルナが吹き飛んだ。


 「遅すぎでしょ。そんなノロい風なんかに捕まる訳ないじゃん」


 少女は俺の横、ルナの立っていた場所から話す。先ほど少女がいた場所から急に現れた。


 「てめぇ、いつの間に!」


 横の少女へ魔力を込めた手刀を振り下ろすが、当たる前に少女が消える。


 手刀が空を切ると同時に、真横から強烈な蹴りが飛んできた。


 手を触れさえすればダメージを与えられる筈だ。そう思い蹴りに向け腕を振り下ろすが、またも俺の攻撃は空を切った。攻撃が全く当たらない。


 蹴りの残像だけが残り、今度は後ろから蹴り。


 その細い身体からは想像出来ないほどの重さと衝撃が背中に叩きつけられ、俺は地面に叩きつけられた。


 圧倒的実力差ーールナと戦った時はこれほどまでの差は無かった。そもそも相手の油断を誘い、先制出来たのだがこの相手は触れる事すら出来ない。


 ルナも颶風高原(ウインドハイランド)を使っているが、風が当たる前に少女の身体は消え、突如後ろや横から現れて攻撃してくる。


 最早勝ち目があるとすれば、もう一人の俺だけか。


 けれど勝てるのか?  相手は正体不明、瞬間移動のように消えて攻撃、その上今致命傷を食らってないのだから本当に相手は遊んでいるのだろう。


 呼び方など分からない。それでももう一人の人格に、聞こえているなら返事をしろと頭の中で呼び続ける。


 けれど頭の中には何も聞こえない。


 くそっ!  何で肝心な時に声が届かないんだっ!


 今少女はルナの方を狙い、こちらは完全に無視している。それほど余裕があるのか、俺の力は無視しても問題無いほどのものなのか。


 これ以上考えている時間はない。そうだ、よく見ろ。必ず何処かに隙はある筈だ。


 ルナは今颶風高原(ウインドハイランド)を発動させている。辺りには風が吹き荒れている為、俺が入る事は出来ない。


 高速の風も少女には全て回避されてしまっている。それでも、彼女が止めないのは俺に対抗策を見つけさせる為なのか。


 見ている事しか出来ない。けれど今はそれが一番必要だ。何か、あいつの瞬間移動の予備動作がせめて分かればーー


 違う。分かればじゃない。分かるんだ。


 見ろ。よく見ろ。動きを、足を、手を仕草を、目線を。少女が行う全てを。


 隈なく少女の動作を確認する。


 そして、見つけた。


 見えない移動の予備動作。


 兆候が分かればタイミングが分かる。タイミングが分かれば……止めれる!


 そして、獲物をいたぶる少女の表情から笑みが消える。


 その足元が、移動しようとするが一歩も動かす事が出来ないからだ。


 「んなっ、足が……」


 動けないなら当たる!


 「ルナ!  今だっ!」


 全身がボロボロだろうが、大声でルナは返事し、


 「良くやってくれた!  最速をぶつけてやる!」


 そう言ってルナは颶風高原(ウインドハイランド)で作った超高速の風の刃を動けない少女にぶつける。


 そして、避けれない少女の身体を風の刃が一閃した。


 少女の身体から血が溢れ、その身体は動けないはずだが、あまりの風圧により吹き飛んだ。


 辺り一面に余波の風が吹き荒れ、少女の身体は砂嵐で見えない。


 ルナは今にも倒れそうである。


 「ルナ!  大丈夫か?」


 「ああっ、何とかな。しかし良くやってくれた。流石にあれをまともに食らえば無事では済まない」


 「まだ油断するなよ、やっと一撃当てられたんだ。致命傷になればいいが……ルナ?」


 そこまで喋り、気づいた。ルナの鎧に5センチ程の穴が空いている事に。


 


 



 




 


 



 


 


 


 


 

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