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飛空挺にて1-3 いい感じのはずなんですが



 あの後、残りの兵士にさん人も簡単に倒せた。リリスのスキルで簡単に近づけたし、捕虜が逃げているとは思ってなかったであろう。おもいっきり油断してくれていた。


 自分では出来る限り急いだんだが、かなりの時間が掛かってしまった。30分位は経過しただろうか。色々と準備を終えたので、後はリリスを助けるだけだ。


 そして、甲板に向かう階段に足をかけ、上る。


ーー少し前の甲板


 「ねぇー、今の気分はどう? 自分のせいで主君が殺されるってのは?」


 ソナタはその子供のような容姿からは想像出来ないような醜い冷笑を浮かべながらリリスに問いかける。


 「そう簡単にあの人は殺されないわ。魔族の王を舐めないでくれる?」


 喋りながらリリスは逃げる算段を立てようとするが、正直不可能に近かった。


 横には鎧を着た獣人族が二人、自分の目の前にはソナタが、そしてその真横に側近の女が付いている。魔法が使えない訳では無いが、手は縛られ、これだけの人数相手に勝てるだけの魔法は今の所無い。


 特に、問題は横の側近。城での赤い和服から、他の兵士が金色の鎧なのに対して、白銀の鎧を纏っている。


 どの位強いのか、正確には分からないが、恐らくかなりの実力者だ。何気ない目線や、足の立ち方から見て取れる気の配り。多分、目の前にいるソナタに魔法を放った所で、この女が近くに居ては当てる事すら出来ない。


 「やっぱりクズは可哀想ねー。自分の置かれてる立場も理解出来ないんだから。……まあ、楽には殺さないから安心しなさい。サタンもアンタもね」


 「私からすると、アンタこそ可哀想ね。自分の力じゃ何も出来ない癖に、地位だけしか無い、唯のガキでしょ!」


 どうせ殺されるなら、全て言いたい事は言ってやる!


 「父親の道具の分際で! 自分の力じゃ何も出来ない癖に、地位だけしか無い、唯のガキでしょうが! 調子に乗ってんじゃ無いわよ、このクズ!」 


 リリスは全力で怒鳴った。


 「……言いたい事はそれだけ?」


 最早、ソナタの表情笑みは無かった。哀れむ訳でも無く、唯、その表情は憤怒に満ちていた。自分のプライドを貶された事への怒り。それだけがソナタの心を満たし、


 「お前ら!! このクズ好きにして良いぞ。オモチャにするも、犯すも、何なら殺しても良い。人質はあの人間だけで十分よ」


 横の獣人族二人は思わず笑みをこぼしていた。胃種族と交わるのは可能だ。まして、リリスは可愛い少女。船乗りとして飛空挺を動かし、飢えた彼らには最高であった。彼らの目線がリリスと合う。


 「手始めに、ここで犯してしまいなさい。順番に全員で犯ってあげなさいよ」


 リリスの服に獣人族の男の手が掛かり、


 「なっ……嫌! ちょっと! やめて! やめてよぉー!」


 「アハハハハハハハッ! ねぇ、さっきまでの威勢はどうしたのよ?  泣いて謝れば許してやるかもねぇ?」


 リリスの服が脱がされ、下着に男共の手が掛かったその時、飛空挺にヴーッっと警報が鳴り響いた。


 「ねぇ、何事?今から面白い所だったのに」

リリスに手を掛けようとしていた男にソナタは声をかける。


 「この警報は……エンジンルームにて、異常が発生した模様です! あそこには待機してる者が居る筈なのですが……」


 その時、飛空挺の奥から声が響いた。


 「大変だぁ! エンジンにトラブル発生! 至急、手伝ってくれ!」


何があったのか、リリスやソナタも動揺する中、側近の女だけは全く表情一つ動かさず、

 

 「大方、エネルギー切れか、翼のエンジンに怪鳥でもぶつかって来たのでしょう。ここの空域では良くあります。確認して来なさい」

 はっ! と声を上げた後、男二人は下へ降りて行った。


 「あーあ、良い所だったのに。ねぇ、ルナ、その短剣貸して」


 ルナと呼ばれた側近は鎧の腰に付けていた短剣をカナタへ渡した。 


 そして、その短剣はリリスの腹部へ


 「あああああっ!」


 刺されたリリスの叫び声が甲板に響いた。夥しい量の血が甲板の床に広がる、ソナタは笑っていた。着ている西洋風の可愛らしい白の子供服の袖が、赤く染まる。


 「アハハッ! このクズが! もういいわーココで死ね!」


 血が止まらない。身体から徐々に力が抜けて行く。痛みの感覚は麻痺し、少しずつ意識が薄くなりつつある。


 リリスにはどうする事も出来なかった。アドレナリンで消えてくれない、中途半端な痛みが腹部に残る。あまりにリアルな死の恐怖、


 「ああ……死ぬんだ……嫌だ……まだ、死にたくない……」


 リリスは遠くなる意識の中、頭に浮かんできたのは走馬灯。幼少期の思い出、サタンと出会い、花、そしてソウタの事。


 (あいつ……逃げれたのかな?……もう、分からない……)


 目の前が暗黒に染まる直前、リリスの前に、早足で甲板へ鎧の男が戻って来た。


 「エンジン見て来ました。この女、殺したのでしょうか?」


 「そーよ。生意気なヤツだったわー。邪魔だからこの死体片付けて」


 「……死ぬのはお前だ」

 

 「は?」


 鎧の男からその瞬間、ソナタに向けられたのは、剣でも、ナイフでも、短剣でも無い。振り下ろされたのは唯の手刀。の筈だ。


 その後本の指には悍ましい殺気。ソナタあり得ない返答と状況に混乱していた。


 (この男、一体何?)


 振り下ろされる手刀を何が何か分からず立ち尽くす中、ソナタは突如吹き飛ばされた。


 その直後、見たのは自分を突き飛ばしたルナの腕が鎧ごと叩き斬られた瞬間だった。白銀の鎧から真っ赤な鮮血が溢れる。


 肘より下が無くなった事を気にしていないように、顔色一つ変えず、


 「……驚いた。今のは完全にソナタ様を殺す気でしたね。その上寸前まで、全く殺気が無かった……」


 鎧の男は氷のような目でルナを睨み、

 

 「また……奪うのか……俺の居場所は……お前らがリリスを傷つけたんだな」


 「殺す」


 そう呟き、ソウタはルナとの距離を詰める。

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