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飛空挺にて1-2どうにかしなくちゃいけないんですが

 リリスが連れて行かれるのを止める事は出来なかった。あそこで俺が何を言った所で状況は変わらない。最悪なのは、二人共連れて行かれ、二人共脱出することが出来無い事だ。

 それに、リリスのスキルではここからは脱出することは出来ない。俺の脱出の為、時間を稼ぐ。俺が脱出出来る成功確率はかなり少ないが、此処での最善策だろう。


頭では理解していたが、自分への苛立ちが止まらなかった。


 「ふざけんなっ!!」


 そう叫んで床を手錠で縛られた手で打つ。


 万に一つ、此処から逃げれたからと言ってどうなる? 空中から脱出して無事で済むような方法があるのか?


 あったとしても、ここが何処か分からない。もしかすると、もう敵国の中である可能性もある。そうならば、国外への脱出は困難だろう。


 それに、サタンの元まで帰れてもどうなるか。リリスが捕らえられて居る以上、俺が無罪を言った所で、証拠にはならない。結局サタンと共に敵国に送られ、ゲームオーバー。


 「ハハッ……逃げても地獄、逃げなくても地獄行きか……」


 逃げようか……何時も通り…… そんな考えが頭を過る。そうだ。今までそうやって生きて来たのだから。


 ここまで来ると笑えて来る。2択どちらを選んでも、結局終わりなのだ。


 「違う……俺が異世界に来たのは……現実とは違う世界で得た俺の居場所を失う訳にはいかない!」


 だとしたら……ここから逆転する方法は一つ。

 「リリスを助けて、あのクソロリ娘に俺らの無罪を証明させる!!」


 どう逃げ回っても生存率が0%なら、これに賭けるしか無い。今まではずっと逃げ回って生きてきた。けど、もう逃げられ無い。リリスに言った事を証明する為にも……、生き残る為にも……やるしか無い!


 とりあえず手錠を切断する。鉄で出来ていたので以外と簡単に切断することが出来た。


 次に鉄格子だ。こちらも牢屋の見張り番はいなかったので、鍵元を切断して、簡単に出る事が出来た。ここで初めて俺のスキルがこれで良かったと感じた。 よっぽどチート的なスキルで無ければ鉄を切るなど出来なかっただろう。


 ここからが問題である。

幸運な事に、敵の数は降りてきた人数から10人もいないだろう。これが大型艇で何十人も乗組員が居たなら終わりであった。


 とりあえず、甲板に行きなり突っ込んで行くのは良案では無い。最善策は一人一人、不意打ちで減らして行く事だろう。 十人相手なら勝つのは無理だろうが、リリスを助け、二対二に持ち込めば、少なからず勝率がある。


そう思い地下牢らしき場所を脱出して上へ向かう。恐らく、俺のスキルでは手加減と言う物は出来そうに無い。


 敵を見つけた場合、声を上げられたり、仲間を呼ばれたりしたらアウトだ。こちらは一人だし、リリスを人質に取られたらどうすることも出来ない。


 最善策は完全な不意打ちして、 気絶させる。捕まえて説得と言った悠長な方法を使う余裕も無い。それこそ下手すると殺されてしまう。焦りと、恐怖で足が震えてくる。


 そんな事を考えながら階段を登り、上へ上がり切った時、2.3m先の鎧の男と目が合ってしまった。


 見つかった!


一気に心音が跳ね上がる。 しかし、ここで不思議な事が起こった。


 こちらは気づいているのに、向こうの男性はこちらには、気づいていない様子であった。一気に詰め寄り、相手の頭に手を当てて魔法を使う。


 バン! と衝撃音が鳴った後、鎧の男は1.2m吹っ飛び壁に当たって気絶した。始めてなのに不思議と使う違和感は無かった。まるで自転車に乗るような、ごく普通の動作でしか無いような感覚。


 「これが魔法か。初めてにしては上出来だな。けど、それより」


 何故相手は気づかなかったのか、問題はそこだ。目が合ったあの距離なら受け身ぐらいは取れるはず。いかにスムーズに攻撃出来たとしても正面からの攻撃では反射が働くはずである。それが相手は何の反応も無かった。


 何故なのか、その答えは恐らくリリスのスキル、認識阻害の効果だ。自分が連れて行かれる寸前で俺に掛けてくれたのだろう。これがあれば奇襲の成功率はぐっと上がる。


 そこで初めてリリスが俺にこの魔法を渡したか解かった。人を殺めない為にだ。


 俺のスキルなら、完全に相手を切り、それこそ致命傷を与えなければならない。あのスキルには手加減と言う物が無いのだ。ナイフが物を切る事にしか使えないように。


 俺が人を殺すのを躊躇わないように、そうしなくても良いように、脱出の為、ここまで気を使ってくれた。


 ここまでされて逃げる訳にはいかない。そう確信し、飛空挺の微かな揺れを感じながら上を目指し階段上がって行く。考えるのは目の前の敵を倒す。それ以外は、全て終わってからでいい。


 階段で上がった二階は少し明るくて、砲弾や大砲などか設置され、ハンモックが掛かっている。それこそ、中世の海賊船内部のような内装である。


 さっきの事が何度続くかは分からない以上、慎重に息を潜めてゆっくりと二階の奥へ向かう。壁際に手を着いて、影からゆっくり歩くと話し声が聞こえてきた。


 「しっかし荒いお使いだぜ。こんな速度で飛ばし続けろなんて、貴族ってだけで何であんなに偉そうなのかね」


 「そりゃ仕方ない。何でもあいつの親父が国の中枢の秘密を握ってるとか。それを良い事に、代々国から裏金、権力、賄賂、やりたい放題らしい」


 あのつけあがった態度は親父譲りなのか?どこの世界もロクでもない奴はいるんだな。


 「じゃあ俺らがその秘密、あのロリ娘の口から吐かしてやろうぜ! なーにあんなロリ娘ごとき多少の魔法使おうが数人で寝込みを襲えば問題ねぇ。そうすりゃおれらがやりたい放題ー! 色んな意味で」


 ってかロリ娘は万国共通なんだ。後、あの鎧男ヤベェ。


 「馬鹿、やめとけ。あの側近の女、ありゃ恐らくかなりの使い手だ。下手すりゃ殺されるぞ」


 「何? あんな上玉で強いとかせこいだろ! じゃああの側近……」


 ここで二人に後ろから詰め寄り、頭に”衝撃”を使った。見事気づかれずに完璧であった。

 「ふぅ。かなり有力な情報が手に入ったな。これならあのロリ娘はあまり強くないかもしれない」


 ああ言う奴は大概、口だけのザコの可能性が高い。リリスを助け、ロリ娘を人質に使えば安全に脱出出来るかもしれない。


 ただ恐らくそれはあの側近が邪魔して来るだろう。何か奇襲の策が必要だ。


 「あ、良い事考えた」


 見た感じこの場所は甲板の真上にあり、この二人以外の気配は感じられない。何かするなら今だな。


 「それじゃあ、奇襲の策準備して行きますか」



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