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会談にて1-3 獣人族ってのが来たのですが


 大きさは大体15mといったところであろうか。 形は飛空挺といっても帆船のような形であり、全体が黒塗り。


 それは、まるで黒船のような風貌であり、その船から金色の鎧を着た兵士が5、6人ほど降りて来ていた。 リリスはその様子を見るなり俺を無視して船へ向かう。 


 リリスを追って俺も飛空挺へ向かう中、一人、周りの兵士達とは違う風貌の女性が降りてきた。


 身長は170以上はあろうか。俺より少し高いぐらいで、高貴そうな赤色の和服を着ている。 さらに、その胸元はリリスとは違い豊潤に膨れ上がっているではないか! 素晴らしい巨乳だ。グッジョブ。


 そして、驚いたのはその頭についている耳である。ラノベや、アニメで見るような、灰色の獣の耳が着いており、それと同じように髪も綺麗な灰色である。


 「リリス、あいつらは何なんだ?」


 「分からないわ。獣人族らしいけど、来客の話は聞いていないし」


 俺はまだ、リリスやサタン以外にこの世界の住人には会った事が無い。


 話の内容的で魔族だけでは無い事は分かっていたのだが、それでも新鮮な感覚である。


 「ここは魔族の王サタンの城よ。獣人族が何の用事?」


 リリスが長身の獣人族に話しかける。


 「突然の訪問は失礼でしたね。しかし、我が主がサタン様にお話があると言う事なので」


  長身の女性は特に動じる訳でもなく、悪気もないような表情でそういった。


すると、飛空挺から銀髪ショートヘアの猫耳少女が降りてくるのが見えた。 服装はまるっきり、さっきの巨乳の女の子と同じ服を着ている。猫耳少女は着地するなり、


 「あー疲れた。 それでー、サタン様はどのなのー?  ん? 何? あんたらみたいな低脳な奴と喋ってる時間ないのよ」


 汚物を見るかのような目線を向けられた。どう見ても俺には小学6年か中1ぐらいにしか見えないロリ少女。ってか超口悪い。


 そんな、訳が分からない中、リリスの表情が飛空挺から降りてきた少女を見て凍る。


 こいつがこの船の主?どう見てもこっちの長身の女性の方が偉いだろ。エロいだろ。 まあ、俺もロリが嫌いな訳では無い。しかし、ここはやはり異世界初の巨乳に反応して当然だろう!!

 


 すると、何処からともなくサタンが現れる。


 「これは、これはソナタ公。 いきなりどうされました?」


 あのサタンが礼儀正しい挨拶をしている所、中々身分の高い相手なのか。


 「アハッ! サタン様〜貴方の欲しがっていた情報が手に入ったのでぇーその事について伝えに来たのよー」


 サタンが来るなり、ロリ娘の尻尾がゆさゆさと揺れる。


 「おお、そうでしたか。遠い中良くぞお越し下さいました。では、こちらへ」


 サタンはロリ娘の手をとって城の中へ消えて行った。


 何なんだ? サタンのやつあの猫耳ロリ娘と親しげだったぞ?


 クソッ! あの変態、何するつもりだ? 貴様の相手など猫耳付きのドラ○もんで十分だ。あんな可愛い猫耳と仲がいいなど羨ましい!いや、でも見た目子供だしなぁ……せめて、巨乳の女の子と喋る機会ぐらい……



 よく分からない俺とは反対に、リリスは深刻な表情を浮かべている。


 「チッ、厄介なのが来たわ。あいつの名前はソナタ。 獣人族の上級貴族よ」



 「それどっちだ? 巨乳? ロリ娘?」


 「小さい方よ」


 ロリ娘と言う言葉が分からなかったのか、それとも、あえてツッコまなかったのか。まあ、大体分かってたが、小さい方が貴族らしい。


 リリスは辛酸を舐めたというような表情だ。


 「何度か会った事があるけど、あいつの事は嫌い。 自分の父親が偉いからって、貴族相手や序列内の人には親しげにする反面、それ以外の相手はゴミ扱い」


 よほど嫌いなのか。今まで俺が見たことないほどの、憎悪感をむき出しにする。


「自分は何も偉くないくせに! 力も何も無いくせに! 親の力だけに頼って偉そうにして、見下して! 」


 あのカナタとか言う娘との間によっぽどの事があったのか。リリスは俺に怒鳴り散らした。


 「ゴメン。 アンタに言う事じゃ無いよね」

 ふと我に返り、リリスは悲し気に俯く。



 「じゃあ、見返してやれよ」


 「えっ?」


 俺の一言にリリスは目を見開いてこちらを見つめている。


 「見返せばいいじゃないか。出身がどうこうじゃない。リリスが序列内に入ればいいんだろ?」


 その一言が気に触ったのか、リリスは顔に憤怒の表情を浮かべ怒鳴る。


 「アンタ馬鹿じゃないのっ!! 大体、そんなに序列内に入るってのは簡単な事じゃない! この世界の上位100人の中に入るって事なのよ! 昨日、この世界に来たばっかのアンタに、何が分かるのよ!」


 「分からねぇよ!」


 リリスの怒鳴り声に負けない位の声で叫ぶ。


 「どれだけ難しいかなんて俺は分からない。 けど、それは努力したく無い為の言い訳だ」


 そう言った俺をリリスは嘲笑う。


 「じゃあ、アンタは私にそう言う以前に、何か努力で変えられた事はあった?」


 「っ!! ……」


 返す言葉も無い。確かに俺は全てから逃げてきた。家族との問題も、自分自身の事も、何も出来ずに、全部仕方ないで片付けて、この世界に逃げて来たのだ。それなのに目の前の少女には、自分の境遇を変える為に努力しろだと。馬鹿にしている。


 「部屋に戻る」


 リリスは素っ気無くそう言って、悲し気な表情を最後に見せて去って行った。


 「違う…… リリスには諦めて欲しく無かっただけだ…… 俺見たいに諦めたって、結局は何も残らなかったんだから」


 そこ言葉は、もうそこに居ない彼女には届かなかった。



 いや、これも違うよな。諦めた自分自身への慰めだ。他人に託してそれでいい気になろうとしただけだ。


 それからは、暗くなるまで、外に居た。 次にリリスと会う時にどんな顔をしていいか分からなかった。


結局外が暗くなり、夜になった所で部屋に戻る事にした。昼の内にリリスが作ってくれた転送陣に乗れば部屋まで戻れるらしい。


転送陣に乗ると地面が光り、いつもの感覚を体に感じる。 リリスに会った時、掛ける言葉は何だろうか。


 「ごめん、悪かった」


 「さっきのは忘れてくれ」


 考えが纏まらない。 リリスと会った時俺はどんな言葉を掛ければいいのか。


 リリスはどんな表情をするのだろう。 泣き出すのか、呆れ返った表情をするのか、さっきみたく嘲笑うのか、それとも、陽気に全部無かった事にして夕食を用意してくれてるのか、


 考えても、頭の中のモヤモヤは消えず、そのまま着いた部屋でリリスはおれの予想を全て裏切り、床に倒れていた


 「おい! リリ……」


 リリスに声を掛けようとした所で、俺の意識は闇に落ちた。

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