キキョウ手帳・気軽に異世界・死者蘇生(笑)
久々の投稿。
今回は二話に分けての投稿。ただし次話はいつになるか不明。
そしてたぶん次の話は短い・・・と思う。
今日私は文房具屋で気になる手帳を見つけた。
中の紙まで全部白一色の手帳。
手帳売り場にただ一つだけ異様な存在感を持って私の目にとまったのだ。
似たものは一切無い。
線引きすらしておらず、手帳の題も印刷されていない。
ましてや、製造元すら書いていないのだ。
あるのはあとから貼って付けたのが丸分かりの今にも剥がれそうなシールのバーコード。
それを手に取り、レジへ向かう。
元々の目的だった新しいボールペンも一緒にピッと。
・・・白い手帳、666円という謎の値段。
悪魔は関係ないと思いたい。ついでに言うと店員さんすら困惑していた。
だが、新人さんだったのかそのままレジを済ませることが出来た。
普通はそこで疑問持って、先輩方に訊きに行くべき出来事だと思うのだが。
時間を取られずに通過できたのである意味、ラッキーなのかもしれないが。
レシートには
○○○ ボールペン \198
キキョウテチョウ \666
合 計 \864
(内消費税等5.00% \45)
と書いてあった。
消費税もちゃんとかかっている。
正規品だとは思うんだが、どうにも変だ。
もう買ってしまったのだからいまさら意味など無いのだが。
しかし、キキョウテチョウとは・・・キキョウ手帳、キキョウか・・・。
わからん。桔梗ではない。関連性が全くないからな。
家に帰ってからインターネットを駆使して調べても見たが、会社名ではないだろう。
キキョウという会社名を調べてみたが、料亭だとか銭湯だとかの会社ばかりで手帳を作っているような会社は全くなかった。
ふぅむ。謎だな。まぁいい。手帳は手帳。使うだけだ。
5/15、新小説の続き投稿予定っと。
5/1…プルルルルル。おっと、電話がかかって来た。
「はい、佐藤です」
『僕は竹下です。佐藤さん、今から伝えることを落ち着いて聞いてください』
「はぁ、いったい何の用件でしょうか」
『あなたのご両親、佐藤渉さんと佐藤美和さんのお二人が交通事故で意識不明の重体です。いま、救急車が病院に向かっているので佐藤さんもご両親を励ましてください。医者が言うには身内の声が一番意識を保つのに向いているので早いうちに・・・』
私の頭は何も考えていなかった。両親の死――そう思うだけで手が震えてくる。
それでも私の心は何かを伝えるわけではなく――。
身体だけが当然のように車に乗り込んでいた。
どこをどう通ってきたのかすらどうしてこの病院だとわかったのかすら分からないまま、手術室の前にいる。
少しは落ち着きを取り戻したのか私は手術を受けている両親の無事を祈る。
手術室に到着したときは思わず大声を上げていたらしい。隣に座っている竹下さん――電話をくれた、両親の親友だ――がそう教えてくれた。
握っていた手は真っ白になったかと思うほど色が変わっていて――手帳も一緒に持ってきていたらしい。
声を出せない。出してはいけない。叫んでしまった。
騒げば両親の手術は――手元が狂うかも知れない。
そう思うとさっきの叫びは――
力を入れすぎた私の身体は一度いすに座ると立ち上がれなかった。
うろうろすることも出来ない。喉は震えていてわずかな声すら出て来そうに無い。
何も出来ない私は手帳に文字を書いていた。
他の逃げ道は思い浮かばなかった。
両親の無事を、手術の成功を、再び幸せな顔をして笑う両親の笑顔を――
ただ、自分の心の内を次々と書いていく。
震える手は思うように動かず、文字が歪む。濡れた紙は文字をにじませる。
書いて書いて書いて――埋まった。次のページ。
書いて埋まって、次のページ。
無い。
気付けば手帳の全てのページが埋まっていた。
書けない。持っていたボールペンが手から落ちる。
手術中のランプが消える。
執刀医だろうか、中から人が出てきた。
母は、父は、どうなって――
「ご家族の方でしょうか」
はい。そうです――声は出なかった。
医師はそれでも私がそうなのだと分かったようだ。
立たなきゃ。でも、医師の目を見たから立ち上がれない。
「お気の毒ですが、御両名はお亡くなりになりました――」
何を言ってるのだろう。両親は・・・。
「続きを、お聴きになられますか?」
とう、ぜん。 嘘に決まっている。聴いて、嘘にしなければ――
嘘なら両親は――
「我々も全力を尽くしましたが御両名は事故に遭われたとき、もうすでになくなっていてもおかしくない状態でした。」
私はどこにいるのだろう。私は立っているのだろうか。
急に自分が分からなくなる。
嘘。嘘、嘘嘘。それは、う、そ――
うそ、にす、る――
わた、しは、目の前の医師に掴みかかっていた。強く、強く、医師の服を握る。
それでも医師はそれを甘んじて受け、尚も話しは続く。
「御両名が今の今まで生きていたことが奇跡です。手術中、御両名を呼ぶ叫びは確かに御両名に届いていました。バイタルも消えかけていたのにその声が聞こえたとたん、力強く息を吹き返しました。ですが」
父に、母に、届いて、いた。わたしのこえ。
掴んでいた手が緩む。服と一緒に握りつぶしていた手帳で指を切る。
「それでも御両名は手術が成功し、縫合するといった時点で限界だったのか、急にお亡くなりになられ・・・」
全身から力が抜ける。
わたしの両親はそんなに弱くない――
わたしの両親が死ぬわけが無い――
そう叫んでしまえればどれだけ楽だったろう。
半狂乱にでもなって周りに八つ当たりが出来たらどれだけ楽だったろう。
力が抜けても、縋るようにわずかに医師の服を掴んでいた手から手帳が落ちる。服も放してしまう。
その服から離れた手は、私の希望が絶たれたようで。
地面に落ちた手帳がたてる、パタンという音すら、もう終わりだ、と言っているようで――
「いやぁ、本当に良かったですね」
私はそんな言葉が聞こえてきた気がする。え――?
医師の後ろにもう一人居た。恐らく、看護師だろう。
「本当に一時はどうなることかと。まさに奇跡ですよ。私は、この手術に関わることが出来たのは誇りと思えるほどです」
私は耳を疑った。
なにを言っているのだろう。この看護師は。
「コラ!手術が必要になるのは不幸なことだ!それを嬉しがるな!」
「すみません」
「まったく。不謹慎なことを言って申し訳ございません」
耳がおかしくなっている。
竹下さんまで喜んでいる。
笑顔で医師にお礼を言っている。
両親の、死を――どういう、こと。
手術は終わったけど、両親は死んでしまった。それを喜ぶこの三人は・・・。
「良かったですね!佐藤さん!御両親が一命を取り留めて!まだ油断してはいけないけれど、佐藤さんと御両親の愛が奇跡を起こしたんですよ!」
いちめいをとりとめた。一命を、とり、とめ、た?
え、さっきは両親は死んだって、そう言って――
混乱した私はそこで意識を失った。
目覚めた私は病院のベッドの上に居た。
精神疲労で倒れたらしい。丸一日。
両親は――死んだ。一命を取り留めた。どっちが本当のこと?
「佐藤さん、両親が一命を取り留めたと聞いたら倒れるんだもの。びっくりしたよ」
リンゴの皮を剥きながらいう竹下さん。
両親は本当に生きている――?
「はい、リンゴ。一日何も食べてないんだから少しくらいは食べよ?見舞い品のメロンは私が有り難く貰ってあげたからね!美味しかったよ!」
食ったのか!いや、それよりも両親は。
「何言ってるの。まだ何も食べてないんだから行かせないよ。食べない限りベッドから出さない」
こういうときの竹下さんは頑固だ。折れる事は決してない。
リンゴを口に入れて素早く飲み込――むせた。
「急いでるのは分かったから噛みなさい」
噛んで食べた。身体が動かしづらい。それよりも両親は――。
隣の部屋にしてくれていたようだ。ありがたい。
扉を竹下さんが開けてくれた。
中のベッドは二つ。左に父。右に母。
二人とも、静かに寝息を立てている。
その姿はまるで死んでいるかのようで――
私は生きている二人を見ても不安になってしまう。
二人に近づいて生きていることを確認する。
良かった。
本当に良かった。安堵の気持ちは形になって頬を伝う。
医師に死んだと言われていた二人は、生きていた。
いや、生きてると言われていたのか?
竹下さんにあの医師が死んだという嘘をついた事の話を振ってみる。
竹下さんもしっかり聴いていた。証人になってくれるはず。
「え?そんなこと一切言ってなかったよ?倒れてる間に夢でも見たんじゃないの?」
「え、でも、そんなことは。確かに亡くなったって・・・」
「目の前に生きてる人を思い込みで勝手に殺さない」
竹下さんの中では私は夢と現実の区別が付いてない人になっている。
これはやばい。早急に何とかしなければ。
両親が死んでいないことを確信した私は心に余裕が出来て、そんなすこしふざけた考えも持てるようになっていた。
「手帳!竹下さん!私の真っ白な手帳知りませんか」
「え?ああ、あの手に持ってたやつ?」
「意識を失うときに落としたのですが」
「えーと、病室の引き出しに入れてあった筈。取ってくる」
竹下さんはそう言って病室から出て行った。
そのときに訝しげな目を向けられた。
・・・わかってる。両親が起きてることくらい。
そして手帳のほうを気にする私を見てることくらい。
私も両親も涙を流してることくらい。
死んだと思っていた両親だ生きていることが嬉しくて、涙を流す私は・・・
二人に笑顔を向けられない。
涙なんかじゃ二人を自責の念に駆らせてしまうかもしれない。そう思ってしまうととてもじゃないが顔を向けられない。
顔を見せたほうがいいことくらい分かる。
これは私の勝手な気持ちで、勝手な思い込みかもしれない。
そんなの分かってる。でも、向けられないのだ。
心は身体を縛っていた。
両親から細々とした声が聞こえてくる。
物音一つ無い部屋で、その声は私の耳に届くには十分だったようで――
「ごめんな、多喜子こんなことになって・・・」
「ごめんなさいね、多喜子、心配させちゃって」
謝る必要なんて無い。生きているだけで十分。そう伝えたかったけれど、私の心は身体を自由にはしてくれないようで。
「あのね、事故に遭った後、お母さんは暗い暗い道を歩いてたの。そしたらね、いつの間にか身体が軽くなって、宙に浮かび上がっていったの。そのさきに光が見えてね」
母が話し出す。多分、事故の後の意識の無いときの記憶。
「その光の中はやさしく包んでくれるような場所で、天国だって身体が半分くらい入ったときに分かったの。でも、そのときに下から多喜子の声が聞こえたの」
「お母さん、かえってきてーって。声を聴いたとたん多喜子のところへ帰りたくて帰りたくて仕方なかった。
多喜子の声を聞くまで全てのことを忘れてた。愛する娘のことも、大好きな夫のことも。
そのあと、帰りたいって思ってたら身体に帰ってきたんだけどね、手術室の中だった。麻酔をかけられているのも分かったし、お腹を手術されてるのも分かった。
多喜子の姿を探したけど無くてね、それでも近くにいるんだって分かった。手術中だったけど近くの看護婦さんにお願いしたの。多喜子に頑張るからって伝えてほしいって。
でもね、お母さんはまた暗い道を歩いてた。ここが生と死の間なんだーってわかったわ。必死に体のほうへ向かった。けど、お母さんは死に向かって引きずられて天国まで逝っちゃったの」
天国まで・・・逝った・・・?
「天国まで逝ったらね、もう生き返れないって分かったの。私の身体はもう死んだんだって。そしたらね、何かがびっしりと書かれた手帳が目の前に現れてそこに書いてあった多喜子が書いたような文字が私の中に入ってきてね、気付いたら生き返ってた」
て、ちょ・・・う?私の、文字?
「俺も同じだよ。俺の場合は闇に向かって泥沼みたいにゆっくりと沈んでいってな。闇の底にあるあの世に入ってたよ。そしたら身体とのつながりが切れたような気がしてな。死んだと分かったよ。
そのときに声が聞こえた。帰りたかったけれど帰れなかった。硬い壁に阻まれてな。叫んでみても変わらなかった。
そしたら真っ白なものがあってな。それが強く光ったと思ったら、記したものは叶うとか声がしたんだ。そしたら生き返っていた。」
白?しるしたものはかなう?
それって、あの白い手帳・・・?
「え、二人とも、死んだの?でも生きてるよね?」
「一度死んで、新たな命として生まれ帰ったという感じかな」
「お母さんも同じ」
「生き返ったでも生まれ変わったでもなくて生まれ帰った?」
「そう。生き返るといった元に戻る感じじゃなくて、生まれ帰るといった新しくなって帰ってきた感じだな。まぁ、俺達であることには変わりないがな」
「何でもいい!生きててくれるだけで!」
病室の扉が開く。
「あ、竹下さん・・・」
「話し合ってるところ悪いけど、もうそろそろ帰らないといけないから。ごめんね。はい、これ」
竹下さんは白い手帳を私に渡すと、手を振りながら帰っていった。
・・・両親との話しから気がそれたから気がついたけど、何でこの二人こんなに元気なの。
小さな声しか出せないとはいえ、手術から一日しか経ってないんでしょ?
・・・二人の話に出てきた共通点に思えて仕方が無いこの白い手帳。
そして二人の元気さにも関係ありそう。
開いてみる。真っ白なページ。次、真っ白なページ。次、真っ白なページ。
次々とめくってみても真っ白なページばかり。
私は埋まるほど書いていたはず。
「zzZ…」
思い切って最後のページをめくってみる。書いてあった。最後のページからめくっていって書いてある部分を全部見てみる。
これ書いた記憶がある。これもこれも。全部書いた記憶がある。
ここのページから書いてない。
え。なにこれ。書いてある文字が消えていってる!
『 になって!』
『 なって!』
『 って!』
これ、
『早く元気になって!』
って書いた場所だ・・・!
ボールペンで書いた文字が消えていく!何この手帳!
私はその手帳が気味悪く思えた。
そしてその文章が完全に消えた。
次の文章が消え始めるが、すぐにそれも止まる。
『 親の魂が欠けたりしませんように!』
『両親の魂が欠けたりしませんように!』
すると、新しい文字が浮かび上がってきた。
所有者、記された文章を反映できません。
母親に反映するにはリシラトの世界にある反魂の欠片が必要です。
父親に反映するにはレメグの世界にある反魂の欠片が必要です。
・・・母と父の名前がアレだからって世界の名前までアレ関係にしなくても良いでしょうにっ!
というか、父と母寝てる。いつのまに・・・。
この手帳、何か秘密がある。おそらく私をオーナーとしてるんだろうし、母と父のことは私に関係がある。
試しにこの手帳から何か情報を手に入れられないだろうか。
「反魂の欠片って?」
シーン。そんな感じで何も起こらない。
手帳に話しかける変人の出来上がり!・・・じゃない!
手帳なんだから書いてみよう。何でそれを最初にしなかった私。
『反魂の欠片って?』
するとその文字が消えて違う文字が浮かび上がってきた。
『死した者が何らかの力によって運命を捻じ曲げて甦った際に、死者の世界に残してきてしまう魂の欠片です。
死した魂の欠片はその魂が辿る筈だった輪廻を巡り、違う世界に生れ落ちます。
しかし、魂の欠片でしかないので命となる事は適わずに世界に放り出されます。
そのときに消えてしまわぬように欠片が性質を反転させたものが反魂の欠片です』
輪廻転生って事だよね。でも欠片の魂では命となれない?生まれて来れないって事?
え、じゃ、じゃぁ、生まれるはずだった人を殺したって事?
私は急いで書く。
『生まれるはずだった人を殺したって事?』
『命となっていないので殺したとはいえません。生まれることがなくなった命は受精しなかった、種族が異なりすぎて着床しなかったなどの結果となります』
・・・世界の真理の一つにたどり着いてしまったのかもしれない。
『時期でなかったということもありえますが』
なんかこの手帳ちょっとお茶目さがあるような。
時間をずらしてこう返してくる辺り。
『ですが、個人的にはこうエロエロとした展開を存続させるために避妊しなくても大丈夫な感じはこのままぬるぬると続いてほしいかt・・・おっと。失礼。実の内に溜まっている混沌とした欲望がですね』
「うわっ!何この手帳!変態だ!」
私は机の上に広げていた手帳から素早く距離をとる。しかし身体はまだうまく動かないようで。転倒。ベッドの鉄の部分に頭をぶつける。
「い、痛い。二重の意味で頭が痛い」
『だいじょうぶですか。実の内に溜まっている混沌とした欲望は歴代のオーナーが記した文字のインクの中ににじみ出ていたものがこう中にドクドクと注がれていった結果ですのでそんな変態と言われてもご褒美なだけじゃないですか今代のオーナーは手帳の扱いがうまいですね』
「そんな手帳が有ってたまるかぁっ!」
私は目の前に浮いていた手帳を疑問に思う前に殴り飛ばしていた。
『あふっ』
そんな文字を出しながら吹っ飛んでいく手帳。身震いした。鳥肌ものだ。
こんなことが続いたりもしたが、この変態手帳に、不本意ながら手帳の書いた願いを叶える力を説明してもらったのだ。
手帳に説明された制限などは、
当然ながら記されなければ叶わない。
死者蘇生は一度では完全には出来ない。
手帳を手に入れた世界の中でしか願いを記せない。
手帳は燃やされるとそのときオーナーだった人の願いを全て捻じ曲げ、悪意に満ちたものとする。それとともに手帳は失われる。
手帳を閉じると書かれた内容を叶え始める。
他にもあったが、それは大したことが無いので割愛する。
この4つが重要。
一つ目、死者蘇生が出来ると書いてある。
これが母や父が生きている理由。
手帳を閉じたのは絶望して全身の力が抜けたときだ。
そのときにパタン、と閉じていた。
それ以前は母や父は死んだという内容の話しだった。
だが、その後からはこうして二人とも生きている。医師たちの話も途中から真逆になっていたではないか。
ということは、手帳の力が両親を生き返らせた。尚且つ、医師たちの記憶の改ざんまでした状態で。
もしくは最初から死んでいないように過去を変えたのかもしれない。
両親が死後の世界の記憶を覚えていることから、後者はないだろう。
この手帳はアフターサービスまでしっかりとこなしている。
書いたものならば叶ってしまう、素晴らしい手帳だ。
しかし、両親は魂の欠片だっけ、どうにもそんな感じのものが欠けているらしい。
手帳が言う(?)には、
魂が欠けているから死者蘇生が完全には行われておらず、そのうち緩やかに魂が崩壊するとかどうとか。
その魂の欠けた部分は異世界転生をしたが欠片でしかないから命になれずに性質を反転しているとか。
性質って言うのは文字とかで説明できるようなものじゃないらしい。
無理矢理当てはめるとしたら自己の他人化とか関係性の無作為化だとか。
縁のようなものと考えればいいみたい。って手帳が。
文字に出来ないからなのか手帳も良く分かってなかったりする・・・のかな?
言語の不自由さとか気にしなければいい。私は異世界に行って反魂の欠片とかいうのを取ってくればいいだけ。
でも、異世界・・・なんだよね。
どういう世界なんだろう。
剣と魔法の世界かな、未来みたいな世界?超能力?世紀○?
両親の魂取ってきたらそのまま異世界で過ごすのも考えていようかな。
たのしみ~!
手帳にリシラトとレメグの世界について訊いてみる。
『リシラトは浮島や島、海や奈落がほとんどを占めている世界で羽などの飛行手段を持っている種族がほとんどです。落ちたら即世界から追い出されます』
『いわば、世界の境界線の上に存在する薄い板状の世界です』
『レメグは世界を隔てる境界である壁、“暁の空”に描かれた平面の世界です。書き足され、動き続ける絵なので命があります』
リシラトは浮遊島の世界でレメグは描かれた世界と。
“暁の空”っていう空が世界の壁だとかどうとか。よくわからないけど、二次元の世界だって事らしい。
一応言っておく。
え、嫁を現実に連れてきても良いんですか!なんて思考には到らない。
二次元嫁なんていない。充実した日々も送っていないけれども。
いや、婿もいないからね。夫も。
あ、そんなことよりも早く魂取り戻さないと。
よく分からない世界なので何を書いて願いをかなえるべきなのかが分からない。
が、そんなときには皆さんご存知の素敵な言葉がある。
【御都合主義】
リシラトとレメグの世界はこの一つの文章で乗り切ってやる。
わたしは手帳にそう書き記して世界を跳んだ。
途中省略~
いやー、ほんと面白かった。
世界規模の連鎖する○゜夕○゛○スイッチとかw
山が塗り変わるとかね。文字通りひっくり返って色が緑から青に変わったのは異世界なんだと実感した。
季節行事みたいなもので毎年ひっくりかえる自然現象とかw
あ、リシラトとレメグ以外にもたくさん行きましたよ!もちろん!
他の世界だと、熊がカフェやってるとかね。いや、肉球はあったけどそれなりに硬かったです。
ぷにぷにの表現は無理。せいぜいぐにぐに?
その白い毛は柔らかかった。私の世界と大差ない文化もあったようだし、毛が硬くなることなんて必要なかったっぽい。イイネ!もふ!
試しに一本毛を切断してみるとちゃんと中が空洞だった。それなのに柔らかい…謎だ。
パンダポシェット・・・誰かの忘れ物|(?)がカウンターの上に置いてあった。
近くに居たペンギンがくだらない事しゃべってたような。えっと、おあとがよろしいようで。ここはまったりしすぎそうで怖いw
閑話休題。
てなわけで帰ってきました元の世界!異世界が興味惹かれる事多すぎて魂回収し忘れるところだった。
というか、完全に忘れていた。
魂のほうから来たときに思い出したくらい。
というか、魂見えました。火の玉とか言われることもあるけどそんなもんじゃなかった。もっと綺麗だったよ。
こう、ふわ~とした広がり方をしたタンポポの綿毛みたいなそんな感じの陽の珠。
そう表せる。太陽のようにぽかぽかさせる見た目で、宝石のように綺麗。
性質の反転?とかもいつの間にか戻ってたし、つれて帰るだけだったので楽でした。
つか、手帳の中に魂入っていったけど、悪魔とかどうとか複線みたいなフラグ立ててたような?それ以外にも手帳の中って混沌としてるって書いてなかったっけ・・・!
やばい。まじヤバイ。両親の魂が喰われる。もしくは混沌に犯される!
ご都合主義手帳自身にも効果ありました。
手帳が泣いてた。同胞を増やすチャンスだったのに!だとかほざいてた。
存在自体が混沌のメモ帳である私は自在に同胞を増やすなど造作もなかったはずなのにー!だとか。
おい、そのネタどっから持ってきた?正直に言ってみ?
いえますぇん。って、どっちだよ言えるのか言えないのか!
それには答えられない。なぜなら、私は変態度の変わらない世界にただひとつの手帳だからだ。
オイ。混ぜるな。ネタ混ぜるな。というか、私に突っ込みをさせるな。
突っ込まれたいんですねwわかりますwじゅるり。女として開発されていくんですねw
とりあえずそんなことを言い始めた手帳を放って置く事にする。
なぜ願いで縛らないのかって?
異世界に行ったときに、精神的に苦痛なことがあってそのときにこの手帳に励ましてもらったからだ。
だから、手帳には縛りをかけない様にしてる。恩手帳だし。
ま、そんなことをやってる間に両親の元へたどり着きました。
魂。た~ま~し~い~いらんかね~。
銀の魂とかいかがっすか~今なら特別大特価、両親の魂税込み1カオスから!
おい、手帳!両親の魂売ろうとするな!
正直、手帳に縛りかけてもいいんじゃないかと思い始めるこの頃。
ご都合主義はここでも発動。
両親復活!
なんか、今まで楽勝すぎて異世界だとか魂だとか生死だとか実感が湧かなくなってる。
両親に叱られた。
異世界、手帳、馬鹿!などなど。
支離滅裂だったけれども心配してくれているのが分かったから嬉しかった。
考え無しでごめんなさい。でもそれが私クオリティーw
あぅ。どこからハリセンを取り出したのですかお母様、そのハリセンに良い思い出がないのですが。
振りかぶらないでくださいまし。ああっ!父よ!そのまま私の盾になって!
一応この人たち病人なんですけどね。
ついでにいうなら手術後1日しか経ってないという・・・。
・・・私の父母はなにやらとんでもない回復力を持つ超人だったようです。
逆立った金髪じゃなくてよかったと思う。氣とかも放出できなくていいです。
正直、手帳を使ってもこのハリセンを防げる気がしません。
幼少期の頃から心の奥底、無意識の根幹にすら刻み込まれた苦手意識は私を動けなくしてしまう。
お母様、私の顔はハリセンに負けているのですが、止めていただけない・・・か・・・・と。
あ、ハイ。おとなしく受けさせていただきます。
このお仕置きが終ったら私の顔はどこぞのピンクのスターの戦士並みになっているのではないかと。赤さも、膨れ具合も。
――手帳は父に奪われました。いつの間にか。
何か書き込んでから返してくれましたけれども。手帳を閉じてたのでもう文字は消えてると思いますが。
この に する を す 物の 動 、並びに れらの佐 家 庫 の厳重 。
・・・なんでしょうかコレは。
厳重という字、これが気になって父に訊いても教えてくれませんでした。
残った文字から推測すると、多分こんな感じだと思う・・・思います。
この に する を す 物の 動 、並びにそれらの佐藤家車・倉庫への厳重 。
この時、父は恐ろしいことを書いていたのです。
私は数日後にコレがきっかけで事件が起こるなんて知る由もなかった――
いつ完結にしようか選べるので正直悩み中。
ネタ回はあまりネタ知らないから作るんじゃなかったと思った。
というか、後書きがただの愚痴になってるようなw