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発電能力・神様転生・人生失敗

チートウハウハそう思ってた時期がありました。

 でも、俺の未来は村ぐるみの憂さ晴らしの対象で・・・


 助かったと思っていたらその人に・・・なんか狙われてる。

「神様!俺、発電能力のチートがほしいです!」

「ふむ。分かった。発電能力をお前に授けよう。ただし、発電できる電圧は雷までとする」

「ああ!それで十分だ!すぐに異世界へ送ってくれ!」

「では、達者でな」


こうして、俺は異世界転生を果たしたんだ。発電能力のチートを引っさげて。


そして神様との約束で10歳までは能力を封じられてたんだが、誕生日を迎えた今日、ようやく能力が開放されるんだ!いやっふー!これから俺の時代が始まる!


「それじゃぁ、さっそく!発電能力試すとしますか!」


そういって俺は今日頭の中に入っていた能力の使い方・・・いや、能力の発動方法を確認する。

使い方はなんか自分で試行錯誤しろって神様言ってたもんな。

さすがにチートでも使い方くらい自分で見つけていったほうが良いし、そっちのほうが俺に合ってるしな!

まぁ、詠唱?みたいな起動呪文キーが要るらしいんだけども。

オンオフスイッチが言葉だったので非常に楽が出来るな!


「エレクトロ・ジェネレーション!」


なぜにエレクトロ・ジェネレーションにしたよ神様。厨二病かよ。

なんか間違っている気もするし。まぁ、英語の成績が校内最低の俺が言えたもんじゃねぇけどな!

なんとなくだが、ジェネレーションって世代だとか言う意味だったような?発電とか言う意味じゃなかったはずだし・・・なんかやな予感がする。


っと、そんなことを思ってるうちになんかピリピリしてきたようn・・・ギャー!


「何だこれ!?か、身体が痺れレれレルノレ!?」


がっぁ。ま、マジどうなってんだ!?

とりあえず能力止めなきゃ・・・


「エレクトロ・ダウン!」


能力の発動がジェネレーションで終了がダウンって!イグリッシュが最低な俺でも分かるぞ!絶対変だ!



検証中・・・



分かったことがある。あの神様、いや、あの糞神は俺の言葉をそのまま受け取ってたらしい。

というのも、判明した俺の能力を完全に説明するとだな。


「自分の身体で発電ができるだけ(・・)の能力」


これで分かってもらえただろうか。文字通り発電の能力だ。ただし自分の身体のみ。あんの糞神ぜってー許さねー!


普通そこはとあるのミサカだとか一繋がりの餅耳ゴロゴロだとかポケットな黄鼠みたいに自分が感電しないようなご都合主義があってしかるべきだろーが!

使い道ねぇよ自分が感電する能力なんて・・・

しかも、空気よりも俺の身体の中のほうが発電能力がある所為かなんかわかんねーけど電気が通いやすいっぽいから俺の身体の中を通って地面に逃げようとするっていう・・・

つまり、傍から見ればピクピクとしながら勝手に崩れ落ちた変態じゃねーか!

しかも痺れて身体に力が入らないっていう、いかにも(さら)ってくれと襲ってくれといわんばかりの能力!


俺はマゾじゃねぇんだよ。こんないらない能力もらっても使い道ねぇよ。お、俺のチートライフが・・・。



・・・っは!?しまった!俺、チート能力が完全に操れるとかいうの前提で今まで生活してきたから、親とか村の同世代とかぜんぜん仲良くしてねぇ!やべぇ。しかも見下してたことあるし・・・

やばいやばいやばい!どうしよう、俺ぜんぜん村の仕事とか手伝ってないし覚えてすらいねぇじゃねぇか!

冒険者なんていう定番の組織があることは糞神から聞いてたからそれになることしか考えてなかったし、一応糞神からはほかのチートとして幸運と無病息災とあと、えーと何願ってたっけ。

・・・えーっと・・・ああ!多少の不自由はあっても俺を養うのに苦労しない家に生まれることだったな。

なんか、裕福な家に生まれると冒険者になれないらしいし。(しがらみ)がおおすぎるとか。

まぁ、発電能力は魔力だとかそういう対価は要らないようにしてもらってたんだけども。


こんなのだったらほかのチート願っておけばよかった!



それからというもの、村人たちからの報復を恐れた俺は目に見えて怯えていて、それは憂さ晴らしの格好の標的になる理由としては十分だった。

村人たちの今までの報復、領主からの取立てに対する不満の捌け口、いじめ、ぬれぎぬ、遊びでの集団リンチ。


俺の心はいつしか荒んでいた。そして糞神をとことん呪った。そして、もう、生きることを諦めた。だから誰かに殴られて倒れたあと、そのまま動くことをやめたんだ。



「君、そんなところに倒れてどうしたの?」

「うっせぇ!俺は今あんたにかまってる暇なんてねぇんだよ!ほっとけ!」


ガリガリに痩せてぼろぼろの衣類、汚くて陰鬱とした俺は久々に俺に向けてかけられた声を突っぱねた。


言葉遣いは転生以前のままだった。この言葉遣いとか記憶とかだけが俺のこの世界での唯一の転生前と同じものだったから。あの退屈で優しい世界の名残(なごり)


「まぁ、そう言わずに。もし良かったらおじさんに話してみてよ。これでもいろんな人を見てきたからね。相談に乗れるかもしれないよ」


突き放したのにそんなことを言ってやたら俺にかまってくるおっさんに苛立ちつつもおれの精神はそのおっさんの持つ優しい雰囲気とかに気を許してたのか言わないつもりでいた糞神とか転生とかの秘密を口走っていたらしい。


「そ、それで、その能力っていったい何なんだい!?」

「俺の能力は発電能力。雷とかと同じものを俺の身体の中で生み出せる能力だよ。でも俺の身体の外に出せないからおれ自身がダメージを受ける最低な屑能力だよ」

「ふんふん。それでその能力は魔法の一種かい?」

「魔法じゃない。異世界から転生してきた俺は魔法使えないらしいし。そもそも魔力持ってないし」

「え、じゃぁその能力は魔力を使わずに雷を起こしてるということでいいのかな?」

「それであってるよ。魔力使わない雷でもこんな能力じゃ意味ねぇよ!」

「ぜ、是非とも君を雇いたい!」

「は?」

「なに、食事も一日二食、自分の部屋やきれいな服も用意しよう。そして給金は一月銀貨4枚で君が死ぬまでの永久雇用でどうだい!?」


おっさんのその破格過ぎる雇用条件に俺は混乱せざるを得なかった。

え、なぜ役立たずの俺にこんなにいい条件を?

精神的にも肉体的にもかなり弱っていた俺はそんな疑問を抱いてはいてもその誘いに乗らずにいられなかった。



ちなみに、俺を虐めたりし始めてから一日一食食べられたらその家庭はそれなりに裕福だというほどに貧困した村になってた。

たぶん、俺のチートの内の一つ、

『多少の不自由はあっても俺を養うのに苦労しない家に生まれること』

これが有ったから村も含めて裕福だったんだなと予想してる。

だって虐めからは俺を養わなくなったし、両親。

何か申し訳ない気持ちになるのはなぜだろ?


自分の部屋も俺のようなやつには破格、きれいな服も破格、一月銀貨4枚に関しては破格過ぎる。

贅沢全くしなければ一食は小銅貨4枚で足りるんだぞ。

小銅貨10枚で銅貨、銅貨10枚で小銀貨、小銀貨10枚で銀貨だ。

要は1000食分。一月30日だから食事以外にも少し贅沢しても半分に少し足りないくらいは残る。


前世換算しようか。小銅貨4枚は宿などの店の最低ランク料理の代金だ。

ファミレスでの一食500円と同じ感じだとおもう。

ファミレスよりも質も味も悪いけども。

なので俺のもらう金は、500×1000=50万円。


浮浪児に50万円だぞ。怪しいとか思う以前に弱った俺は即座に乗ったんだ。




おっさんは頷いた俺を抱え上げて急いで村へ向かうと村長たちに指示を出して俺を看病してくれた。弱っていた俺はもうまともな食事すらほとんど喉を通らなかったからいろいろ大変だったらしい。


そういう俺は看病途中に疲れたのか気を失ってしまって看病されてた時の事はほとんど覚えていなかったのだが。


ま、まぁ、俺のアソコとかを含め全身このおっさんに見られてないところはない。なぜかって?身体を拭くために決まってるだろ!妄想したやつこっち来い。今なら俺の感電能力で痺れさせてやる。俺も痺れるんだけども。


あ、そうそう。俺の能力は発電能力から感電能力に名前変えました。そっちのほうが俺の能力的に合ってる気がするからな!


そしてある程度のたびに耐えられるほどにか俺が回復するとおっさんは俺を連れて町まで行ったんだ。町並みとかはすごかった。まさにファンタジー。


それからもおっさんの世話になった俺は、今じゃすっかり元気になったんだ。

まぁ、無病息災のチートのおかげもあって回復自体は早くて看病からは早いうちに抜け出せたんだけども、それからは大変だった。

計算・体力づくり・礼儀作法・文字・言葉遣いなどさまざまなことを学んだ。もちろん魔法もだ。


言葉遣いを変えるのは多少抵抗はあったが、俺を助けてくれたおっさんに恩返しをするためならと思うとあっさり捨てられた。正直自分でもびっくりした。

人前での言葉遣いだけで考えてるときは変わらないんだけども。


魔法も習ってるけど魔力なしじゃ意味ないんじゃないかって?いいや、魔法こそが一番習得しないといけないものだったりする。おっさんに恩返しするためにも。



なんと、俺の感電能力から発生した電気を・・・いや、雷を魔法で吸い取ることが出来るらしいんだよ!特殊な魔法陣とか吸い取られる側の抵抗の意思がないことが必要らしいけど。

それで俺にも嬉しい事が。能力使っても魔法陣があれば感電しない!

まぁ、能力は放ったり操ったりは結局できないんだけど。


その吸い取った雷(俺の身体から吸い取ったのでそれはもう自然にある雷と同じらしい。俺のは魔法じゃないからだとか)は一度魔力に変換されてさまざまなものに使われている。


ちなみに、魔力は電気以上の便利エネルギーであり、電気よりも入手しやすい。というよりほとんどの人が持ってる。


魔力を使う例を挙げよう。

たとえばモーターのように回転するものだと、こうなる。


電気だと電気→電磁誘導+熱→回転

魔力だと魔力→魔方陣+光→回転


これは一見して同じロスがあるように見える。けれど良く見ると熱じゃなくて光なんだ。ファンタジーだよね。


って、違う違う。ファンタジー部分とかロスとかじゃなくて。

そう自分に言い聞かせてからもう一度説明する。


電気→モーター→回転

電気が磁力に変わって運動エネルギーに変わって回転となる。


魔力→魔方陣→回転

魔力が魔方陣で運動エネルギーに変わって回転となる。


この部分。磁力部分が1工程分無いんだ。この変換効率のよさ。これが恐ろしいほど便利なんだ。まぁ、魔方陣は複雑だけど最低ランクのものは石とかに彫るだけでもいいという材料の要らなさもより便利なんだ。


陣を使わなければ意思ひとつで出来ることもあるけど。



話を戻そう。

なんでも俺の雷は国ひとつを養うことの出来るエネルギーを生み出すことが出来るらしく、俺の能力の上限が雷と知ったときさすがのおっさんもフリーズしてたけども。


理由とか理屈とか説明すると、国を養うことが出来るといってもたった一発の雷で養うことが出来るのは一瞬にも満たないけども、俺の場合継続して雷を生み出せる。

そして上限は雷。


よく考えてほしい。雷を生み出し続けるんじゃなくて雷のエネルギーが全く減らずにそれを魔力に変換し続けることが出来たら・・・。

別の言い方だと物質化された雷だとか雷の存在固定化だとか魔導師の人たちが議論してた。


言っていなかったが、俺の雷はたった一つの魔方陣で変換されているんじゃない。

何万個もの魔方陣を同時起動して雷を魔力に変換し続けても尽きることなく一瞬たりとも減ることもなくそこに雷があるんだ。


無限の雷→(変換)→無限の魔力


いわば無限のエネルギー。

おっさんが俺を欲した理由がここにあった。うん、自分でもまさかこんな無限チートだったとは思いもしなかった。一発づつとか少しの時間とか継続して使えないと思ってたからな。

ほら、あるだろ。雷は一瞬で終わるってイメージが。電気もなんとなくそのイメージ持ってたから、自分の願ったものがまさかこんなチートだったとは。



もともとこの魔方陣はおっさんの青年時代に作った失敗作だったらしい。

おっさんは昔魔導師になろうとしていろいろ頑張ってたんだけどもこの魔法陣よりも後に作った魔方陣が暴走して二度と魔法の使えない身体になってしまったらしい。


それからというもの商人として騙されたり足元を見られたりして破産を何度もしてきつつもその経験を元にコツコツとやってきて一世代商人としては破格といって良いくらい大きい人網を持つ商会を経営している。



そう。商会の経営者。規模自体は小さいもののその信頼度は何ヶ国もの王族が利用するほど。


何をしたら破産からそこまで上り詰めることが出来るんだよ。

おっさん半端ねぇ。

でも俺のおっさんに対する感謝とか尊敬とかなんてものはもうとっくにメーター振り切れてんだけどな!



んで、おっさんに救われた俺はおっさんの作った魔法陣によって国にとっても無視できない存在になったわけ。


そしたら勧誘の嵐。まさか6大国からおっさんの言ったものより良い待遇の勧誘がくるとは思わなかった。


一月で白金貨5枚って・・・。

銀貨の何倍だっけ・・・。

銀貨の上に小金貨、小金貨の上に金貨、金貨の上に白金貨だったはず。

10倍10倍10倍と三つ並んでるから千倍。

50万円の千倍。五億円。何ソレコワイ。


一月五億円。前世でも年商5億とか言われてたのにこの世界で俺の価値は一月5億。



それを認識したとき俺は意識を失った。おかげで俺がぼろを出すこともなく、おっさんが交渉してくれたおかげで俺は今もおっさんのところにいる。

まぁ、おっさんのそばで働く以外は考えられないという俺の意思も有ったんだけど。


もちろんといっていいほどに俺が勧誘を蹴った国からは暗殺者送り込まれた。

無病息災で毒効かなかった!媚薬とかは残念な気もしたけど!

毒キノコウマー!毒フグウマー!

何か町で俺は毒を好んで食う変態だとか噂されてた。

仕返しにそいつの目の前で猛毒のドラゴンの毒袋食べてやった。

そいつは顔真っ青になって倒れてた。

微量に気化した毒かな?触れたわけじゃないから大丈夫。もちろん放置。


アナフィラキシーショックだったっけ?他人の血液型合わない血を一定以上体内に入れたら死ぬってやつ。

あれも俺には効かなかった。怪我しても輸血し放題w

そして輸血してもすぐに浄化されるという。生体透析機っぽくなってた。

重度の糖尿の人がやるんだっけ?人工透析。


二度も話が違う方向へ行ったし。気にせずに戻す。

そして魔力自体を異常を起こす流し方で流し込んで相手を故意に殺す技もやられてたらしい。

回復魔法の反転使用だとか。

俺の無病息災に直接攻撃とか魔法攻撃以外の死角は無かったw

回復魔法は攻撃魔法じゃないからね。


雷とかの魔法だと何故か無効化されてたけど。

無病息災の効果では絶対にない。

多分、俺が感電能力持ってたからかな?

このときは発電能力って言ったほうがいいか?



話を戻す。直接攻撃も魔法攻撃もおっさんの人網のおかげで防げた。

ただ、狂信者っぽいのには何度も殺されかけた。でもぎりぎりのところで毎回防がれてた。(つまづ)いたり、刃物すっぽ抜けたり、どこかから桃みたいな柔らかい果物飛んできたり、上から物落ちてきたり、カラスっぽいのに突かれたり。

狂信者たちが言うには神に対する冒涜だとか。

いや、神に送られてきたんですけど。この世界の糞だと思えた神に。

願ってて良かった幸運。



そんなこんなあって俺は今、全世界が無視できない存在になってるんだけど。

お嫁さんは各国が送ってくる。右から受け流して左へ行かしてるけど。

何でか知らないけどそうやって受け流した令嬢などが恋愛して国同士の結びつきが強くなったとか仲良くなったとかは聞いてる。

だから俺が受け流した令嬢は幸せになり易いとか噂が・・・。


ええい!だから俺に送ってくるなー!俺は独り身なんだ!なんでそんなカップルを結びつけているようなキューピッドをしてイチャイチャを見てなきゃいけないんだ!



閑話休題。←つい最近この世界の言葉で覚えたやつ。


まぁ、結局はおれはおっさんに救われてその恩返しをしてる最中だ。

おっさんの商会は世界規模になったし、無限のエネルギーのおかげであと100年くらいの魔力はもう溜まったとか聞いたし、おっさんも忙しくしてるけど魔方陣の活用が出来たから(いま)だに嬉しそうだし。


あ、そうそう。おっさんに奥さんが出来ました。

俺が有名になるホント直前くらいに。

性格も良くて美人。おっさんには劣るものの商才もある。料理も掃除も得意だとか。

良かった。おっさんにこんな美人の奥さんが来てくれて。

二人が付き合ってる最中にキューピッド役をしてよかった!


ただ、俺の部屋はおっさんの部屋のそばなんだ。夜のベッド軋む音とか水音とかいろいろ聞こえたときはマジあせった。

どれくらいあせったかと言うと、翌日におっさんの耳元で

「昨夜はお楽しみでしたね」

といった感じのことを言ってしまったくらい。


顔を赤くしたおっさんは赤くしたまま自慢してきた。

あれが良かったとか、ここが綺麗だとか、こうすると奥さんは悦ぶとか。

言いながらさらに赤くなってたけど。

俺もまさかそういうこと言ってくるとは思わずに顔真っ赤になったね。

昨夜の水音とか聞いてるから余計に。


二人して顔赤くして無言になってたら奥さんが近寄ってきて何話してたのか訊いてきたときはあわてた。

おっさんも普段の商人の時に見せる落ち着いた感じも一切無くてものすごく挙動不審だった。


それから奥さんとも他愛無い話してたんだよ。

そしたらね、なんと奥さんまでおっさんのここがいいとか、こうしてくれるところとか気持ちよくてとか、こうなったときに見せる表情がいいとか、この場所が弱くてとか言った時はおっさんと一緒にさらに慌てた。

何を口走ったのか覚えてないほどに慌てた。


何この夫婦。似たもの夫婦だな。心臓に悪い。

というか、おっさんとか奥さんのここをこうすれば良いとかここが弱いとかお互いに言うなよ。

たとえ俺が二人の大親友になっててもさ!

それを言わない事くらいは普通じゃないのかな。

俺の前でお互いにお互いを昨夜はここが、こういうところがとか言い合ってる二人に問いかけたい。お前ら羞恥心どこ行った。


なぜか二人の間に俺がいてそれで結婚とか言う話が話題に出てきたときはおっさんはホモだったのかと思った。

否定されたけど、俺だったのならいいらしい。奥さんも同じだと。

えー・・・俺はあなた方の中でどうなってるんでしょう?大親友とか通り越しちゃってません?



うん、一線を迷わずに越えられるほどに心を許している大親友と答えられたときはそれほどまでに心を許していることを喜べばいいのか、苦悩すべきなのか・・・。



そんな感じのおっさんたちとの関係。いろいろ複雑。


ある日、前世の話しのことをおっさんが思い出したんだ。

そしたら、この世界に無い商品になるもの無いかと聞かれて一生懸命思い出した。


この世界でも作れるとわかるやつ。

おっさんはそれを見抜いてたみたいで作れるかどうか全く分からないものでもいいから案だけでも出してくれ、と言って来たのでより多くのものを書き出してみた。

飛行機だとか車とかの乗り物はもちろん、ボールペンやパソコン、洗濯機など構造の分からないものも。


そしたら作れないと思ったものの内1~2割作ってしまった。

え?世界規模の商会なめちゃいけないだろ。俺はなめてた。

1~2割といってもすぐに作れたものだけだ。

残りの8~9割も半分くらいは完成出来るという確信があるとの返事があるそうだ。


嘘かと思ったくらいだ。この世界にしかない物から得た発想も提案したら通っていまや売れ筋商品だ。

え?それは何なのかって?



スライムを特殊な溶液で固めてスライムの核を抜き取ったものだ。

色つきガラスにしか見えないんだが、そこから違う溶液をかけない状態だとなんと、粘土みたいに手で形作れるのだ!

だけど、溶かしたガラスほど流動性があるわけじゃないから薄いものには向かないんだけど。


これがまた食べても安全、目に見えないほどには尖らない、千切ってもまたくっ付けられる、透明度があって芸術品にもなることがある。

まぁ、食べても栄養は得られない。ほとんど栄養価無いからね!

空腹感を紛らわせることはできるけど。


そういったスライムガラス(俺命名)は子供の遊びにも使えてアクセサリーにもでき、窓ガラスの代わりにもなる。ガラスの無かったこの世界には恐ろしい勢いで浸透していったんだ。

当然、壊れることもある。というか、日光で脆く、色あせてくる。

その度に人はスライムを狩る。いや、収穫する?


ひとこというと、スライム乱獲中。逃げて!スライム超逃げて!



スライムガラスの誕生以降、俺の中でスライムの絶滅が危惧されている。

なのでスライム飼育してみた。うん、簡単だけど無理。

何このナマモノ。

水と少量の葉とかが食べ物なんだけど、それ以外にも何か食べてるようでそれが謎。精一杯の案を試したけど全部スライムの寿命を縮める結果に。

弱っ!めちゃくちゃ弱い!え、なんでこんなので自然界生き抜いて来れたんだ?



スライムの生態に驚愕を受けながらおっさんに相談してみた。

おっさんが言うにはスライムは命を食べてるんだそうだ。

え、何これ怖い。手のひらの上に乗っけていたスライムを思わず窓の外へ放り投げてしまった。ああ!スラリー189号!

その名前を聞いたおっさんはびっくりした顔。

ネーミングセンスもそうだが189匹目ということにも驚いたらしい。

普通のやつは40匹くらいでやめるそうだ。

俺普通じゃないのね。・・・分かってたけど。国に狙われてるしね。


スライムスライム。命を食べてるとか言われたけどよくよく考えればさっきまで手の上に乗っけてたんだよ。そこらへんどういうことなんだ?


おっさんが言うには自然に生えている草一本あれば一年スライムは生きられるらしい。

人に換算して言うと人一人なら十万匹のスライムが一年は持つ。とか。

えーと?スライムの命食べるのって微々たるものだと。

つまり自然界や畑の中だったらスライム生きれると。

なにそれ。188匹も頑張ったのに・・・無駄だったのか・・・。

スライムは核分裂で増えるらしい。爆弾みたいに破裂して。

小型核爆弾じゃないかそれ!

スライムの繁殖に戦々恐々としつつスラリー189号をとりあえず探しておく。



後日、実際に分裂したところ見つけた。

ブチュッ!ベチャ!ボタボタ。

そんな擬音で表すことの出来る爆発の仕方だった。

というか、爆発というよりも飛び散ったといったほうが正しいような?

結果は一匹から30匹に増えました。

繁殖力めっちゃ高!


ちなみに、脆くなって壊れたスライムガラスはスライムが食べてくれるようです。

え、同族喰うの?

スライム同士では食べないけど死んだら食べるって。スラリー189号が教えてくれた。身振りプルリで。

身振り手振りって言いたかったんだけど見てたらこうとしか言えない。

そしてスラリー189号なぜか賢くなってる。ホントなぜ?

そのうちスライムじゃなくなるんじゃないかと不安になってきた。

スラリー189号がうっすらと光ってる気もするのは今日の日差しが強いからだろうか。


四季はあるものの気温の変化の小さいこの国の春の日差しを見つめてみた。

失明しかけた。あぶねぇ。

さすが異世界。太陽見てたら光が強くなったし。何その要らない法則。

当然太陽見なかったら光弱くなったけど。


・・・うん、きっとスラリー189号は太陽を見つめ続けてるだけだ。

決して光ってない・・・と思いたい。

とりあえず今日はもう寝る。失明しかけた目が痛い。



結果。スラリー189号は昨日の朝から光り輝いてた。

おっさんは俺の実験の一部だと思ってたらしい。

いや、知らないよ俺。

・・・もしやと思ってスラリー189号に聞いてみた。


「スラリー189号、昨日の朝から光ってた?」


ぷるん。


「まじで!?それでなんで?」


ぷるんぷるぷるぷるん。


「えっ!それって・・・」


ぷるぷるぷるるん。


「なるほど!ぜんぜん分かんね!」


スラリー189号はその俺の返事を聞いてぷるわせていた身体をぐしゃっと地面に広げて反応を返してくる。

さらに賢くなってね?職業:賢者スライム になるんじゃね?

魔王とかはありえなーい。俺がならせなーい。


とりあえずスラリー189号を拾う。


「ぴゃっ!」


能力使ってないのにパチッときた!ん?スラリー189号がパチパチしてる。

電気纏ってるんですけど!

何か炭酸みたいな泡でてるんですけど!

・・・電気って俺だよねぇ。多分。

スライムの身体自分で電気分解でもしてるのか?


あ、これ違うわ。とっかで見たことある炭酸だと思ったらこれバブルスライムだわ。でも電気・・・

体表で泡がはじけるたびに電気がパチッてなってるんですけど。


逃げよう。明日へ逃げる。おやすみなさーい。



朝起きたらおっさんがスラリー189号を調理してた。

料理じゃなくて、実験みたいな。

おっさんは昨日まで興味なかったはずだ。

どうしてそうなった?

おっさんはスラリー189号を実験して魔力泡を開発したそうな。

おっさん商人!研究者じゃねぇだろ!

若いときの研究心に火がついた?

・・・奥さんを助手に商会家業全部停止させてやることかおっさん。



でもスラリー189号のおかげでできた魔力泡は風船みたいだ。といってもゴムより分厚くはあるし、重いけども。


「これどういったものなんだ?」


「どういえばいいのかな?その泡は魔石みたいに魔力を内包するんだ」


「魔石にかわる泡なのか?」


ぶっちゃけ魔石は魔力の電池だ。それと同じならこれは人工魔石ってことになるぞ!


「ちょっとちがうかな。魔力を吸収はしないけどかわりに魔法が入れられるんだよ」


「へ?魔法を?入れる?え、魔力無しでも魔法が使えるって事?」


「といっても、最低級の簡易魔法だけだけどね」


「それすげぇじゃん!」


魔法は魔方陣でも発動する。意思でも発動する。魔力を持っていたら、だ。

魔道具にしても魔石からの魔力供給を始めさせるためのスイッチとして魔力は必要だ。


この世界では魔力を持たないものが排斥される運命にある。おれもそうだ。

両親は俺が虐め始められるまではきちんと育ててくれたから俺はこうして生きてるんだけども。


その俺でも魔法を!

ちなみに、最低級の簡易魔法というのは火種とか、飲み水とか、気つけとか、汚れ落しとかがある。

それぞれ属性は火、水、雷、土だったりする。

当然ほかの属性の簡易魔法はある。

それでも魔法があるだけでものすごく便利なのだ。

こういうわけ分からない高度なことを低魔力でやってのける謎現象でもあるが。


なら俺がそれをさらに魔改造するくらいにいろいろしてやる!

・・・結果。おっさんには勝てませんでした。ちくせう。

だてに魔導師目指してたわけじゃないという事を実感するだけだった。

三日はいろいろしてたんだけどね。とうとう四日目の夜だよ。

完成されすぎて手が出せない!

もどかしすぎたのでつい感電能力で攻撃しちゃった。


いや、ね?最近俺の感電能力は魔方陣で吸ってたからさ?おれ自身は感電してなかったわけで・・・自分が痺れるのも忘れてたんだ。


おっさんに笑われた。そしてベッドに連れ込まれた。いや、ちょ、まって!

いつぞや自分でフラグ立てたような気がしなくもないけど!

この展開は予想外だって!つか、奥さんすでに先に入って待ってるんじゃないって!

俺異性!あなたおっさんの奥さん!俺に手を出したら二股!わかる?

おっさんも!俺同姓!おっさんホモじゃないんだろ!俺に手を出すならホモ!わかる?

痺れたのは誘ったとかそういうんじゃn!



シクシク・・・頂かれちゃった。

いろいろ俺の価値観も貞操も亡くなった。

・・・この世界、同姓婚もありだそうだ。祝福されるらしいよ。

そして重婚もオーケーだとか。

何なのこの世界。俺をどうしたいのこの人たち。

ついでに言おう。奥さんと俺、しました。

美人。そして性格も良い。なんて役得。なんて思ってた時期が俺にもありましたがこんなことになるなんて!


俺は姿を消した。逃げ出したんだ。

そしたらその日のうちにおっさんが追いかけてきて魔力泡を投げてきたんだ。

所詮魔力泡、当たったところで大したことないなんて思ってたら、気がついたら痺れてました。

え?

え?え?ええぇ?


混乱する俺をよそにおっさんは説明する。

なんでも、俺の攻撃した魔力泡、電気を内包してたそうだ。

それ聞いたとき、えーってなった。

俺に電撃が効いた理由は俺の電気だからだそうだ。

俺の身体から離れた電気は自然のものとおんなじなんじゃ?

そう思ってそこを訊ねると、魔力泡、なんと俺の体内の電気のほうを貯めたらしい。外側を流れた電気は弾いてたかどうか知れないけど俺には関係ない。

・・・スラリー189号絶対関係有るよなその特性。


重要なのは俺の体内電気ということだ。俺、自分で自分を捕獲しやすくするための道具作ったことに・・・。



たしか俺がイラついて攻撃したとき辺りには魔力泡がたくさんあったはず・・・。

幸運、どこ逝った。俺の幸せはここにはないぞ、戻って来い。

おっさんに担がれておっさんの屋敷へ戻る俺。


言い忘れたが、おっさん、超イケメン。イケメンといっても爽やかとかじゃなくて、優しく芯の通った感じのある男らしいイケメン。


男でも惚れる。俺はいままでおっさんの横でおっさんに惚れたやつを何人も見てきた。

何故か狂信者と似たように俺のぎりぎりまで近づいて殺そうとすることが多い。

あれって、俺はおっさんのって思われてたとか?

迷惑甚だしいわっ!


いや、確かに俺もおっさんのこと尊敬してるし感謝してるし正直惚れるんじゃないかと思うことも多々有ったけども!

なぜこうなった・・・。



おっさんに耳元で喋られるとか俺にBL要素もとめないで!

助けて!奥さん!いや、あんたは駄目だ!奥さんも一緒に襲ってきたからな!



もう、誰か助けて。逃げ出しても逃げ出しても捕まえられる毎日。

痺れる度頂かれます。


スラリー189号育てるんじゃなかった!



もう、イイヤ。

ダレカ、タスケテ。


ーーーENDーーー

行為の描写なければBLとかタグ入れないでもいいよね。


そしてある意味BADEND。

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