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地下アジトで対面
地下アジト。
神崎組が異変に気付いたのは、
次の瞬間だった。
紫苑
「……っ。」
空気が変わる。
冷たい。
いや、
違う。
“閉じられた”。
一瞬で、
地下全体が紫の結界に包まれる。
一樹
「結界……!?」
その瞬間。
胡桃の隣に、
杏奈が現れた。
誰も、
気配を感じられなかった。
ただ突然、
“居た”。
長い黒髪。
静かな笑み。
なのに、
異常な圧力。
胡桃の瞳が揺れる。
胡桃
「杏奈姉……!」
涙声だった。
杏奈は胡桃の頭を優しく撫でる。
杏奈
「迎えに来たよ、胡桃。」
海斗が立ち上がる。
海斗
「っ……
いつ入った!?」
蓮
「動くな!!」
殺気が走る。
だが杏奈は、
笑ったままだった。
杏奈
「怖い怖い。」
そして。
胡桃が、
杏奈の袖を掴む。
瞬間。
空間が歪んだ。
一樹
「!!!
転移術式──!」
紫の霊糸が爆発する。
視界が白に染まり。
次の瞬間。
胡桃と杏奈の姿は、
完全に消えていた。
静まり返る地下。
その中で。
消える寸前、
杏奈の笑い声だけが残る。
杏奈
「さよなら、
坊や達。」
杏奈
「クスクスクス……。」
沈黙。
そして。
海斗
「……何今の。」
誰も、
すぐには動けなかった。




