表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓ノ血族(はらいのけつぞく)  作者: ハルヤ
第1章 「帰してもらえない胡桃」
3/112

地下アジト

胡桃のスマホが震えた。


静かな地下アジトに、

着信音だけが響く。


全員の視線が、

テーブルの上の鞄へ向く。


海斗


「……鳴ってる。」


紫苑


「出ろ。」


一樹は無言で胡桃の鞄を開け、

スマホを取り出した。


表示された名前。


──『真奈姉』


一樹は僅かに目を細める。


そして通話ボタンを押した。


一樹

「もしもし……。」


数秒の沈黙。


低く、

静かな女の声が響いた。


真奈

『……誰だ、お前。』


空気が変わる。


ただの声なのに、

背筋に冷たいものが走った。


一樹は表情を変えず答える。


一樹

「お嬢さんが、

見なくていいものを見てしまったので。」


一樹

「現在、

こちらで保護しています。」


沈黙。


そして。


真奈

『……ほぉ。

保護。』


静かだった。


静かすぎた。


真奈

『それは助かります。』


真奈

『では今すぐ行きますので、

場所を教えていただけません?』


一樹

「それは無理ですね。」


間。


真奈

『……は?』


初めて、

温度が落ちた。


その一言だけで、

空気が凍る。


胡桃は青ざめた。

「っ……!」


声を出しかけた瞬間、

隣の玲央が素早く口を塞ぐ。


玲央

「静かに。」


胡桃の肩が震える。


電話の向こうで、

真奈は黙った。


まるで、

何かを聞いているみたいに。


そして。


真奈

『……今、

胡桃の声が聞こえましたね。』


一樹の目が細くなる。


一樹

「気のせいでは?」


真奈

『いいえ。』


静かな声。


だが、

確信している。


真奈

『あと、

後ろで煙草を吸ってる男。』


紫苑の動きが止まる。


真奈

『殺気がうるさい。』


沈黙。


神崎組の空気が変わった。


この女、

何かおかしい。


一樹は初めて、

警戒を強める。


一樹

「……何者です?」


少しの沈黙。


そして、

真奈は静かに笑った。


真奈

『それ、

こちらの台詞です。』


通話が切れる。


地下アジトが、

静寂に包まれた。


その中で、

海斗が小さく呟く。


海斗

「……怖っ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ