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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

気まぐれ企画 思いのほか沢山の知人が、異世界転移していた件

作者: 赤川ココ
掲載日:2025/11/12

無自覚旦那と、可愛い妻夫婦、他の二組と合流です。

 先日、エルフの村が魔王夫婦に襲撃されたらしい。

「近いな?」

「そだね。というか、まだ行ってないのに、可笑しいね?」

 クリスの呟きに、メルは別な疑問を感じながらも答えた。

 こちらきてから数日、二人は衣食住を確保しつつも、地球に戻る手を探していた。

 その手掛かりとして、時々現れる、異空間への裂け目の気配を感じるところに向かうことにした。

 ゴブリンが棲家にする里を皮切りに、翼竜が生息する山奥、地底に住まい人を襲うミミズが生息する砂漠など、妙に危ない場所にその気配が点在しており、例の魔王夫婦とやらが襲撃する前に、自分たちが寄っていた。

 もしや、これは私たちのことか?

 と、メルは疑っていたのだが、どうやら違うらしい。

「……どうする? もしかしたらまだ、その魔王とやらは、その村にいるかもしれない」

「それらしい気配は? あるの?」

「それが、ないのだ」

 だったら何も問題ないが、万が一滅びてしまっているなら、行っても意味がない気もする。

「一応、覗くだけしてみる?」

 という事で、ふたりはそっと、村を覗くことにした。

 木々で覆われていたはずの森は、見るも無残なことになっており、村の様子も遠くから一望できた。

「ん?」

 遠目で人の有無を確認していたメルは、村跡らしき開けた場所に並ぶ、人波を見つけた。

 この辺りでは見ない、炊き出し現場の様だ。

「……」

 その先頭の方に、大小の男女が鍋の前に立ち、笑顔で配膳しているのを見て、あれ、と思った。

「? あの二人は……もしや?」

「夫婦じゃないね」

 クリスの呟きを拾って答えたメルは、周囲を見回した。

 あの二人がいるという事は、二人の伴侶もいる。

 そんな確信と共に探すと、案の定、視界の片方ずつに一人、男と女がいた。

 どうやら、枯た樹木の根を掘り出し、新しく木の苗を植えているようだ。

 メルは、その内の女の方に歩み寄った。

 長身の清楚な美女に見えるその女は、何本かの植樹を終えて、背筋を伸ばしたところだった。

「ああっ。ようやく十本か。これが成長するまで、家も作れないし。長期間滞在になりそうだなあ」

 伸びながら嘆く女に、メルは声をかけた。

「成長させるまでいる気なの? ボランティアで?」

「え? あれ? メルっ?」

 思わず女が上げた声で、配膳をしていた長身の男が顔を上げた。

 そして、目を丸くする。

 その隣で、小柄な女も顔を上げ、声を上げた。

「ひい御祖父さんにひい御祖母さん? 嘘。二人も祖父さんに連れてこられたのっ?」

 列の住民たちに一言告げ、二人はこちらに近づいてきた。

 すると、向こう側にいたもう一人の長身男も、急いでやってくる。

「お久しぶりですね。(みやび)たちの披露宴以来です」

「そうだね。ミヤとはよく会ってるけど。元気にしてた?」

「ええ、まあ」

 曖昧に頷いた男、狭霧(さぎり)は複雑な顔になった。

 荒治療で元気にはなったが、それだけだったからだ。

 それを察したメルは、顔馴染みたちに説明を求めた。

「……ちょっと、加減を間違えちゃって」

 誤魔化すように笑いながら、小柄な女朱鷺(とき)が説明した。

「暴走する大樹を数本枯らすつもりが、村全部と森の木全部枯らしちゃって……」

「あの容姿で泣かれたら、ちょっと罪悪感が……」

 長身の優男が、困ったように説明し、後ろの住民たちを見たのを見て、夫婦はなるほどと頷いた。

 エルフという奴は、長寿の割に容姿は幼い。

 子供には優しい四人が、罪悪感で一杯になるのは仕方がなかった。

「? 元に戻すことは、出来なかったのか?」

「できませんよ。成長の促進剤は作成可能ですけど」

 朱鷺の答えに、クリスは硬い表情のまま首を傾げた。

「そうか。なら、これはお前たちへの、結婚祝いとして、受け取ってもらおうか」

 ?

 四人が、目を瞬いた。

 雅たちは、子供が十代後半に突入するほど、結婚生活は長くなっているし、朱鷺たちに至っては婚姻関係にはないのに、何を言っているのかと思った事だろう。

 それでいいんだよと、メルは笑顔でその戸惑いを受けた。

 単に、言い訳が欲しいだけなのだ、うちの旦那は。

 そんな女房の横で、クリスは無造作に土を一度、足で踏みしめた。

 その瞬間、森は蘇ったのだった。

 そしてその瞬間、勇者夫婦が誕生した。



 


何かと流行をさらうお二人でした。

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