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アルティメイト ~最凶な世界でもエンジョイライフ~  作者: ちょばい


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79/82

19.その頃ピエロは…

【???視点】


あらすじ!

私は??? 女の子で多分10歳くらい?

正確な誕生日も産まれた年を知らないからわからないわ!


人身売買してる奴らに攫われ、首に爆弾を付けられた私は自分でこっそり首の爆弾を解除し逃げる隙を伺っていた!


伺っていたら薄い布切れを一枚着ただけの、女装した頭のおかしい男が一人で人身売買組織をぶっ壊し無くなって自由になった。


なんでこいつが、体型も完全に女性だけど男だってわかったって?…私の目は節穴じゃないのよ。


しかし、そんなやべぇやつに元シェルター住民の連中がゴネた結果、騒いでたやつの一人が殺された。そして私たちは女装男の手によって売られる立場に逆戻り。


で今に至る…

あらすじおしまい!


ふっ、どうしたもんかなぁ…

私は独房の隅で静かに息を潜めていた。

あの女装男がいなくなって他の奴らも徐々に騒ぎ始める。


「てめぇらが騒いだせいで俺達売られる立場に逆戻りじゃねぇか!」

「余分なことして…結局逃げられないじゃないのよ!」

「し、知るか!アイツが俺達を助けるのも責任の一つだと思ったんだよ!普通はそういうもんだろ!」

「シェルター暮らしの連中は頭お花畑だからヤダなんだよ。外に【人助け】したがるお人好しなんて滅多にいねぇんだよ!」


うわぁ、めっちゃ揉めてる。殴り合いとかに発展するだろうなこれ。巻き込まれないように人の少ない入り口の方に移動しよ…ってかあの女装男、牢の鍵開けっぱじゃね?


移動して牢の扉を押してみる。


キィーー…


そこそこな音を立てて牢のドアが開いた…

後ろで聞こえてた騒ぎが止まる。

騒いでた連中の一人が聞いてきた。


「…開いてるのか?」

「開いてるわね」

「…逃れるのか?」

「…さあ?首の爆弾の解除の仕方さえわかれば逃げれるんじゃないかしら?」

「…」

「…」


ぶっちゃけあの女装男が首の爆弾を起爆して私達を殺すことはないだろうと思っているが、今暴動のようにドアに殺到されたら私は間違いなく潰されるだろう。


なので少し躊躇うように嫌がらせだ。


「少し外を見てみます」


私は開いたドアからゆっくりと顔を出した。暗い通路に小さな電球がいくつかぶら下がってるだけの景色と、先ほどまで威張り散らかしていた、ここのクソ従業員共の死体が転がっているだけだ。


そして誰かに見られているという気配も感じない。とりあえずここは安全と。一番近くに転がっていた死体を調べてみる。


死体は心臓が胸から飛び出ている。奇妙なのはその心臓に繋がっている血管が千切れていないところだ。どうやったらこんな状態にできるのか…


そして体のあちこちは傷つけられた跡があった。どれも傷口が浅い。明らかに嫌がらせ目的なのがわかる。直接的な死因はわからなかったが殺し方に女装男の性格の悪さがにじみ出ている。死に顔も苦悶の表情だ。体を漁ると私達を脅す用の偽の起爆スイッチと、首輪を外す解除キーが出てきた。


他にも少なくないお金とかもあったけど、今これを持っていてもしょうがない。こういうのを持つ時は身を守る装備が手に入ってからだ。


私は自分の首輪に解除キーを当てて首輪のロックを外した。スッキリスッキリ。


後ろを見ると私が何をしているか気になった人たちが牢のとこから覗き見ている。


「首輪、これで外せるわよ」


解除キーを投げ渡すと案の定人が殺到した。我先にと爆弾付きの首輪を解除しようとしている。私はこの隙に逃げさせてもらうわ。


「あーあ、ぐっちゃぐちゃだ。いやだねぇ生に執着してるやつらは。うるさいしめんどいわ」


私と同じくらいの歳の男の子が話しかけてきた。首輪は付けたままだ。


「あなた、それ外さなくていいの?」

「別にいいだろ。どうせアイツは起爆しやしねぇよ」


そして人の密集から抜けてきた女の子がこちらに駆け寄ってくる。この子も首輪を付けたままだ。


「もう…大人って嫌い」

「わかる」

「わかるわー」


さて、あんな大人は無視無視。

私達は独房からできる限り早く離れるように移動した。他2人は同じようにその辺に転がっていた、胸から心臓の飛び出た死体を漁り自分の首の爆弾を解除していた。


「チッ、人の命をおもちゃみたいに…この殺し方は完全に遊んでやがる…」

「胸から心臓をちぎれない程度に引っ張り出すなんて…どういう技?普通じゃない」

「一人で組織ぶっ潰すような実力者よ。普通なわけがないわ」

「…そんなやつから逃げれるかしら?今更だけど」

「…」

「…」


逃げれないかもしれない…がどうせ逃げなくてもクソみたいな人に売られて人生おしまいだ。ならチャンスがある方に賭けたほうが良いに決まってる。


黙っていたら男の子が顔を歪めながら、言いにくそうに提案してきた


「…案がある。もしアイツに見つかったら三人バラバラになって逃げる。追いかけられた奴は運がなかったってことで」

「いい案」

「私もその案でいいと思うわ」

「…そんなにあっさり乗るのかよ。我ながら酷い案だと思ったんだが」

「むしろ三人仲良く協力してもどうこうなるやつじゃないわ。それならむしろバラバラに逃げたほうがマシよ」

「そう」

「いいねぇ。じゃあ僕が一分待ってあげるからみんなで逃げてみて?」

「!!!」


気づかなかった!

いつからだ!

後ろを見るとあの女装男が立っていた。格好は相変わらず薄い布切れ一枚で女性の姿をしている。


「ほら、ハリーハリー。もうカウントしてるよ?急がないと」


私達は全力で走った。しかし予感する…


【私達は逃げられない】


でも諦めるわけにはいかない。あの女装男に一杯食わせてやる!


2人は別のルートに行ったのか、もういなくなっていた。

私は看板に【食料庫】と書いてある扉を見つけた。そして大量のパンモドキの粉を見つけ全力でバラ撒く。そしてバレないように…


ドガァン!


勢いよくドアが開いた!奴だ!拾ったチェアッカマンに火を!粉塵爆発で…

「無駄だよぉー。道連れはゴメンなんだよね」


火がつかない!なんで!


「さあさあ、他の二人みたく大人しく掴まり!」


奴が扉から三歩進んだ位置にナイフが奴の頭に向かって飛ぶ罠を仕掛けておいた。しかしこれは当たらないだろう。避けられることを予想して足元に…


カァン…


ナイフは奴の頭に当たったが硬質な音を立てて地面に転がった…避けないのかよ…


「んー…残念!この程度じゃ僕は止められないよ?」

「…降参よ。何よあんた…皮膚の下に鉄板みたいなのを仕込んでたの?」

「そうなんだよねぇー。じゃあほら、戻るよ?」


奴はそう言って踵を返した。


ところで私の、本来ならナイフを避けた先に仕掛けた罠が発動する。

天井からネッチョリとした、売られる私たち用の栄養食を撒き散らす罠だ。少しアレンジを加えているので粘着力が接着剤のようにマシマシになっている。


しかし本来は体勢を崩し、この追い打ちで驚いて転んでくれないかなくらいの気持ちの罠だったが。立ち姿勢にダイレクトに命中したせいで髪と顔が凄いことになってる…普通の皮膚でアレを浴びてたら剥がす時大惨事ね。


「うわぁーーー!」

「アハ、アハハ♪やった…最後にあんたに嫌がらせができて良かったわ…」


私はナイフを手に持った。

その刃を自分の首に当てる…

さあ、自分の人生に幕引きよ。





パキャァン!


「!」

「ダメダメ、そんなつまらないことは許さないよ」


顔がネバネバになったままでアイツが私のナイフを蹴りで弾き飛ばした。

手がじんじんする…


「あーあ、この皮はもう使えないや」

「…やっぱりその姿はハリボテなのね。女装男」

「えっ?わかってたの?変装は自信あったんだけどなぁ。いつから?」

「最初からね」

「ふーん。まあ落ち着きなよ。まだ君は自暴自棄になるには早いよ」


女装男は座り込んでた私に手を伸ばした。


「きっと君の人生はここから超面白くなるはずさ♪」

「…何よそれ」


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