17.クソマッチポンプ
【リベンジャー視点】
ワームを殲滅後、姉御がどこからともなく現れ一人生き残ったチンピラに向かって歩いていく。アイツは確かあのグループのリーダー的なやつだったよな。
ってかなんでアイツはまだ生きてるんだ?あのワームの集団の中を生き残れるとはとても思えない。現にまだ何が起こったのかわからないという、放心状態で固まっている。
「はい、チーズ」パシャリ
「…へ?」
姉御がそのチンピラリーダーの写真を情報端末で撮った。
「今のあなたの写真をあなたの所属していた組織を滅ぼしてしまった人に送ってあげるんですよ。私の部下って悪趣味な人が多いんですよね。申し訳ありません。ああ、あなたを守っていたのは私です」
「…そうすか」
早口で姉御が喋る。変だと思ったら姉御がなんかやってたのか。そしてピエロはクソ野郎だったことを再認識した。
「で、次は俺を殺すか?いいよやれよ!外のルールはわかってる。騙されたやつがわりぃんだ!なんだよリベンジャーと金と車盗んだガキがグルだったって…しかも組織も裏でやられてるし…クソマッチポンプが!」
チンピラリーダーが自分の髪の毛を毟りながら叫ぶ。まあ実際クソマッチポンプではある。でも少し勘違いをしているので訂正しておく。
「ケケケ、一応言っとくが、俺がマッチポンプって気づいたのはお前らんとこの依頼を受けた後だぞ」
「…どういうことだよ」
「そうだな…最初から説明するか。というかお前らも少しわりぃからな?」
そもそも俺は子供をぶっ殺せなんて胸糞わりぃ依頼は受けねぇ。こいつらはターゲットが子供であることを伏せ、俺に依頼してきた。
【車と金を盗られた。盗った奴を殺してほしい】
ザックリとだがこんな感じだ。で意気揚々とハンチングに出かけたらターゲットが今話題の仲間の弟子でもうどうすっかなぁ…って思いながら移動していた。
そしてその移動中、依頼してきた奴らのボスが死んだという情報が入った。ピエロの奴がこいつらの商品パクって俺達の仲間に売ってやがったし…もうめちゃくちゃだ。
でも前金貰っちまったし、アミューの弟子の子供達の実力も気になったので軽く揉んでやろうか。で今に至る。
という説明をチンピラリーダーにすると地面に丸まり頭を抱え…
「なんだよそれ…嘘だろ」
「嘘じゃねえよ」
「ふふふ、偶然って怖いですよね」
「あーあ…もう早く殺してくれ」
姉御が俺の方を見る。
「あなたが殺します?」
「いや?俺はそもそもこいつらを殺すなんて依頼は受けてねぇから殺さねぇぞ?」
「リベンジャーじゃなく妹の方に聞いてるんですよ」
あっ、そっち?でもそっか。確かに殺すならこいつか。
「わたち?んー…いっかなぁ…かわいそうだから?」
「かわいそうと思うなら一思いに殺してくれよ…」
「むー…がんばれ?」
ルナはチンピラリーダーを見逃すことを選んだようだ。でもこいつをかわいそうって…酷いことしまくってたやつだから別にかわいそうではないんだがな。
「ふぅ、なんか助かっちまったみたいだなお前だけ」
「助かってもどうすりゃいいかわかんねぇよ!」
「まあ生き残ったんなら前金返すわ。依頼は失敗に終わっちまったし。ほら、口座教えろよ。ボスは死んじまったからお前個人の口座な。」
「…あ?」
チンピラリーダーが意味がわからないといった顔をしている。別に金を返す必要はないんだが、俺自身が依頼に失敗した金を貰ってるということ自体が許せない。要するにただの自己満足だ。チンピラリーダーが震える手で取り出した情報端末を手に取りその口座に金を振り込む。
「よし、1千万エルンきちんと返したぜ。ついでに迷惑料でもう1千万エルン振り込んでおいた。自由に使え」
そしてチンピラリーダーに自身の情報端末を投げ渡した。
チンピラリーダーが自身の口座に振り込まれた金を見て固まっている。
「ふふふ、お優しいことで」
姉御が指を振ると横転していた1台の車が宙に浮き、破損していた個所が修復していく。再び地面に着地する時には新品同様に車が直っていた。
「はいどうぞ。今の私は機嫌がいいのでサービスをしてあげました」
何その技…手品?
「…はぁ」
チンピラリーダーはため息をつき、車に向かって歩いていく。そして無言のまま、こちらを振り返ることもなく車に乗り込みエンジンを吹かし、そのまま荒野の果てに消えていった。
「ああいう奴らは捨て台詞の1つや2つ吐いていくものなんですけどね」
「…ケケケ、俺もアイツの立場だったら無言で消えるぜ?」
「これでおしまい?」
ルナが俺の髪の毛を引っ張って聞く。
「ああ、おしまいだ。姉御、血が足りねぇから美味い飯なんかくれよ…」
「あらあらちょうどいいですね。今ホウレンソウという造血の効果がある食材がありますよ?」
「お!いいのかよ!マジで?食ってく食ってく!」
言ってみるもんだぜ!ホウレンソウが何なのかは知らないが楽しみだ!
「わたちもおなか減った!食べる!」
「ふふふ、ではこのままお食事会の続きといきましょうか」




