13.VSリベンジャー その2
【ウィルン視点】
妹と強そうな男の戦いが激しすぎて手を出すことができない…
僕は後ろの、大勢の奴らと銃撃戦を始めたがどうも決定打に欠ける。
それは僕の武器の射程が短く、敵に着弾するまでに威力がかなり落ちてしまうからだ。
強そうなレーザー兵器も相手の電磁バリアで簡単に防がれている。
恐らく最大威力の射程は妹とあの男が戦ってるところ辺りまでだろう。
(僕は…どうしたらいいんだ?)
このままではどう考えてもダメだ。戦いという場で役に立っていなさすぎる。
『ふふっ、悩んでいるようですね』
「あ、姉御さん!?」
『姉御でいいですよ。この声はあなただけに届けています。では、悩める兄に一つ助言をしてあげましょう。【アサルト】というのは昔、【突撃】という意味がありました。以上です』
「ええ?」
姉御の声が消える…この装備の名前が確か【ネオアサルトシリーズ】…突撃…僕も妹みたいに前に出ろということか?
(違うな、そんな自分からただ死にに行くような方法が良い訳がない)
僕が考えている間にも妹と男の戦闘は進んでいく。今度は妹が男にダメージを与えた。妹のナイフが刺さり全身血まみれだ。
『マジかよ!』
『リベンジャーがやられてるぞ!』
『早く本気出せよ!噂が本当ならそんなガキ程度に血まみれにされるわけねぇだろうが!』
相手が動揺している。今のうちだ。僕が今できることを模索してみよう。ルナの装備には色々な機能が付いていることが戦闘を見ててわかった。なら俺の装備にもあるはず…
(ん…?)
僕の周りに浮いているレーザーを発射する浮遊物が僕の意思で、各々動かせる…っ!頭が痛い!でもできた!後は…この浮遊物は単体でも電磁バリアを張れる。
よし、これなら…僕も前に行ける!
ドンッ!
真ん中の戦闘ではまた変化が起こっていた…
ルナが男の銃を受けて後ろに吹っ飛んでいた。
「ルナーーーーッ!」
【リベンジャー視点】
俺は背中の武器、強化散弾銃を左手に持ち。飛んでくるナイフと止まっているナイフをまとめて吹き飛ばす。この方法に頼らないといけない自分に対する嫌悪感が止まらない。
「ずるい」
「ケケケ、俺もこれはズルだと思うぜ?ただよう、あんまり遊んでる時間は無いんだわ」
そう、紫で傷口は塞いだが、抜けた血が戻るわけではない。フラフラするし吐き気もするし、もうこれ以上この【茶番】を続ける体力がないのだ。
妹もそれがわかったのか、次の動作に誘いが入る。察しが良くて助かるわ。俺はその誘いに乗った。俺は妹が飛んでくる軌道上に丁寧に強化散弾銃の銃口を合わせ…発射する。
銃弾は綺麗に妹に命中し吹き飛ばすことに成功した。妹は地面をコロコロ転がり動かなくなった。
「ルナーーーーッ!」
兄が叫ぶ。そして駆け寄ってくる。俺に対して殺意マシマシで…こっちは勘が鈍くて困るな。
俺は素早く妹の側に移動し鎌の刃を首元に突き立て兄の方の行動を牽制した。そして殺気を飛ばし。
「動くなよ?妹殺すぞ!」
「…ッ!」
兄の動きを止める。
無線から雑魚どものヤジがとんでくる。
『いやさっさと殺せよ!』
『何手心加えてんだ!』
『こっちは高額な依頼料払ってんだ仕事しろ!』
マジでうるせー、声だけは一丁前に出しやがる。俺は溜めてた一言を言ってやった。
『ケケケ、おうそうだな。じゃあ今から殺すから金くれよ。依頼料払ったって言ったって正確にはまだ前金しか払ってないだろ?今から殺すから全額払えや』
『…払ったら本当にやるんだな?』
『依頼に対して俺は嘘はつかねぇよ』
『チッ!電話をよこせ』
さてさて、ここからが面白いとこなんだよなぁ…無線にも電話の会話内容が乗ってきた。気が利くじゃねぇかよ。
『すみませんボス、リベンジャーの野郎が依頼料全額払えとのことで、今すぐ口座に金を振り込んでもらえませんか?』
『…』
『ボス?』
電話をかけたやつが固まってる。
そして電話からは俺の知り合いの声が聞こえてきた。
『むふふ、ボス?ボスって誰だい?』
『おい!誰だお前!』
『君達のボスはねぇ〜?死んじゃったんだよ?人身売買してるやつが自分の商品にボコボコにされる風景はとっても面白かったんだ♪ああ、ここのお金は全部僕のモノになっちゃったからそっちに送ってあげられないんだごめんね?』
『し、死んだってどういうことだよ!無茶苦茶言ってんじゃねぇよ!そもそも誰だよお前は!』
『しがない道化師さんだよ?僕は今ここの商品を売るのに忙しいんだ。じゃあね〜』
電話が切れた。
電話をかけたやつが呆然としている。
最初から俺は知っていた。
こいつらが依頼料を払えなくなっていることも。
ここが姉御の大事な畑と工場のすぐ近くということも。
この兄妹がサインのとこの生物兵器、ダイナロイドのアミューの弟子ということも。
何故なら俺も【ウキウキ♪フロントラインウォーカー部】の一員なのだから。
全てを知りつつ、だからずっと手加減して戦っていたのだ。妹の方は俺が殺す気が無いことに途中から気づいたのか、ナイフを投げる時、一発で死ねる頭はあえて避けて投げてくれていた。
「ケケケ、依頼料は払えないようだなぁ。じゃあ前金分として片方制圧してやったんだからもう片方は自分達でなんとかしてくれや」
俺はもうダルいのでその場に座り込んでやった。兄の方はわけがわからないようで、また固まっている。この程度で思考停止してるようじゃこの先生きていけないぞ?頭がいい奴に多い癖だ。
(おら、お前の相手はあっちだろ?さっさと行け)
俺は兄にジェスチャーでそれを伝える。投げやり気味になっちまったが俺の意図は伝わっただろうか?すると兄は俺を睨みつけ、そしてそのままチンピラどもに向かって走っていった。
「ふぅー、妹ちゃん。名前は?」
「ルナ」
「すげー強かったぜ?その歳の割には。頑張ったんだな」
「うん」
俺の強化散弾銃をもろに受けたが、しっかり前方にバリアを張って身を守り、倒れた演技をしてくれたルナと、兄の戦闘が終わるまで雑談することにした。




