11.弟子ブーム
【サイン視点】
ピエロの奴が人身売買の告知を部内全体に送信した。ついにうちの群れでも人身売買始めるやつが出たかぁ。と思って詳細を見てみると経緯が書いてあってなるほどっとなった。
面白半分に人身売買組織をぶっ壊してみた。
↓
商品(人間)が助けてと懇願
↓
じゃあ僕があなた達を売りますね(にっこり)
鬼畜かな?
「あんた達って本当に自由よね…」
「みんな好きなことを勝手にやってるからな」
「?」
兄妹がよくわかってないという顔をしている。そりゃ記事見てないからわかんねぇよな。
「なんかなぁ。さっき俺らの仲間の一人が人身売買してる奴らをぶっ潰したから、誰か人買わん?ってメッセージが来たんだ」
「?」
「ふーん…うまーい!」
ウィルンは話を聞いてもよくわからないみたいな表情。ルナはそもそも興味がないのか野菜料理に舌鼓を打っている…君、お姉ちゃん先生にだいぶ染まってきたね。
「ほとんど捨て値な値段ですね…人間が保存食とおんなじ値段で売られてますよ」
ピエロ自身も興味ないのがそこに現れている。テキトー過ぎるだろっ!
「まあいいか」
どうせ俺は買わんし。ルナと同じように飯を食べるのに集中しよう。
「ドクター、あんたは買わないの?一番この中だと買いそうだけど」
「ふへへ、偏見がひどいですね。買いませんよ。私の肉人形達のほうが使えます」
「人体実験とかしてそうだもんな。雰囲気的に」
「昔はしてましたよ?」
「してたのね…」
「買うやつなんているのかねぇー」
俺がポテトをかじりながら疑問を呟くと、まだ端末を見ていた姉御が…
「…いえ?意外と売れてますね」
「ええっ!」
俺は驚き情報端末をまた取り出し確認してみる。
おー、マジだ…子供が中心に売れてる…
「…なるほど、これは多分サインとアミューが原因でしょうね」
「俺達?」
「なんで?」
心当たりが何もないんだが…
「…弟子ブームです。あなた方がそこの兄妹を鍛えたのを見て、自分も弟子を育ててみたくなった人達がこぞって子供を買ってるみたいです…」
「ええー…」
みんな…単純すぎるだろ。
「私が集めた人間がこういう単純な性格な人が多いのは自覚してますが、ここまで単純なのはどうかと思いますね…」
姉御が頭を抱えている。
そんな中ウィルンが何か聞きたそうにしているのでちょっと聞いてみる。
「ウィルン?どうしたんだ?」
「な、なんかこう…少し待ってください」
どうやら考えをまとめているみたいだ。ポテトを食べながら待ってやろう。
【ウィルン視点】
「…あの、僕達って今その…あなた達のグループ?」
「群れ!」
「…群れの中のどういう立ち位置?なんですかね」
「さあ?知らん。とりあえず仲間ではないな。アミューの弟子って立ち位置じゃないか?」
「……仲間……ではないんですね」
そうか…僕達は彼らの仲間じゃないんだな…
ルナも食べるのをやめてじっと会話を聞いている。姉御?さんもこちらを見て話す。
「そうですね。仲間ではないです。私達の群れに入る最低限の条件を満たしていないので勧誘もしません」
「…その最低限の条件って教えてもらえるんですか?」
「教えませんよ。でもそれは今教えても無理だからです。アミューにきっちり鍛えて貰うのが近道ですね。一つ言っておきますが、私はそれさえ満たせればあなた達を勧誘してもいいと思っています」
「な!なるほど…」
「……ふーん」
ルナの目がガチだ…僕も気合が入る。
「ウィルン!ルナ!大丈夫だよ!美味しいものをたくさん食べて特訓すればきっと私達の仲間になれるからね」
「うん!わたち頑張る!わたちもおかわり!」
「…俺もお願いします」
さっき彼らは弟子ブームとか言っていた…つまり僕達は飽きられたらまた捨てられるかもしれない…それだけは嫌だ。もうこの環境を捨てたくない!僕達は頑張らないと!
ピロピロピロピロ…
なんか鳴り始めた。
「ふへへ、恐らく襲撃ですね」
「警報音可愛すぎだろ…」
襲撃…ここでも起こるんだ…
「あらあら、早速いい機会が来ましたよ?今から来る問題はあなた達兄妹で解決してみなさい。装備は私が用意してあげます。サインの装備はパワーアーマーは悪くないですが武器がショボすぎです。これだからケチケチ武器コレクターは」
「べ、別に…ここらの戦闘で不自由ないからいいだろ…」
「あんた子供に自分の趣味押しつけるとか、反抗期になったとき知らないわよ?」
姉御が手を叩くと机の上に頑丈そうな箱が一瞬で2つ現れた…えっ?
「…どういう技?」
サインも驚いている。
「ふふっ、私の魔法だとでも思っていてください。兄の方は【ネオアサルトシリーズ】、妹の方は【ヴァルキリーシリーズ】ですね。最前線クラスの武器と防具です」
これには他のメンバーも驚いていた…
「僕も知らない装備ですね…」
「絶対に凄いやつやん。俺にもくれ」
「豚に真珠なのであげません」
「最前線って…どういう意味?」
僕の疑問を他所に箱が勝手に開き装備が自動的に装着され始める。
サインのゴツいパワーアーマーとは違い。身体の関節の箇所にカッコいいパーツが付いていく。そして僕の周りを5つ、四角形の何かが浮遊している…銃は僕の身体のサイズに合わせた…こういうのはなんていうんだろう…メカメカしい銃だった。
「その銃自体からは弾は出ません。周りの浮遊体からあなたが狙った位置にレーザーを放ちます。レーザー兵器ですね。ついでに腰にもう一つ実弾の銃が付いてます」
「なあ、本当に俺にもくれないか?」
「あげません」
すっご!本当にヤバそうな武器だった…
隣を見るとルナも装備を装着していた。
ルナの装備は天使っぽい見た目のアーマーだった。小さい羽までついてる…
「妹のは…説明がめんどうですね。まああなたがやりたいと思ったことはできるはずです。感覚で自由に使ってみてください」
「わかった!」
…本当にわかるのかな?
そんなみんなが驚くような危険装備を説明なしなんて…
「行こー!ン兄ちゃん!」
「う、うん…そんな軽い感じでいいのかなぁ…」
僕達は来た道を戻り外を目指した。
【サイン視点】
くっそー!なんかすげー強そうな装備貰ってんだけどあいつら!羨ましぃ!でも…
「姉御…あんな装備でこの辺のチンピラ共と戦わせたらただのリンチだぜ?」
「そうですね…5秒で消し炭でしょう」
「与え過ぎも良くないわよ?」
鍵屋もミツガレも同じことを思ってたのか。そりゃそうだよな…
「…うふふ、果たしてどうでしょうかね…きっといい勝負になりますよ?」
姉御はすんごいニコニコしていた。
「では、私達は食事を続けながら観戦といきましょうか」
姉御が手を振ると今現在のこの拠点の外の風景が目の前に出てきた。




