10.ピエロの悪行
【ハク人身売買所:スタッフ視点】
「マージで大盛況だな!景気良すぎるぜ!またボーナスくれるってよ!」
「シェルター陥落で溢れた人間をとっ捕まえるだけで在庫がじゃんじゃん貯まるわ。平和ボケしたやつらは攫いやすくていい」
そう、俺達は近年稀に見る好景気。人間を格安で確保できて売り放題。金庫にエルンの山が積み上がっていくのを見るのが楽しい。
それに…
「俺ちょっと摘み食いしてくるわ」
「ああ、行ってこい行ってこい。今なら選び放題だ」
「こういうのをできるのが俺達の役得なとこよな」
俺は人間を捕らえている檻に進み、自分の好みの女を選ぶ…檻に捕らえた人間にはちゃんと首に爆弾を付けてあるので抵抗される心配はない。今日はコイツにするか。
「いや!やめて!」
俺は抵抗する女を引きずり自分の部屋に連れ込んだ。
「ふぅ、今日も疲れたぜ。好景気なのはいいが忙しいのがな。さぁて、いただきます!」
「やぁーーーーーーー!」
「なんてね?」
「は?(ドサッ!)」
お、俺の両足が…消えた?血は出ていない…痛みもない
「むふふー、やっぱり人生思い通りになってる奴を蹴落とすのは気持ちがいいねぇ」
俺の選んだ女は首の爆弾を引きちぎり外してしまった。ちょっと待て!
「お、おい!なんだ!なんなんだお前は!そんな芸当パワーアーマーがないとできないはずだぞ!」
そう、こいつは薄い布切れ一枚しか着ていない。どこからどう見てもパワーアーマー着てるようには見えない!なのになんで!
「はは、ネタバラシするマジシャンがいるわけないじゃんね!さあ!これからが僕のショーの始まりさ!」
「や、やめ…」
俺は引きずられる…足がないので抵抗できない…腕を無作為に振ることしかできない。
「これがあんたの武器?ガンピスじゃん!弾もたくさん入ってる!凄い凄い!」
ドガァンッ!
「なッ!」
「おわっ!」
怯える演技をやめたその女は俺を引きずり、鼻歌を歌いながら俺の仲間を撃ち殺していく。ときおり俺の表情を見ながらニタニタ…くっそ!
女はドアを蹴破りながら移動しているためすぐに騒ぎになったが、俺の仲間達じゃ太刀打ちできない…むしろわざと半殺しにしておき、楽しむ余裕まである。
(つえぇ…なんで、こんな奴が大人しく捕まってんだよ…)
しかも狂ってやがる…半殺しにしたやつの傷口を弄って遊んだり、どうやってるのかわからないが、むしり取った人間の手足を他の人間にくっつけて遊んだり…めちゃくちゃだ。
そして奴は俺達のボスの部屋に着いた。
ボスは堂々と席に座っていた。そしてボスの身の回りにいる精鋭兵達は銃をきっちり奴に向けていた…
「おい………冗談じゃすまないぞ」
「むふふ、冗談でやってると思う?」
「………このスイッチを押したら、ここに捕らえた商品の爆弾が全て起動する。誰を助けてぇのか知らねぇが大人しくするこった」
ボス…そいつは悪手だ…だって間違いなくこいつは…
「え?爆破すればいいんじゃね?」
「………は?」
「さっきの質問?に答えてあげるとね!冗談でやってるんだよ!」
俺達の商品に少しも興味がねぇ…
「僕はねぇ。上手く事が運んでる人間を蹴落としたらどんな顔するのかなぁって気になったからここで暴れてるだけなんだ!ほら見て?コイツは色んな表情をしてくれて面白かった!もう満足したから返すね」
俺はボスの方に向かって投げられた…受け身が取れなくて机に頭をぶつける。
「正気か!」
「正気だよ!ほら、動画も撮ってるよ?永久保存版間違いなしだよやったね!」
「てめぇ!(ボン!)うわっ!」
「な、なんだ!銃が爆発…」
視界がぐちゃぐちゃになって何が起こってるのかわからないが、一つだけわかることがある…
(俺達は…負けたんだ…)
恐らく精鋭でも歯が立たないだろう。これまでの戦闘を見てきて、俺達がコイツに勝てる未来が見えない。精鋭の断末魔が聞こえる…
そしてボスは
「おい…おい!なんだよこれは!」
俺と同じように…足を消されていた。そして手も…血が出ていない…ボスの腕の断面は…元から手足がなかったかのように綺麗に皮膚が張っていた。
「開戦期は暇だからねぇ。いい暇つぶしになったよ。ありがとね」
そして俺とボスは…
「ほら、君達を捕まえた人間達とそのトップだよ?首の爆弾は爆発しないから好き放題できるよやったね!」
捕らえた人間の檻の中に放り込まれてしまった。四肢が欠損した俺達はやつらにとってさぞかし良いサンドバッグになったろうな…
【ピエロ視点】
終わった終わった!今回の遊びも楽しかったなぁ。仕込みも全部活かせし。後は帰って気持ちよく寝るだけだね!
「あの……我々を助けてくださいませんか?」
「ん?」
振り返るとボスと部下を死ぬまでボコボコにした連中が土下座をしていた。
「え?助けないよ?僕はもう帰って寝るから」
何を当たり前のことを言ってるんだ?と思った。遊び終わったこの場所で僕がやることはもう何もない。
「そんな!」
「我々はどうすればいいんだ!」
「やっぱりシェルターの外の連中はゴミだ!」
「こ、子どもだけでも!」
なんか騒ぎ始めた。興味無いので無視して帰るか…あっ、金庫の金は持って帰らないと。ここの金は全部僕のものになったからね…ん?
「そっか………そっかそっか。ここの【物】は全部僕のものになったんだよ…ね?」
「ひっ!」
僕のことをゴミとか言った奴を見てやると僕に怯えている。
「面白いこと考えた!僕が君達を売ってあげるよ!これなら人助けもして僕にもお金が入る!一石二鳥だよ!やったね!」
人売りの真似事でもやってみよっと!
どんな売り方をしても何も責任を取らなくていいし
「ふざけてるのかぶへぇ!」
騒いでるやつを殴り飛ばす。あっ、強すぎたかな?首が無くなっちゃった。そして他の騒いでた連中も静かになった。
「さあみんな!自分の良いところをこの紙に書いてね!もしかしたら良い人に買われるかもしれないよ?」
【???】
せっかく逃げられそうだったのにシェルター暮らしの連中が騒いだせいで、売られる立場に逆戻りしてしまった…ろくな事しない。
私は首の爆弾に触れる…
(大丈夫…起爆装置は解除済み…後はタイミングを見て逃げるだけ)
あの女装したやつの隙を見逃さないように




