4.子供達の訓練 その2
【ウィルン視点】
「ほっほっほっ、孫に弟子ができたと聞いて」
古びたカウボーイハットを被ったお爺ちゃんがサインの家にやってきた。
靡くマントの後ろにはおびただしい数の拳銃が見える…お爺ちゃんなのに強そうだ。
「サインのお爺ちゃん?」
「違うぞ。アミューのお爺ちゃん(諦)のロウさんだ」
「ロウ爺!久しぶりだね!」
「久しぶりじゃのう孫よ。今日も元気そうで何よりじゃ」
「うん!ロウ爺も元気だね!」
…生物兵器のお爺ちゃんとは?
「じゃあロウ爺がいるし今日の訓練は銃にしよう!ロウ爺は私達の群れの中で拳銃を使うのが1番上手な人なんだよ!ロウ爺教えてくれるよね?」
「ええぞ」
「へぇー」
妹もロウさんに興味津々だ…妹は結構な人見知りだったはずなんだけど…あと群れって仲間ってことかな?きっとヤミイチさんもその一人で…他にはどんな人がいるんだろう…
「ほれ」
ロウさんは自分のマントに付いている銃を僕達に渡していく…だからなんでこの人達は子供に本物の武器をいきなりポンポンと渡すんだ…
「銃の握り方はこうじゃ………兄の方、指はもっと銃にしっかり密着させないといかんぞ。妹の方は人差し指の位置を少し下げんと」
「…はい」
「はい!」
「じゃあ的は…サインでいいじゃろ」
「なんでだ!今試し打ち用の的立ててるから待っとけ!」
サインが少し遠くに人型の的を立ててくれていた。
「基本的な狙い方はフロントサイトとリアサイトの高さを合わせて狙うんじゃ。こことここじゃな。それでフロントサイトを撃ちたい箇所に合わせる。後は引き金を引けば発射されるぞ。反動は肘をこう曲げて吸収するように」
妹と僕はロウさんの指示通りに拳銃を持って的を狙ってみる。そして引き金を引いた。
パンッ!
乾いた音と共に反動が腕に伝わってくる。僕の撃った弾はちゃんと的の頭部分に当たった。
パンッ!
妹の弾は的に当たらなかった。
「むー!難しい!」
「引き金を引くときに照準がブレてしまっておるのぉ」
「えい!あーまた当たらない…」
ふふっ、妹にやっと勝てた…剣の訓練の時はボコボコにされたけど…銃は僕の方が上だね。
おっ、またちゃんと頭に当てれた。
「もう!ナイフ投げた方が当たるもん!えい!」
カーーンッ!
妹の投げた投げナイフが的の心臓部分に綺麗に命中する。
「ほう…妹の方は銃よりもそっちの方がええかもしれんの?でもダメじゃよ?戦う時にナイフが無くて銃しかない時に困るじゃろ?ちゃんと練習するんじゃ」
「はーい…」
妹が渋々と言った感じで銃を持ち撃ち始めた。僕も練習しないと。
「ン兄ちゃんはなんで当たるの?」
「兄ちゃんだからだ」
「サイン、拳銃もっと寄越せ」
「ったくよぉー。そんなバリバリ実戦用の拳銃で練習とか弾が勿体ねぇだろ…」
「バカモン。パチモンで得られる経験値なぞたかが知れとるわい」
サインが箱を持ってきた。中にはギッチリ拳銃が入っている…
「使い終わったらこっちの箱な?後で捨てるから」
「銃ごと捨てるんですか!勿体ない…」
「あーそっか。お前らは知らんだろうけど、その武器は【前線武器】っつって…ようは使い捨てなんだ」
「基本的に強い人間らはみんな持っとるぞ。コイツの持ってる量は異常じゃがな」
「武器が好きなんだよ俺は。荷物が一杯でも思わず拾っちまうんだ」
だからこの家は壁中銃だらけなんだな…
僕もそのうちおっきい銃を撃ってみたい。
壁にかかってる銃を見ていたらロウさんが話しかけてきた。
「壁にかかってる銃もいいがの、拳銃だって強いんじゃよ?少し見ておれ。サイン、合図を頼むわ」
「はいよ」
ロウさんの気配が変わる。さっきまで優しいお爺ちゃんだったのに凄い圧を感じる。妹も銃撃つ練習を止めロウさんを見ていた。
サインが手を叩く…とほぼ同時にマントから拳銃を取り出し的の頭、心臓、両手、両足を正確に撃ち抜いた。一瞬だった。
「ふぅ〜、今日は調子がええわい」
「相変わらずとんでもねぇ早撃ちだわ」
「どう?ロウ爺凄いでしょ」
「すごーい!」
「…凄すぎますね」
本当に早かった。僕と同時に早撃ち対決なんてやったら、僕なんて銃を触ることなく死んでいただろう。
「兄の方、筋はいいからちゃんと練習したらいつかできるようになるかもしれんぞ?」
「頑張ります」
「わたちもせめて一回は当てたい…」
僕は拳銃を持ち的を狙い撃つ…あれ?そういえば…
「あの、ロウさんはサイトを合わせてなかったけど、どうやって狙ったんですか?」
「慣れじゃ、慣れたら見んくても当たるようになる。じゃがそのためにも基本の姿勢を練習せにゃいかんからの。横着はダメじゃよ?」
「なるほど…」
「は、はーい…」
妹がロウさんのマネをしようとしていたのか、少し気まずそうな顔をしている…かっこよかったもんな。やりたくなる気持ちはわかるぞ。
【サイン視点】
(…もう俺より強くね?あの兄妹)




