53.アルティメットアーミーワーム戦 の前
ワーム達の共食いが終わった。以前よりも小さく、全盛期よりも弱いそれだが、強さはもちろん最前線で暴れる兵器たちよりも上だ。もしこれに賞金がつけられるとするなら、ベルゼルガよりも高額な賞金がつくだろう。
「オーディエンスの皆様、ようこそいらっしゃいました」
「面白そうなことになってんじゃないのよ人間の領域」
「センジツアッタバカリナノニ、マタスグアウコトニナルトハオモワナカッタゾ魔女」
魔女、観音、武者の3人はまた集まっていた。
そして彼らの前には仲間を食べ尽くし繭になったワームが映っている。
「あのワームちゃん、俺のルールの抜け穴使いやがって…嬉しいねぇ」
「立派な巨大ワームに育ちましたよ」
「イゼンヨリ弱体化ハシテルガナ」
「さて、本題ですよお二人共。あのワームは以前と違い多数の群れから完全な一個体となりました。群れではできなかった【あの称号】を与えるに相応しい存在になったかと」
「そうだな。アレなら何も問題ないだろうよ。俺も納得だぜ」
「…ウヌ、基準ハミタシテイル」
「では、本日からあの個体の名前は…」
【アルティメットアーミーワーム】
「新たな究極種の誕生ですね。まあ、私の畑と缶詰工場を狙うのであれば、誕生日が命日となるのでしょうけど」
「あーあ勿体ない…もうちょい頭が良ければなぁ…」
「シカシ魔女デハナク、ニンゲンタチガタタカウノデアロウ?ニンゲンゴトキニ勝算ハアルノカ?」
「どうなんでしょうね。勝つか負けるか。誰が生き残るかは私もわかりません」
そして3人の前の映像が魔女の仲間達が集結している場所の映像を映し出す…
【サイン視点】
おーおー、集まってらぁ。
姉御からもらった座標データを頼りにトラッパーとアミュー3人、車で移動すると俺らの群れが集まってるのが見えた。
「みんな気合い入ってんなぁ。装備がガチだぜ」
「うわぁ!強そうな人がいっぱいいるね!」
「鍵屋とミツガレもちゃんと来てるな」
あいつらの隠れ家は無事だったんだろうか。
まあ表情的に悲哀感は見られないので大丈夫だったんだろう。
俺達は車に乗ったまま鍵屋とミツガレに近づいた。
「おーい、車はどこにおけばいいかわかるか?」
「あら、あなたも来たのね」
「サインさん、さっきぶりですね。車はあっちの隠しハッチを開けると駐車できますよ?」
「よぉー、鍵屋。俺もいるぜ?」
「ちょ!あんたトラッパーじゃないのよ…あんたもここ所属なのね…」
「っすー、トラッパー様だぜー!」
「コイツ家ワームにふっ飛ばされたから俺んちに泊まりに来てたんだよ」
「マジ萎えよん…」
しょげたトラッパーを降ろして、俺とアミューは車を置きに行った。駐車スペースにも荷物置き場にも兵器がたくさんだ…
「これのどこに置けと言うんだよ…」
「美味しそうな武器がたくさんあるね!」
アミューに少し車を持ち上げ整理してもらい、俺は車を停めた。
改めて見渡すと色んな兵器が置いてあるな。
…こんなんを使うやつと今から戦うと思うと少し怖いな。
いやいや、そうと決まったわけじゃないか…
「じゃあ行こうか」
「うん!」
俺達は外に出る。
「うわああああああーーーーーやめろーーーーー!」
トラッパーがみんなに囲まれていた。少し俺がいない間に何があったんだよ…
近くにいた仲間に聞いてみる。
「トラッパーが何か悪さしたか?」
「違うぞ。見ろよこれ。トラッパーの家が吹き飛ぶ一部始終の映像だ。ちな姉御提供」
「へぇ〜」
サムネがトラッパーのパジャマ姿なのがすでに面白いな。コイツのパジャマ白と黒のシマシマでどっかの監獄に囚われてる囚人みたいなんだよ。
アミューと一緒に動画を見てみる。
『すぅ〜…すぅ〜…』
小さい女の子の人形を抱きしめてるトラッパーが映ってる。すると唐突に爆発音がたくさん聞こえてきてトラッパーが起き出す。
『何々なにナニ!!』
最終的にトラッパーのベッドはトラッパーごと横に吹き飛びトラッパーの抱きしめていた女の子の人形がトラッパーの手から離れ爆風で塵になる。
『あーーー!エリザベスーーー!』
ここで動画は止まった。
…姉御はどうやってこれを撮ってるんだか…
つまり…
「鬼畜人類悪な人間なのに可愛いとこあるじゃない」
「マジで悲惨だな…俺も持ってるぞ…レナって名前を付けた人形…」
「トラッパー、ププ…俺がエリザベスをまた買ってやるから元気出せ」
「もう俺生きていけない…」
トラッパーはみんなにイジられたり慰められているようだ。
「凄い爆発だったね!トラッパーのベットはなんで燃えなかったの?」
「一応自分の罠の対策してたんじゃないか?じゃないとエリザベスと一緒に塵になってないのがおかしいからな」
吹き飛んだって言ってたけど、マジで吹き飛んだんだな…誇張もなく。
「あっ、サインさん。一応これ渡しておきますね。アミューさんの分も」
鍵屋からジャミングカウンターを受け取った。
アミューも受け取って食べた。
「これで僕の妨害に巻き込まれることは基本ないはずです。ちゃんと付けてくださいよ?」
「ありがとな」
「ありがとー」
俺は手を叩きみんなの注目を集める。
「みんなー!肉持ってきたぞ!山程あるから目標が来るまで焼肉パーティーしようぜ!」
「「「おー!」」」
「サインやるじゃねぇか珍しく」
「あれか…」
「その横にいるのがアミューちゃんか。可愛いな」
「お、お前それちゃんと食える肉なんだろうな!」
「酒が欲しくなるもん出しやがって…今飲めねぇのに」
ヤミイチだけがなんかビクビクしてるが気にしないでおこう。ちなみに切り分け済みなのでパッと見ワーム肉とはバレてない。
「料理はアミューがやってくれるぞ!みんな皿とコップを持てぇい!」
「私!頑張るよ!みんな並んでー!」
「ワシの孫の手料理が食えるとは長生きするもんじゃ…」
「孫ってなんだよロウさん」
「ワシの遺産は全部孫に…」
「おいサイン!」
「ロウさんの遺産独り占めする気か!」
「そんな酷いことをするんだねお前は」
「許さんぞサイン!俺だってロウさんの孫になりたい!」
おっと、ワーム肉とバラす前にロウさんのせいで俺のヘイトが大変なことになっちまった…
「い、今はそんなことは置いとこうぜ?いつ目標が来るかわかんねぇんだ!早く食え!」
「ちっ、そんなことレベルじゃねぇが今は見逃してやらぁ」
「ロウさんの遺産を独り占めしたらマジ締めるからな?」
「アミューさん…それなんの肉ですか?」
「ナイショだってサインが言ってた!」
俺達はみんなで焼肉パーティーをした。焼肉パーティーの間に敵は来なかったので最後まで楽しむことができ、大いに盛り上がった。
そしてワーム肉とバラした俺は、群れの仲間から非難囂々の的となった。




