50.アーミーワーム大戦 その3
【サイン視点】
おいおい、シェルター陥落とか何年ぶりだよ。鍵屋の情報端末を見て愕然とした。
あのワームの群れが来たのはここだけじゃなかった。今人間の住んでいる世界全体で対ワームの戦いが始まってるらしい。ここは今そのワームの肉で超焼肉パーリー中だけども…待てよ?
「俺の家…無事か?」
「僕も拠点が気になりますね…」
「…帰った方がいいんじゃないかしら」
拠点の大事な武器を喰い荒らされたらマジで困る!アミューの飯が無くなる!
「アミュー!」
「何!」
ウォーカーの子供たちと遊んでたアミューが飛んできた。
「マズいぞ!このワームの群れ襲撃はここだけじゃねぇ!世界中で起こってやがる!家の物資が危ない!」
「今すぐ帰ろう!」
アミューが体をラプトルの姿に変化させ俺は飛び乗る。アミューなら少し乱暴に乗っても問題ないだろう。子供たちはアミューの変身に大盛り上がりだ。
俺とアミューの話を聞いた、他のウォーカーの方々も焦り始めた。
「おいおい、マジじゃん…」
「ネットの記事にも載ってやがる」
「…やっぱ絶対アイツがあの惨劇の犯人だよな…でもそれどころじゃねぇ…」
「俺達は防衛準備だ!この場を守りきる方向で行くぞ!ワームの肉を燻製して保存食の確保を急げ!」
宴会を中止して防衛の準備をし始めた。
「僕たちも帰りましょう」
「ええ」
「じゃあな!鍵屋、ミツガレ!」
「またねー」
「はい!無事を祈ってますね」
俺とアミューは全力で家に向かった。
…俺はアミューの加速に耐えられずに頭から落ちた…
「…無事じゃなくなったわね」
「今日のサインさんボケてばっかりです」
「ボケじゃねぇよ!すまんアミュー。片手しか使えねぇからそんな速度じゃふんばれねぇ!」
「えーっと…ごめんね?」
アミューは俺を乗せ、さっきより少しゆっくりな速度で走ってくれた。たまに出るワームはアミューが踏みつぶして先に進む。
「…そろそろ着くよ」
「そうだな」
数時間経ち俺達の隠れ家まであと少し…嫌な予感しかしない…俺達の進む方向が発光してんだよ…何か爆発してんじゃねぇか?
「お家…無事かなぁ?」
「あれで無事だったら逆にすげーよ…」
ここで光ってるのが見えるってことは相当な規模の爆発だろ…アミューの手前顔には出さないが頭の中の俺はバク宙30回転くらいしている。もうどうすんだ…
拠点に近づくと俺としては馴染みある声が聞こえてきた…
「世界ーーー!俺が嫌いなんだろぉーーー!世界滅びろよーーー!クソヤローめーーー!」
トラッパーだ。何故か俺の隠れ家にトラッパーが来ているようだ。多分襲撃とかではないだろう…多分?
近づくにつれ何が起こってるか見えてきた。
安っぽいチンピラのような姿をしたトラッパーは俺の隠れ家の入り口で両手を地面に叩きつけながら泣き叫んでいる。
その周りをワームが出たり地面に潜ったり…
罠に引っかかって爆散したりしていた。
ホントに何してんだよアイツ…
「ねぇ、サイン?あの人私知らないけど、サインの仲間だよね?雰囲気がサインと似てる!」
やめてくださいアミュー。俺をアレと同じにしないで…
「アハ、アハハハアハハハ…」
今度は笑い出した。情緒不安定過ぎんだろ…
いや!俺の隠れ家!隠れ家は無事なんだろうな!ちょっと忘れてたわ。
「アミュー!」
「任せて!」
アミューがワーム爆散ラッシュに参戦する。トラッパーの罠をアミューは見破れる。好き勝手に暴れてもフレンドリーファイアみたいなことにはならんだろう。俺は見てる。ワームに見つからないように音を立てず静かに岩陰から。
「助けに来たよ!」
「ほわああああああああ!」
トラッパーはラプトル姿のアミューを見て気絶した。そういや、過去にダイナロイドに追いかけられたんだっけ?トラウマを呼び起こしちゃったか…
「?」
アミューはとりあえずワームを潰すことにしたようだ。ワームの肉片が飛び散る音と爆発音が数十分響き続けやがて静かになった。
「終わったよー」
アミューが人の姿に戻り俺の元に来た。
「ああ、俺トラッパーの罠の位置わからんから、道案内してくれ」
「わかった!」
アミューが手を差し出してきたので、俺はその手を掴む。そしてアミューの後ろを死ぬ気でついて歩く…少しでもズレたら足が無くなるからだ。
そして入り口まで着いた。
「おーい、起きろバカ(ペチ)。何してんだバカ(ペチ)。どこに罠仕掛けたか(ペチ)教えてから死ねバカ(ペチ)」
「バカバカ言うんじゃねぇよぉ!」
あっ、起きた。
「起きたか…お前マジで何しに来たの?」
「…まずは感謝してくれよ。俺お前の隠れ家守ってやったんだぜ?」
確かに、爆発しまくっていたが俺の隠れ家のある周辺には爆発痕がない。守ってたのはマジのようだ。
「それに関してはホントに助かったよ…ありがとな」
「どういたしまして。あ、君がアミューだな?よろしく。俺はトラッパーだ!」
「よろしくね!」
アミューとトラッパーが握手して手をブンブンしている。
「さっきは驚いて気絶してしまってすまんな。俺は少し君と似た生物兵器に襲われて死にかけたことがあったんだ。トラウマなんだ…」
「そうなんだねー」
「…さっきまで泣き叫んだり大爆笑してた男とは思えんな」
最近気づいたが、アミューは本心から仲良くなりたいと思った人とはこう…手をブンブン振りながら握手している気がする。トラッパーはこちらを向き来た理由を話し出した。
「サイン、俺、家、無いなった…」
「すぅ………ご愁傷さま」
「俺、お前の家、守った」
「はい」
「俺、しばらく、ここ住む」
「…………どうぞ」
本当はこんな危険物を家に住ませたくなかった。けどこんなにしっかり隠れ家守ってもらってサヨナラはできんよ…
「さすが親友だ!早く入ろうぜ!」
トラッパーは意気揚々と俺の隠れ家に入っていく。自身で仕掛けた罠なので俺の解除も必要なしにサクサクと…
「やっぱサインの群れの人達は良い人が多いね!」
「アミュー?アイツはいいヤツじゃねぇから…」
なんせ人間殺した数が人間の中で世界一!
歩く迷惑、存在を許してはならない。だれかアイツを仕留めてくれ…
2億5000万エルンの賞金首トラッパー様やぞ…
見た目チンピラだけど。
「何話してんだよ。外は物騒でさみぃし早く来いよ!」
「ここ俺んちな?」
「私外のお肉集めてから行くね!」




