11.ミドリノシェルター跡地 新たな仲間
【サイン視点】
アミューが脱いだパワーアーマーを整備しながら待ってる。おうふ、出力以上の力を素で持ってるせいか関節部分のパーツの形が少し変わってらっしゃる…
「っていうかアミューさんそのアーマー要らないですよねぇ。なんで着てるんでしょうか?そのままの方が強そうですよあれなら」
「群れの見た目は一緒のがいい?統一感が大事?的なことを言ってたような気がする」
「ならしょうがないですねぇ〜」
うわぁ、足とかこれマンティスの目が張り付いて…きも、やっぱり戦うのは良くないなぁ。でもアミューは戦うの好きそうだし。
「戻った」
「!ああ、戻ったか…」
透明のアミューに後ろから話しかけられて心臓止まるかと思った…アミューと出会った時のことを思い出す。
「ほら、お前も迷彩解除する」
「…はい…」
アミューの姿が見えるようになった。
アミューが抱えてるのは…び、美人だけどアレまみれになった女の人だった…
「えっと、生け捕りにしてきたんですね。おまかせで頼みましたけど、まさか…言い方が悪いかもですが殺して帰ってくると思ってました」
「前にサインから聞いた。人間殺しすぎるのは良くないって」
「おおー偉い偉い、でも前にも言ったけど襲ってきたのを返り討ちにするのはいいからな?遠慮して怪我とかするのも良くないぞ」
「うん」
抱えられた女の人はアミューの方を見て固まってる。
「だ、ダイナロイド…」
怖いよねわかるよ?でも慣れたらいい子だから。俺の娘だから。そう、そっと床に女の人を置けて偉い!
「で、どうする鍵屋。撃たれたのはお前だからお前が決めていいぞ」
「生け捕りは想定外ですからねぇ、どうしましょうか…」
「私を見逃してくれるならおいしい場所を教える!ってか鍵屋ってあの鍵屋かよ!ふざけた格好してるカモだと思って仕掛けたのに…」
「だよな、ふざけた格好なのはわかるぞ。」
「失礼な、僕のお気に入りなんですよこれ」
ちなみに鍵屋は有名人だ。鍵屋には様々な依頼が来る。開かない金庫の開錠や廃墟された施設のセキュリティの解除。しかし一番依頼されるのは賞金首トラッパーの回収し忘れた罠の解除だ。依頼者もまさか2人が一応仲間であるとは知らないのであろう。意図してやっているわけじゃないが依頼者からしたらとんだマッチポンプだなと思う。
「じゃ、じゃあ僕の彼女にな(ブブブッ)こんな時に姉御からメッセージが…」
「おいお前自分を殺そうとしたやつに何を頼もうとしてんだよ…」
「美味しい場所…部位?どこどこ?」
「あっ!私の体の話じゃないよ!待って待って齧っても美味しくないと思うの私は!」
鍵屋が姉御からのメッセージを見て顔を青くしている。
鍵屋が持ってる端末を俺に向けた。
姉御『そいつをうちの部に勧誘しろ。失敗したらお前らは死刑です。PS:鍵屋気持ち悪い』
おうふ…姉御が目をかけてた人みたいだったようですなこの人は。
それとどこから見てるんだよ…
「えっと、ごほん。あのー、おいしい場所は後で聞かせてもらうとして、その前にお話をさせてもらってもいいでしょうか?」
「何よ、改まって…鍵屋さんとなら付き合ってあげても…」
「やめとけ、それはやめといたほうがいいと思うぞ」
「二回も言わないでください!って違う!そうじゃないでしょ!」
「そうだったな…」
「どうしたの?2人とも。顔色悪いよ?」
アミューが心配そうな顔でこちらを見ている。
娘に心配をかけるわけにはいかない!
「とりあえずそこの女。お前は今日から俺たちの仲間になることが決定した。拒否権はない!」
「は?はぁ?何言ってんのよ突然!」
「お願いですから入ってください」
鍵屋も頭を下げてお願いしている。凄いな、綺麗に直角に曲がっている。
「ちなみに俺たちはウキウキ♪フロントラインウォーカー部ってグループ」
「群れ!」
「そう、群れなんだがな」
「何よそのふざけたグループ名」
「群れ!」
「…群れの名前は…」
アミューはどうしても群れと呼びたいらしい。
「まあ…私は負けた身だし…入ることはいいんだけど」
「良し!じゃあ情報端末あるか?このアドレスからグループに参加を押してくれればいいから」
【???視点】
何よコイツら…私が襲ったこともう忘れてるんじゃないかってくらい気安い。とりあえず教えてもらったアドレスを入力し、グループに参加をタップする。
(ウキウキ♪フロントラインウォーカー部…ふざけた名前ねホントに)
名前の入力画面が出てきたので名前を入力…
あれ?操作ができない…
名前【ミツガレ】
!勝手に入力されたんですけど!
何ミツガレって!昔の私を思い出す嫌な名前…
「ああ…うん、ミツガレさんか。色々言いたいこともあるんだろうけど、もうその名前以外を名乗ることは許されないから気をつけて…」
私の端末を一緒に見ている…多分サイン?って男が察したようで私の肩に手を置いて首を振っていた。
「とりあえず大事なことだけ。最低限のルールはここに書いてあるから後でちゃんと読むんだぞ?ルールを破ったりルールの穴を突こうとしたりしたらリーダーの姉御に殺される。姉御の気分を害しても殺される。それ以外は自由でいい群れだぞ?」
「良くないわよ!なんなのよその殺伐とした群れは!」
「群れのリーダーが一番力がある…群れの正しい姿だね!」
横に立ってるダイナロイドが頷いている…
色々ツッコみたいところもあるが…ああもうめんどくさ…まあ今日を生き残ることができたしもうなんでもいいや…
「はぁ…まあ、よろしくお願い致します。私はミ…ミツガレです…」
「俺はサインだ、ちなみに趣味でハンドサインをしまくってたらこの名前を付けられた」
「ああ…」
サインが同情なのか私に自分の名前の由来を教えてくれた…
「僕は鍵屋です。まあ俺は二人と比べたら比較的マシな名前で良かったです」
「鍵屋は…知らなくてもいいか…」
「私はアミューだよ!姉御?って人間は私は知らないけど私の名前はサインが付けてくれたんだ!カッコいいでしょ!」
「そうね…」
「あっ、武器どうする?返しちゃっていい?」
「いいぞ、っておお!そのライフルはやっぱり前線武器の【スコープマンのスナイパー】!いいなぁ、俺まだ2丁しか持ってない…」
「僕そんな銃で撃たれたんですか…エネルギーがもう少し込められた弾丸だったらマズかったかも…」
「後はガンマンマスターのピストルか…定番だな」
「前線に通うウォーカーはみんな持ってますよね〜」
すんなり武器も返してくれた…
そういえば1つ、一番気になることがあったんだっけ。
「あなた達どうして武器がそんなに貧弱なのよ。防具と釣り合ってないでしょうに」
「そんなのコスパが悪いからに決まってるぞ」
「さすがにここで前線武器は過剰戦力ですよねぇ〜、まあそれでもアミューさんがいるだけで十分に過剰なのですが」
「よゆー」
「でもうっかり死なないようにこうやって防具だけはいつもしっかりしたものにしてるんだ」
「…なるほどねー」
わかったようなわからないような…いや、やっぱりわからないわ。
少なくとも命がけの探索に行くのだから私だったらきっちり装備を揃える派かなぁ。
「あっ、そうだった、おいしい場所を教えてくれるんだったな、仲間になったんだし一緒に向かおうぜ」
「そうでしたそうでした早く向かいましょう。ミツガレさんはサインさんと後衛でお願いします」
「おいしい場所!行こう!」
…お気楽すぎて調子が狂いそう。本当にさっきまで敵対してたのかとは思えないわ。まあでも遺恨がないのはいいのかもしれないわね。
でもその前に…
「あの、身体拭いてもいいかしら?」
「そうでしたね」
アレまみれになった私の身体を拭かせてほしい
「私の身体拭いてーサイン」
「任せろ!」




