0.プロローグ
昔世界は二人の科学者によって翻弄されていた。
生物兵器のプロフェッショナル。ハクア博士。
機械兵器のプロフェッショナル。マシナ博士。
彼らは様々な兵器を産み出しては互いに戦わせて遊んでいた。
最初は誰も意に介さない、小さな争いをしていたが、規模が大きくなりその余波で世界がめちゃめちゃになってしまうほどのものになってしまった。
生態系はハクア博士のトンデモ生物兵器達に荒らされ、環境はマシナ博士の化学兵器でじゃんじゃん汚染されていく…
最初は国も対処しようとしていたが、その頃には遅く軍隊など軽く蹴散らせるほどの戦力をお互い有していたため早々にシェルターの量産をして人間、動物達が生き残れるように努力した。
幸い博士達はお互いの兵器同士で争うことに夢中だったので、手を出さなければ基本的には直接攻撃を受けることはなく世界のあちこちに大規模なシェルターを作ることに成功し、少なくない人々が避難することには成功した。
そして数十年と時が経ち博士達は決着をつけることにした。
今までの経験を全て注ぎ込んだ究極の兵器を作り、その兵器同士を戦わせて勝ったほうが本当の勝者だと…
ハクア博士作:ポチ
ポチはハクアが最初に作った改造犬だった。
口から銃器が生え自らの肉を弾として発射するという…今となってはシンプルなその初代の遺伝子を弄くり回し大きさは縦60メートル横100メートル程の四足型生物兵器。数多の遺伝子操作で毛は全て抜け皮膚は紫に変色し所々溶け、もう犬の形をしただけのグロテスクな生き物になってしまった。再生能力があり体が半分以上削れても再生する。
その爪はありとあらゆる機械を切り裂き、噛みつきは酸と合わさって掠っただけでも付近が融解してしまう。
もちろん初代ポチの改造、口から銃器生えるも添えられているのが博士のオススメポイントらしい。
マシナ博士作:ギガグリンド
マシナ博士は昔から幻獣、架空のモノが好きだった。だからマシナ博士が作る兵器はそういう類いの、姿を模したものが多かった。
そしてギガグリンドは竜を模した兵器だった。
大きさは縦30メートル横50メートルとポチに比べると小型だが、空を飛ぶことができた。武装はひたすらに火力に特化しており、試しに撃ったブレス1発でいくつもの地上のかろうじて残っていた建物や、付近の地下シェルターをも燃やし尽くしてしまった。
他にも多彩なエネルギー供給手段、自動修理機能を有しており、よっぽどのことがない限り無限に自立して動ける兵器となっている。
そんな彼らの兵器同士の戦いが小規模で済むわけはなく、世界を股に掛けて戦ったためにまた数多くの生き物が死滅してしまった。
もちろん博士たちも結果を見届けることなく、戦いの余波で消し飛んだ。
勝者はポチだった。
ギガグリンドの火力ぶっぱ攻撃を何度受けても再生することで持久戦に持ち込み、ギガグリンドのエネルギーが補給が間に合わず減ってしまったところに電磁バリアごと噛みつき破壊した。
そして、ポチも無理な遺伝子操作のせいで長く生きることができず、戦いから数日後には寿命で死んでしまった。
これで世界が平和に…なるわけもなく博士達が各地に作った繁殖場、兵器工場は稼働し続け今もその戦いは収まらず、むしろ兵器達も指揮者がいなくなり、お互いの兵器だけではない、人間を含む生き物も襲い始めるという悪化ぶり。
それでも人々は奮闘し今日まで命を繋ぎ続ける。
この物語はそんなアルティメットな戦いから約200年後の世界で始まる…




