最前線の勘 1
これからは3個のパターンを作ろうと思います
銃声。爆音。金属が引き裂かれる甲高い悲鳴。
悠真は、装備されたばかりの安っぽいライフルを握りしめ、最前線の瓦礫の街に立っていた。
背中には「徴兵されたばかり」の少年兵たち。前方には、冷徹な無機質の影がゆっくりと迫ってくる。
「……はぁ……はぁ……。無理だろ、こんなの」
隣で震える同年代の兵士が呟いた。
彼の目の前に現れたのは、二メートル近い鋼鉄の歩兵型ロボット。目が赤く光り、銃口をこちらに向ける。
次の瞬間、銃弾が飛んだ。
「下だッ!」
悠真が叫び、仲間の首を押さえて倒れ込む。弾丸はわずかに頭上を掠め、背後の壁を粉砕した。
兵士は青ざめながらも、悠真を見上げた。
「……な、なんで分かったんだよ……!」
「勘だよ、勘。……俺、テストは0点だけどな」
苦笑を浮かべながら、悠真はライフルを乱射した。
狙いは外れている。だが、その外れ方が絶妙にロボットの動線を塞ぎ、仲間が逃げる隙を生み出す。
――俺はバカだ。けど、戦場じゃそれでいい。
自嘲しながらも心臓は妙に落ち着いていた。
銃弾の角度、瓦礫の崩れ方、敵の一瞬の癖――全部、考えるより先に身体が反応してしまう。
「……っしゃあ、まだ死んでねぇ!」
叫んだ瞬間、耳に奇妙な音が届いた。
聞き覚えのある機械音。
――金属の足音。いや、それだけじゃない。
(……なんだ、この感じ……)
胸の奥がざわつく。
それはかつて一緒に遊び、笑ったあの声。
だが、あり得ない。あいつはもう、人類の敵になったはずだ。
遠くの煙の中から、ひときわ大きな影が現れた。
赤い目を光らせた鋼鉄の人影。
悠真の心臓が一瞬止まる。
「……アーク……?」
呟きは、爆音にかき消されていった。




