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夢写師カレンと刻の万華鏡  作者: 大西さん
第11章 記憶の淵、魂写真館の真実
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第73話 柊介の解放と理論の深化

祝福の光は、古き影を焼き払う。

愛は時を超え、絆は未来を紡ぐ。

魂の写し鏡は、新たなる世界を映し出す。


■柊介の解放と理論の深化


記憶の整理を終え、記憶管理システムが安定した数日後、カレンたちは改めて時計塔の地下深くへと向かった。目的は、チヨの封印の際に巻き込まれ、時の結晶に囚われていた曽祖父・風見柊介の解放だった。


「祖父さん……」蓮は結晶を見つめ、声を詰まらせた。32年間、家族にも知られず、ここで時を止められていた風見柊介。その手に握られた手帳は、最後の観測データを記そうとしたまま、時間の中で凍りついていた。


カレンは夢写機を構えた。彼女の夢写機は、すでに柊介の「記憶粒子理論」を認識し、新たな機能を開放していた。蓮、ルカ、カレンの三人が手を繋ぎ、結晶を囲む。血の繋がりがある三人の力を合わせることで、成功率を上げる作戦だった。


カレンが夢写機を起動した瞬間、結晶の周りに、柊介が32年間観測し続けた無数のデータが光の文字となって浮かび上がった。「お祖父さん、あなたの理論は正しかった。そして今、証明されました」蓮が呼びかけると、実験室全体が振動し始めた。柊介が結晶の中で続けていた観測と実験のデータが暴走し始めたのだ。「まずい!このままじゃ、空間が崩壊する!」カレンが叫んだ。


その時、結晶の中の柊介が微かに動き、「制御コードはノートの最後」とかすれた声で呟いた。蓮は慌ててノートの最後のページにある記号をカレンに伝え、カレンがそれを夢写機に入力すると、暴走は急速に収束した。


結晶が砕け散り、中から風見柊介が姿を現した。「データ……記録しなければ……」柊介は目覚めてすぐ手帳に書こうとしたが、ペンは32年前に枯れていた。


「祖父さん、もう大丈夫です。データは全て記録されています」蓮が優しく声をかけた。柊介は、孫の蓮が中年男性になっていることに驚きつつも、自身が32年間、時の狭間から観測を続けていたという事実に科学者として純粋な喜びを見せた。


「君の夢写機と私の理論を組み合わせれば、写し世の完全解明も夢ではない」柊介はカレンの夢写機に触れ、新たな機能が解放された。彼が残した32年分の観測データは、記憶粒子の本質に迫る貴重な手がかりとなった。

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