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夢写師カレンと刻の万華鏡  作者: 大西さん
第11章 記憶の淵、魂写真館の真実
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第62話 最初の成功者

■最初の成功者


「撮れた!影が撮れた!」突然、歓声が上がった。若い女性が、興奮した様子でカメラを掲げている。


カレンは急いで確認に向かった。夢写機で写真をスキャンする。


「これは……」


確かに、普通とは違う影が写っていた。影の中に、別の表情が浮かんでいる。本人は笑顔なのに、影は泣いているように見える。それは、その女性の「隠された本音」という「写し損ねたもの」が、具現化された瞬間だった。


「合格です。今年最初の成功者です!」カレンは認定した。


会場が沸き立った。50年ぶりの成功者の誕生に、参加者たちの意欲はさらに高まった。


しかし、成功者の女性は、次第に顔色を失っていった。


「私の影が……ない」


見ると、確かに彼女の足元に影がなかった。撮影した瞬間から、影が消えてしまったらしい。


■影の反乱


その後、次々と異変が起き始めた。


成功者が増えるにつれ、影を失った人々が増えていった。そして、撮影された影たちは、写真から抜け出そうとしているかのように、蠢き始めた。


「まずい。このままじゃ、影が実体化する」ユウキが立ち上がった。


ユウキの予感は当たっていた。


最初の成功者の写真から、黒い霧のようなものが立ち上った。それは次第に人の形を取り、ついに実体化した。


「え?」成功者の女性は、自分とそっくりな影を見て凍りついた。


影は、本人とは正反対の表情を見せていた。本人が驚いているのに対し、影は冷静に微笑んでいる。


「初めまして、『表』の私。私は、あなたの『裏』」影が口を開いた。それは、人の心に潜む「影」の具現化だった。


■混乱の始まり


一人の影が実体化したのを皮切りに、次々と影たちが現れ始めた。


会場は大混乱に陥った。自分の影と対面した人々は、パニックを起こしている。影たちは、本人が隠している本音を次々と暴露し始めた。


「あなた、本当は奥さんのこと愛してないでしょ」ある男性の影が言った。


「ひどい!」男性は否定したが、影は容赦なく続けた。


「昨日も、秘書と……」


「やめろ!」


似たような光景が、あちこちで繰り広げられていた。


カレンは夢写機を使って、事態の収拾を図ろうとした。しかし、影たちは記憶粒子でできているため、通常の方法では対処できなかった。彼女の瞳に、デジタル技術の限界への「影」がよぎる。


■ユウキの機転


「待って。影は記憶の裏面なんだよね?」ユウキが何かを思いついた。


「そうらしい」カレンが頷いた。


「なら、表と裏を統合すればいい。清爺ちゃんの護符に、そんな術式があったはず」ユウキは持っていた古い護符を取り出した。


ユウキは護符に記された複雑な文様を読み解いた。確かに、「陰陽統合」という術式が記されている。


「でも、これを発動するには。本人が、自分の影を受け入れる必要がある」ユウキは考え込んだ。彼の瞳に、決意の「光」が宿る。

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