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夢写師カレンと刻の万華鏡  作者: 大西さん
第11章 記憶の淵、魂写真館の真実
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第58話 新しいシステム

■新しいシステム


数時間後、ついに作業が完了した。「できた……」カレンは疲れ切った様子で、でも満足そうに微笑んだ。


画面には、新しい記憶管理システムが表示されていた。これからは、記憶が無秩序に蓄積されることはない。適切に分類され、必要な時に取り出せる 。


「素晴らしい。記憶のデータベース。これは革命的だ」柊介が感嘆した 。


しかも、新システムには画期的な機能があった。記憶を共有することも、プライバシーを守ることも、使用者が選択できる。強制的な記憶の混線は、もう起きない。「これで、みんなが安心して記憶を預けられる。そして、望めば他者と共有もできる。でも、強制じゃない」カレンは説明した 。


■町の回復


翌日、町は正常を取り戻していた。人々は自分の記憶を取り戻し、混乱は収まっていた。しかし、昨日の出来事を覚えている人も多かった。


「不思議な体験だった」商店街の店主が言った。「他人の記憶を見るなんて」


「でも。みんなが同じように喜んだり悲しんだりしてるんだって分かった」別の町民が続けた。


記憶の共有は、思わぬ副産物をもたらしていた。町民たちの間に、より深い理解と共感が生まれていた。


医者は患者の痛みを実感として理解し、より適切な治療ができるようになった。「痛みの記憶を少し共有したことで、患者さんの苦しみが本当に分かるようになりました」


教師は生徒の悩みを深く理解し、より良い指導ができるようになった。「勉強が分からない時の焦りを思い出しました。今なら、もっと寄り添える」


「これが、本当の記憶の力」ルカが微笑んだ 。


■新たな役割


翌朝、魂写真館に町長が訪れた。随行員を連れた、公式訪問だった。


「カレンさん。町の記憶管理官になっていただけませんか?」町長は真剣な表情で言った 。


「記憶管理官?」カレンは聞き慣れない肩書きに戸惑った。


「昨日の一件で分かりました。この町には、記憶を適切に管理する人が必要です。そして、それができるのは、あなただけです」町長は説明した 。町長は正式な辞令書を差し出した。そこには、「霧梁県記憶管理官」という肩書きと、職務内容が記されていた。


カレンは家族を見回した。みんな、優しく頷いている。「でも、私一人じゃ」カレンは言いかけた。


「もちろん、ユウキさんも補佐官として。ご夫婦で、この町の記憶を守っていただきたい」町長は続けた 。


「夫婦って、まだ」カレンは慌てたが、指輪を見て照れ笑いした。「でも、そうなる予定です」


「分かりました。でも、一人じゃなく、みんなでやります」カレンは答えた 。


「もちろんです。魂写真館が、町の記憶管理センターとなります。予算もつけますので、必要な設備を整えてください」町長は微笑んだ 。

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