第39話 ユウキの成長
■ユウキの成長
その夜、ユウキは自室で護符と向き合っていた。月影遊園地での経験で、護符の力がさらに強くなっている。それは、カレンとの絆が深まったからかもしれない。
「愛と記憶の共鳴。祖父さん、分かった気がする」ユウキは呟いた。
護符が優しく光った。まるで、清が微笑んでいるかのように。
窓の外を見ると、月が雲間から顔を出していた。月影遊園地の名前の由来となった、美しい月。
「カレン。絶対守る。そして、一緒にチヨさんを救う」ユウキは月に向かって呟いた。
■記憶の蓄積
一方、カレンは集めた記憶のデータを整理していた。
霧見駅の終戦の記憶、時計塔のチヨの使命感、朽葉温泉の愛の約束、そして月影遊園地の贖罪と覚悟。
すべてが繋がり、一つの物語を紡いでいる。
「あと二つ。鏡の湖と、最後の場所」カレンは画面を見つめた。
しかし、最後の場所が分からない。日記のインクが滲んでいたのは、偶然ではないかもしれない。そこは、意図的に「写し損ねたもの」として残されているようだった。
「もしかして。最後の場所は、すべての記憶の残響を集めてから、明らかになる?」カレンは仮説を立てた。
その時、魂写機が微かに震えた。まるで、その推測が正しいと言っているかのように。
■明日への覚悟
深夜、カレンはリビングでルカと話していた。
「母さん。私、怖い」カレンは切り出した。
「何が?」ルカは優しく尋ねた。
「チヨさんを救えなかったら。みんなの期待に応えられなかったら」カレンは震える声で言った。
彼女の心に、無力感という「影」がよぎる。
ルカは娘を抱きしめた。「大丈夫。あなたは一人じゃない」
「でも」
「カレン。完璧である必要はないの。大切なのは、諦めないこと」ルカは娘の目を真っ直ぐ見つめた。
母の温もりに包まれて、カレンは少し落ち着いた。
「それに、ユウキ君もいるでしょう?」ルカは微笑んだ。
カレンは顔を赤くした。「それは、関係ない」
「あら、そう?」ルカは楽しそうに笑った。
■新たな朝
翌朝、カレンは新たな決意と共に目覚めた。窓の外を見ると、朝日が町を照らしている。時計塔の異常は続いているが、もう恐怖はない。
「おはよう。朝ごはん、作ったよ」ユウキがキッチンから声をかけた。
「え?」カレンは驚いた。
テーブルには、簡単だが心のこもった朝食が並んでいた。
「たまには、カレンを支える側に回りたくて」ユウキは照れくさそうに言った。
「ありがとう」カレンは素直に礼を言った。
二人で朝食を取りながら、カレンは思った。月影遊園地で交わした想い。それは、これからの戦いの、大きな力になる。
チヨと健司のように、愛は時間を超える。その証明を、今度は自分たちがする番だ。
鏡の湖へ。そして、最後の真実へ。
物語は、クライマックスに向かって加速していく。




